明里編:2話 過去のこと(後編)
翌日、私はお母さんに送ってもらって学校に登校した。遅刻して昼休みに登校したので玄関には誰もいなかった。ふぅ、少し深呼吸をして教室のドアを開けた。
ガラガラ……
「あかりん!」
真っ先に由花が飛んできた。
「心配したんだよ!学校にも全然こないし、連絡すらつかなかったし…」
由花は目に若干の涙を浮かべていた。
「ごめんね、由花。心配かけたね。」
「あ、そうだ!あかりんが学校に来たこと、みもりんにも伝えなきゃ!」
由花はそういい、沙月のクラスに急足で向かっていった。1分くらいで沙月は3組の教室に来た。
「明里!学校来れたんだね。よかった。」
「ごめんね、沙月にも心配かけたね。」
「ううん。いいの。明里が学校に来ただけでもすごく嬉しいから。」
「ありがとう。」
沙月はこれから委員会の仕事があるということで一旦別れた。
やっぱり学校は楽しい。なのに、なんで、今まで気づくことができなかったんだろう。私は自分の席に荷物を置いた。
あ…そうだ凪音くんにもお礼を言わなきゃ。
「由花。凪音くん、今どこにいるか知ってる?」
「あ、凪音くんね。それがね、今日なんか熱があるらしくて学校、休んでるよ。」
「そうなの…」
「でも凪音くんがどうしたの?」
「ううん。なんでもない。」
凪音くんの風邪が治ってからお礼を言おう。だって私が今、こうして学校に来れたのは凪音くんのおかげなんだから。
そう。去年の秋、私は凪音くんに助けられた。なのに…私は、お礼を言うタイミングを逃してしまい、未だにお礼を言えていない。早くお礼を言わなきゃいけないのに…
「明里?どうしたのぼーっとして。」
「え!ううん。なんでもない。」
あ、これだけは聞いておかなきゃ
「それよりも、沙月、もしかして凪音くんのこと好きなの?」
「そんなんじゃないよ!なんか、ほら、掴みどころがなさそうな感じじゃない?だからなんか知りたいな〜っていうか。」
「まあ、確かに。」
沙月が恋愛をしているのを私は初めてみたかもしれない…そう思うと、ちょっとニヤけてしまった。
キーンコーンカーンコーン
5時間目の始まりのチャイムが鳴った。
5時間目の授業は自習だったが、私は何も勉強をしたくなかった。この間、図書館で借りてきた小説を読むことにした。読んでいる最中、ふとこんなことを思った。私は凪音くんの何を知っているんだろう。関わったことがあるのは、去年の理科の実験の交流の時とあの時だけ。私は凪音くんに救われたけど、私は凪音くんを何も知らない。私も沙月と同じで凪音くんを知りたい。去年のお礼もしたい。仲良くなりたい。
(今年はちゃんと凪音くんと話せるかな?)
心の中でそう思った。
もしかしたら、私はこの時にはもう、凪音くんのことが好きだったのかもしれない。




