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初恋は最強の剣!~公爵令嬢に恋した平民は彼女の難題をすべて乗り越える~  作者: 涙目
第二章 貴族社会編

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第二十二話 返ってこない

この物語は全てフィクションであり、実在する人物、事件とは一切関係ありません。

 翌朝。

 リリアナは少しだけ緊張していた。


 昨日。

 あんなことを言った。


 傷付けた。

 間違いなく。


 だから。

 今日はどうなるのだろうと思っていた。


 きっと。

 レオはいつも通り来る。


 少し困った顔をして。


「おはようございます」


 そう言う。


 そして何事もなかったように接してくる。


 そう思っていた。


---


 教室へ入る。


 レオの席を見る。


 空だった。


「まだ来てないのね」


 小さく呟く。


---


 昼になった。


 まだ来ない。


---


 放課後。


 来なかった。


---


 翌日。


 やはり来ない。


「お休みだそうです」


 ルイーゼが言う。


「そう」


 平静を装った。


 でも心臓が嫌な音を立てる。


 まただ。


 一か月前。


 突然いなくなった時と同じ。


 落ち着かない。


 三日目。


 四日目。


 五日目。


 やはり来ない。


---


 授業が終わる。


 教室に残る。


 気付けば窓の外を見ていた。


 訓練場。


 木剣を振る姿はない。


「お嬢様」


 エミリーが心配そうな顔をする。


「なによ」


「大丈夫ですか?」


「何が?」


「最近ずっと窓を見ています」


 返事ができなかった。


 図星だった。


---


 六日目。


 七日目。


 来ない。


---


 とうとう我慢できなくなった。


「ルイーゼ」


「はい?」


「レオのこと何か知らない?」


 言ってから固まる。


 自分から聞いてしまった。


 ルイーゼも驚いていた。


「いえ……」


「そう」


「ですが」


 ルイーゼが声を落とす。


「少し妙な噂は聞きました」


 胸が跳ねる。


「何?」


「王都の貴族街で見かけたという話です」


 貴族街。


 レオが。


 なぜ。


「どこで?」


「それは……」


 ルイーゼが迷う。


「クラインベルク公爵家だとか」


 時間が止まった。


 心臓が鳴る。


 大きく。


 嫌な予感と一緒に。


---


 放課後。


 リリアナは真っ先に帰宅した。


 そして。


「エミリー」


「はい」


「最近屋敷へ来客は?」


 エミリーが少し驚く。


「ありました」


「誰?」


「レオ様です」


 息が止まる。


「いつ」


「三日前です」


 三日前。


「何をしに?」


「それは存じません」


 使用人達も詳しく知らないらしい。


 ただ。


 ヴァルと話し。


 公爵へ面会を求め。


 その後も何度か屋敷へ来た。


 それだけだった。


---


 夜。


 ベッドへ座る。


 眠れない。


 考えてしまう。


 どうして。


 どうして公爵家へ。


 どうして父に。


 そして。


 なぜ私には何も言わないのか。


 分からない。


 だけど一つだけ。


 嫌なほど分かることがあった。


 あの日。


 自分が突き放した。


 だから。


 何かを一人で抱え込んでいる。


 昔からそうだった。


 無茶な課題も。


 冒険者も。


 首席も。


 全部。


 一人でやってきた。


 そして今も。


 また一人で何かをしようとしている。


 窓の外を見る。


 夜空だった。


---


 リリアナは知らない。


 その頃レオが。


 公爵家の門の前で。


 何度も追い返されながら。


 それでも帰らず。


 たった一つの答えを探していることを。


 なぜ。


 リリアナが自分を遠ざけたのか。


 その理由を。

お読み頂き、ありがとうございます。

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