表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
初恋は最強の剣!~公爵令嬢に恋した平民は彼女の難題をすべて乗り越える~  作者: 涙目
第二章 貴族社会編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
44/78

第二十話 距離

この物語は全てフィクションであり、実在する人物、事件とは一切関係ありません。

 誕生日会から数日。

 リリアナは変わってしまった。


 最初にそう思ったのはルイーゼだった。


***


 朝。

 レオがいつものように教室へ入ってくる。


「おはようございます」


 いつもの声。

 いつも通り。


「おはよう」


 リリアナも返す。


 でも。

 何かが違う。


 ルイーゼは首を傾げた。


***


 昼休み。


「お嬢様」


 レオが近付く。


「なに?」


「この問題なんですが」


 今までは。


 隣へ座る。

 話す。


 自然だった。


 だが。


「アレクシスに聞きなさい」


 レオが止まった。


「お嬢様の方が詳しいと思いますが」


「今忙しいの」


 視線も向けない。


 レオは少し考える。


「分かりました」


 そのまま離れていく。


 ルイーゼとアレクシスが顔を見合わせた。


 おかしい。

 明らかに。


***


 放課後。


 鐘が鳴る。


 レオが立ち上がる。


「お嬢様」


「なに?」


「今日は訓練場へ行きますか?」


 いつもの誘い。

 いつもの流れ。


 なのに。


「行かないわ」


 即答だった。


「用事?」


「ええ」


「そうですか」


 レオは少し残念そうだった。

 ほんの少しだけ。


 それでも笑う。


「また今度ですね」


 その笑顔が。


 リリアナには辛かった。


「レオ」


 自分でも驚くほど冷たい声が出た。


 教室が静かになる。


「はい」


「最近少し馴れ馴れしいわ」


 空気が止まる。


 ルイーゼが目を見開く。


 アレクシスも固まっていた。


 レオも。

 何を言われたのか理解できていない顔だった。


「お嬢様?」


「ここは学院よ」


 言葉が止まらない。


 止められない。


「公私を分けなさい」


 胸が痛い。


 苦しい。


 でも。

 言わなければならない。


「必要以上に話し掛けなくていいわ」


 静寂。


 誰も動かない。


 誰も喋らない。


 レオだけがそこに立っていた。


「……分かりました」


 小さな声だった。


 そして一礼する。


「申し訳ありません」


 そのまま教室を出ていった。


 足音が遠ざかる。


 ようやく誰かが息を吐く。


「リリアナ様」


 ルイーゼだった。


「今のは……」


「何でもないわ」


 立ち上がる。


 鞄を持つ。


 ここにいたくなかった。


「何でもない」


 自分に言い聞かせるように呟く。


 公爵令嬢。

 婚約者候補。

 家。

 責任。


 全部正しい。


 だから。

 これでいい。


 これで。


 いいはずだった。


 教室を出る直前。

 アレクシスの声が聞こえた。


「おかしいな」


 小さな声だった。


「お前がそんなことを言うとは思わなかった」


 リリアナは足を止めなかった。


 止めたら。

 泣いてしまいそうだったから。

お読み頂き、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ