二十話
夜22時過ぎだった。
携帯が棚から落ちて、体に当たった。割れていないか確認すると黒い画面には反射で寝かけていた自分の顔が映し出されていた。少し嫌気がさしたので画面をつけると、駄菓子会のグループラインからだった。
通知を見ようかと思い迷ったが、意を決して通知を開いた。画面には、ぷーちの飼い猫のアイコンからの白い吹き出しで
「振られた」
とだけ。こういう時どうすればいいんだっけ。できうる限り思考をめぐらせてみた。
ムカつく顔をした犬が「どんまい」って言ってるスタンプ・・・違う。絶対に
「そんな日もあるよ」・・・これも違うな。
「大丈夫?」・・・いまいちだ。もう少しフォローが必要かも。
何度も時間をかけて入力し、すぐさま消していく。連打だけは早かった。結局のところ
「大丈夫?明日話聞かせて」
この無難な奴にした。そして、画面を閉じ棚の中央に携帯を置き眠りについた。
胸のあたりにあるざわざわとした心という名前の風船が大きく膨らんでいって、大爆発する夢を見て爆発したところで目が覚めた。一階からは朝食の目玉焼きか何かをフライパンで焼く音と「奈々、起きて~ごはん~」という母の声が
バタバタと階段を降りていき、ダイニングにはすでに白いお皿たちが今日も今か今かと私を待っていた。
朝ご飯を急いで食べて、歯を磨き、顔を洗う。バックに一日の荷物をつめて制服を着るのだが、先日から少しきついなと思っていたのが本格的にきつくなってきた。
「ねえこれきつい」
その声は母には届いていなかった。




