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初恋は最強の剣!~公爵令嬢に恋した平民は彼女の難題をすべて乗り越える~  作者: 涙目
第一章 学院編

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第七話 お茶会のお誘い

この物語は全てフィクションであり、実在する人物、事件とは一切関係ありません。

 その週の終わり。

 私は人生で初めて、授業よりも放課後を警戒していた。

 理由は言うまでもない。


 レオである。


 この一週間で分かったことはたくさんある。

 勉強ができる。

 剣が強い。

 性格が真っ直ぐ。

 そして空気を読まない。


 最後が一番厄介だった。


「リリアナ様」


 ルイーゼが声を掛けてくる。


「どうしたの?」


「本日のお茶会です」


「ああ」


 今日は侯爵令嬢達との交流会だった。

 学院ではよくある社交の一つ。

 貴族社会の勉強も兼ねている。


「アレクシス様も参加されるそうですわ」


「そうなの」


 別に驚かない。

 アレクシスは名門侯爵家の嫡男だ。

 呼ばれない方がおかしい。


 ルイーゼが少し笑う。


「楽しみですわね」


「何が?」


「何でもありませんわ」


 何か言いたそうだった。


***


 放課後。

 学院庭園にある東屋。


 色とりどりの花に囲まれた場所で、お茶会は開かれていた。


 侯爵家。

 伯爵家。

 上位貴族の子女達が集まっている。


 私も席に着いた。


 会話は主に学院生活について。

 穏やかな時間だった。


 そして。


「遅れて失礼する」


 アレクシスが現れた。


 女子達が少し色めき立つ。

 やはり人気があるらしい。


「アレクシス様」


 ルイーゼが微笑む。


「お待ちしておりましたわ」


「ありがとう」


 アレクシスは自然な動作で私の向かいへ座った。

 その仕草だけで教養の高さが分かる。

 流石は侯爵家だ。


「リリアナ嬢」


「なにかしら」


「学院生活には慣れたか?」


「ええ」


「それは良かった」


 自然な会話。

 嫌味もない。

 人当たりもいい。

 客観的に見れば非常に魅力的な人物だった。


 周囲の令嬢達も楽しそうに話している。


 その時。


「失礼します」


 聞き慣れた声がした。

 私は嫌な予感しかしなかった。


 振り返る。


 いた。


 レオだった。


 なぜ。

 本当に、なぜ。


「レオ?」


「お嬢様」


 自然すぎる。

 まるで待ち合わせでもしていたかのようだった。


「どうしてここにいるの?」


「呼ばれました」


 誰に。

 そう思った瞬間。

 主催の伯爵令嬢が手を挙げた。


「私ですわ」


 犯人がいた。


「最近学院で一番話題の方ですもの」


 周囲も頷く。


 確かに話題ではある。

 間違いなく。


「お座りになってくださいな」


「ありがとうございます」


 レオはお礼を言い。


 そして。

 当然のように私の隣へ座った。


 近い。


「隣しか空いていなかったので」


 嘘だった。

 空いている席は他にもある。


 でも本人は本気でそう思っていそうだ。

 だから指摘できない。


***


 お茶会は進む。

 話題は自然とレオへ移った。


「冒険者というお仕事は危険ではありませんの?」


 令嬢の質問。


「危険です」


 レオの返答。


「では怖くありませんの?」


「怖いです」


 皆が意外そうな顔をした。

 私も少し驚く。


「怖いの?」


「はい」


 レオはあっさり頷く。


「死にたくはありませんので」


 当然のように言う。


 私は何となく安心した。

 無敵の人ではないらしい。


「ですが」


 レオは続ける。


「課題がありますから」


 全てが台無しになった。

 女子達が興味津々になる。


「あら」


「課題?」


「どんな課題ですの?」


 やめて。

 本当にやめて。

 嫌な予感しかしない。


「結婚です」


 言った。

 言ってしまった。


 私は紅茶を吹きそうになった。


「ごほっ!」


「リリアナ様!?」


 周囲が慌てる。

 私は必死に咳き込んだ。

 顔が熱い。

 恥ずかしすぎる。


「れ、レオ!」


「はい」


「余計なことを言わない!」


「事実ですが」


「だから言うなと言ってるの!」


 周囲から笑い声が上がる。

 最悪だった。


***


 しかし。

 アレクシスだけは笑っていなかった。


「なるほど」


 静かな声。

 皆がそちらを見る。


 アレクシスはレオを見据えていた。


「本気なのだな」


「はい」


 即答。


「私は冗談が好きではない」


「俺もです」


 空気が少し張り詰める。


「なら確認しよう」


 アレクシスが立ち上がった。


「リリアナ嬢への気持ちは本物か?」


「本物です」


 迷いなし。

 一切の躊躇なし。


 私は思わずレオを見た。


 そして。

 少しだけ息が止まりそうになった。


 真剣だった。

 本当に。

 冗談でも。

 子供の憧れでもなく。

 真っ直ぐだった。


 三年前と同じ目だった。


「そうか」


 アレクシスは頷く。

 そして少しだけ笑った。


「なら私も負けるつもりはない」


 場が静まり返る。


 え?


「リリアナ嬢」


「な、なにかしら」


「私は君に興味がある」


 待って。

 待ちなさい。


「これからもっと知りたいと思っている」


 待ちなさい。

 本当に待ちなさい。


「だから」


 アレクシスはレオを見る。


「恋の勝負でも負ける気はない」


 お茶会が爆発した。


「きゃー!」


「えええっ!?」


「本当に!?」


 令嬢達が大騒ぎになる。


 私だけが取り残されていた。


 何なの。

 どうしてこうなったの。


 学院に入って一週間よ?

 一週間で何が起きているの?


 すると。

 隣のレオが頷いた。


「分かりました」


 分かるな。


「負けません」


 受けるな。


「望むところです」


 盛り上がるな。


 私は静かに額を押さえた。


 この学院生活。


 たぶん。

 思っていたよりずっと大変なことになる。

お読み頂き、ありがとうございます。

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