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初恋は最強の剣!~公爵令嬢に恋した平民は彼女の難題をすべて乗り越える~  作者: 涙目
第四章 国家編

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第六話 追いつきたい

この物語は全てフィクションであり、実在する人物、事件とは一切関係ありません。

 その日の放課後。

 レオはまた早退した。


 以前なら。

 追いかけてきた。


「お嬢様」


 そう呼びながら。

 訓練場へ誘い。


 課題の話をして。

 私の隣を歩いていた。


 今は違う。


 私が教室を出る頃には。

 もういない。


 王都へ向かう馬車だけが残っている。


 気付けば。

 リリアナは校門まで来ていた。


 もちろん馬車はもうない。

 人通りだけが続いている。


「何してるのかしら」


 小さく呟く。


 答える人はいない。


 最近ずっとそうだった。


 分からない。

 知らない。

 教えてもらえない。


 でも。

 気になって仕方がない。


***


 帰宅後。


 夕食。


 父と向かい合う。

 静かな食卓だった。


「お父様」


 父が視線を上げる。


「なんだ」


「私にも課題をください」


 その瞬間。

 父が止まった。


 ナイフも。

 フォークも。

 全部。


「急にどうした」


「何となくです」


 自分でも上手く説明できなかった。


 ただ。

 じっと待っているのが辛かった。


 知らない場所で。

 知らないことをしているレオを。

 見ているだけなのが。


「今のお前に必要な課題はない」


 父はそう言った。


「そうですか」


 少しだけ落胆した自分に驚く。


 昔は違った。

 課題なんて面倒だった。


 無茶ばかりだった。


 なのに今は。

 何かしていないと落ち着かない。


 レオが前へ進んでいるからだろうか。


***


 食事を終え。

 部屋へ戻る。


 机の上には青いペンダント。


 手に取る。


 冷たい。


 誕生日の日。


 あの時。

 レオはずっと私を見ていた。


 私のために動いていた。


 私のために走っていた。


 私は何をしていただろう。


 課題を出して。


 結果を待って。


 それだけだった。


 窓を開ける。


 夜風が頬を撫でる。


 王都の灯りが遠くに見えた。


 その向こうに。

 今もレオがいる。


 きっと走っている。


 もっと遠くへ。


 もっと高い場所へ。


「ずるいわ」


 思わず零れた。


 一か月前。

 置いて行かれたのは私だった。


 学院でも。


 公爵家でも。


 今も。

 私は何も知らない。


 何もできない。


 ただ見ているだけ。


 それが嫌だった。


 本当に嫌だった。


 気付けば笑っていた。


 少しだけ。


 昔のレオを思い出す。


 無茶な課題へ飛び込んでいく姿。


 公爵令嬢なんて気にせず。


 身分なんて気にせず。


 ただ真っ直ぐだった。


 そして初めて理解する。


 あの頃のレオは。

 こんな気持ちだったのかもしれない。


 追いつきたい。


 隣に立ちたい。


 認められたい。


 ただそれだけで。


 前へ進んでいたのだと。


 リリアナは夜空を見上げる。


 一つだけ。

 今なら分かることがあった。


 課題の内容なんてどうでもいい。


 王都で何をしているのかも。


 それより。


 私は。


 置いていかれたくなかった。

お読み頂き、ありがとうございます。

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