十八話
温めすぎたおかずを慎重に取り出し、ダイニングまで運ぶ。
料理だけがあたたかい寒い部屋。さっきまで晴れていたから明るかったが、急に曇り始めて暗くなる家の中のどれを見ていても、心が晴れ晴れするものじゃなかった。
久しぶりの登校ということもあってか非常に疲れていた。部屋の片隅に置かれた家電量販店の福袋だけが、やけに明るいように思える。いつもならあの棚の写真も、あのクッションもすべて元気の出る色なのに、色を失ったかのような感じだった。もくもくと食べ進める手が、やけに重たかった。
「はああ、やな感じ」
深いため息と同時にその言葉が自然と発せられていた。食べ終わり、シンクに食器類を置くと、まっさきにソファーに向かった。ソファーであおむけになって寝ると、窓から日が少しだけ差し込んできた。そのまま自分の宇宙に沈み込んでいくように眠りについた。
目が覚めると日は傾いて16時過ぎだった。庭の草木たちは、太陽が沈んでいくのを名残惜しそうに見ていた。
「そっか明日は木曜日か」
週のど真ん中から学校が始まることに、みんな不快感を示しているはずだが誰も何も言わない。
「誰かはっきり言ってくれればいいのに」
スマホを取り出して永遠に続く縦長の動画の向こう側には今日もうらやましい人たちが立っていた。誰かと夕焼けの空で手をつなぐ写真とか。
この日だっただろうか、そういう人たちに妬ましいという感情を持ち始めたのは。




