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初恋は最強の剣!~公爵令嬢に恋した平民は彼女の難題をすべて乗り越える~  作者: 涙目
第四章 国家編

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第十話 同じ景色

この物語は全てフィクションであり、実在する人物、事件とは一切関係ありません。

 次の日。

 レオは朝から教室にいた。


 窓際の席。

 資料を読んでいる。


 いつもと同じだった。


 昨日。

 私が引き留めたことなどなかったみたいに。


 自然で。

 当たり前で。


 少しだけ腹が立つ。


「おはようございます」


 レオが顔を上げる。


「おはよう」


 また同じだ。

 これだけ。


 昨日はあんなに話したのに。

 今日になると元通り。


 本当にずるい。


***


 授業が始まる。

 終わる。

 休み時間。


 レオの席には数人の男子生徒が集まっていた。


「本当なのか?」


「だから何がですか」


「騎士団!」


 聞こえてくる。

 最近はそんな話ばかりだ。


 私は本を読むふりをする。

 耳だけはしっかり向いていた。


「まだ話せません」


 またそれ。

 最近のレオはそればかりだった。


「秘密主義になったな」


 アレクシスが笑う。


「申し訳ありません」


「そこは否定しろよ」


 教室に笑いが広がる。


 私も少しだけ笑った。

 昔と変わらないやり取り。


 なのに。

 どこか違う。


 レオだけが前へ進んでいる気がする。


***


 昼休み。


 中庭。


 ベンチに座って空を見る。

 最近こういう時間が増えた。


 考える時間。


 そして。

 考える内容は大体同じ。


「お嬢様」


 顔を上げる。


 エミリーだった。


「どうしました?」


「別に」


「またレオ様ですか」


 即答できなかった。

 それが答えだった。


 エミリーが小さく笑う。


「最近は隠しませんね」


「隠してるわ」


「そうでしょうか」


 全然信じていない顔だった。


***


 放課後。

 またレオが立ち上がる。


「失礼します」


 やっぱり今日も王都らしい。


 私は席を立った。

 昨日ほど勢いはない。


 でも。

 気付けば歩いていた。


「レオ」


 振り返る。


「はい」


「今日は何時に帰るの?」


 聞いてから気付く。


 おかしい。


 こんなの。


 まるで。


「分かりません」


 レオは少し考えた。


「遅くなると思います」


「そう」


 話は終わりだった。


 何を言いたかったのか。


 自分でも分からない。


「お嬢様」


 不意にレオが呼ぶ。


「なに?」


「昨日はありがとうございました」


 少し驚く。


「昨日?」


「引き留めてくれて」


 心臓が跳ねた。


 そんなことを覚えていたのか。

 忘れてほしかったのに。


「別に」


 視線を逸らす。


「ただの気まぐれよ」


「それでも嬉しかったです」


 一瞬。


 言葉を失う。


 レオは本当に自然に言った。


 昔からそうだ。

 思ったことをそのまま言う。


 だから困る。


「そう」


 それしか返せなかった。


 レオは一礼して歩き出す。

 校門へ。

 王都へ。

 私の知らない場所へ。


 その背中を見送る。


 少し前までは。

 遠いと思っていた。


 手の届かない場所へ行ってしまうと。


 でも昨日。

 引き留めた。


 今日も話した。


 少しだけ。

 本当に少しだけ。


 距離が縮まった気がした。


 夕日が中庭を赤く染めている。


 リリアナは空を見上げる。


 追いかけるのも悪くない。


 そんなことを思った自分に。

 少しだけ笑ってしまった。

お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
リリアナの繊細な心情が丁寧に描かれており、とても印象に残りました。昨日の出来事を意識しながらも、普段通りに接するレオの自然な振る舞いと、それに戸惑うリリアナの様子が微笑ましかったです。また、「昨日はあ…
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