表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
初恋は最強の剣!~公爵令嬢に恋した平民は彼女の難題をすべて乗り越える~  作者: 涙目
第一章 学院編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
21/77

第二十話 名前だけで

この物語は全てフィクションであり、実在する人物、事件とは一切関係ありません。

 中間試験まで残り三週間。

 レオは以前と変わらなかった。


 朝は誰より早く来る。

 授業は真面目に受ける。

 放課後は鍛錬。

 そして空いた時間は勉強。


 課題のため。


 それだけの理由で。


 けれど。

 周囲は少しずつ変わっていた。


「レオ、この問題教えてくれ」


「ここが分からないんだが」


「レオ君、歴史も得意なの?」


 気付けば。

 平民だからではなく。

 優勝者だからでもなく。


 レオだから。


 そんな理由で人が集まるようになっていた。


***


 昼休み。

 私はその光景を少し離れた場所から見ていた。


「凄いわね」


 思わず呟く。


***


「そうですわね」


 ルイーゼも頷いた。


「最近、本当に人気ですもの」


「ええ」


 以前なら違った。


 冒険者。

 平民。

 変わり者。


 そんな印象だったはずだ。


 今は違う。


「レオなら知ってる」


「レオならできる」


 そんな言葉をよく聞く。


 私は小さく微笑んだ。


 少しだけ。

 本当に少しだけ嬉しい。


 すると。


「リリアナ嬢」


 アレクシスがやって来た。


「どうしたの?」


「試験対策だ」


 彼の手には大量の資料。


「教師達が過去問をまとめていたらしい」


「よく見つけたわね」


「情報収集も実力だ」


 アレクシスらしい。


「レオにも渡してくる」


 そう言って歩き出す。


 私は少し意外だった。


「ライバルでしょう?」


 アレクシスが振り返る。


「だからだ」


 少し笑う。


「手を抜いて勝っても意味がない」


 その言葉に嘘はなかった。


 私は何となく安心した。


 この二人はきっと。

 良いライバルなのだろう。


***


 その日の放課後。

 図書館。


 試験前ということもあり満席だった。


 私も勉強している。

 そのつもりだった。


 だが。


「レオ君!」


「ここ教えて!」


「俺も!」


 相変わらず囲まれている。


 もはや勉強しているのか家庭教師なのか分からない。


 それなのに。

 嫌な感じはしなかった。


 以前なら少しだけ気になっていたかもしれない。


 でも今は違う。


 皆が笑っている。


 レオも笑っている。


 その光景を見ている方が気持ちよかった。


 ふと。

 教師が通り掛かる。


「レオ」


「はい」


「また質問攻めか」


「そうみたいです」


 教師が苦笑する。


「大変だな」


「楽しいです」


 即答だった。


 教師が笑う。


「お前らしいな」


 私はそこで気付いた。


 先生も。


 もう。

 平民のレオとして見ていない。


 一人の優秀な生徒として見ている。


 それは課題に少し近付いた証拠だった。


『皆に認められなさい』


 簡単な課題ではない。


 点数なら努力で何とかなる。

 剣も努力で強くなれる。


 でも。

 人の評価は違う。


 だからこそ。

 達成できたら価値がある。


 そう思っていた。


***


 帰宅前。


「お嬢様」


 レオが声を掛ける。


「なに?」


「これ」


 一枚の紙を差し出してきた。


 試験の学習計画だった。

 細かく整理されている。


 時間割。

 目標点。

 復習内容。


 驚くほど綺麗だった。


「作ったの?」


「はい」


「あなた意外と几帳面なのね」


「意外ですか?」


「かなり」


 レオは少し考える。


「三年前からです」


 私は止まった。


「え?」


「計画を立てるようになったの」


 レオが言う。


「街一番になるためには何をすればいいか考えるようになったので」


 その言葉に。

 私は返事ができなかった。


 三年前。


 私が軽い気持ちで出した課題。


 その一言が。

 この人の人生を変えた。


 そして今も。

 前へ進ませている。


「だから」


 レオが笑う。


「お嬢様には感謝しています」


 夕日が差し込む。


 オレンジ色の光の中。


 私は少しだけ目を伏せた。


 感謝される資格なんてない。


 だってあれは。

 本当に。

 ただの出来心だったのだから。


 だけど。

 もし。

 あの日に戻れるとしても。


 きっと私は。

 同じ課題を出してしまうのだろう。


 そんな気がした。

お読み頂き、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ