九十二話 魔族革命軍と捨て駒
——数日前。
「……で?本題は何や?カオリはんの七冠候補入りのためだけに集めたわけないやろ?」
δはAøをまっすぐと見つめる。
「δには何でもお見通しだなぁ。まぁ折角上がったし入るか……。」
Aøの雰囲気が一気に重くなる。
「数日後にホッカイドウの試験を襲撃する。」
「「「……!?」」」
七冠達は目を丸くする。
「そうや……ワイが送った試験本部のスパイから聞いた話なんやが……。」
δが声をひそめる。
「……あの、英雄エリック、コウ聖騎士団長が参加予定やと。」
「なるほど、じゃあルンタもあるわけか!」
βは刀を取り出す。
「また一戦——」
「あんたバカなの?そんな魔境に一人で行ったら確実に死ぬわよ……。」
εはため息をつく。
「まぁ、確かに“一人”だと確実に死ぬな。」
Aøは組んでいた足を組み替える。
「お前達の部下を集めて一斉襲撃を行う。お前達が出るのはリスクが高すぎる。」
「じゃあ、誰出すんすか?」
γは鼻を触る。
「優秀なものを数名……あとは使い捨ての駒でええんちゃうか?αはんのケイタとリルルはぜひ引き入れたいんやけど……。」
δは手を合わせてお願いする。
「いいじゃろう。ケイタ達のいい経験になる。」
αはすぐに承諾した。
「私は、≡を出そう……。」
πはボソッと言った。
「え?本当に?」
εは呆れたように首を振る。
「あの?国売ったザマァ……なんとかだっけ?もっと優秀のを——」
「もちろん捨て駒だ。」
πは紅茶を口に含む。
「あくまでも目的は、エリック達の討伐……は高望みか、人間の殲滅と戦闘データのサンプルをとることだ。優秀なものが死にそうと判断したら即撤退だ……できるな?δ。」
「わ、ワイ!?」
δは急に大役を任せられて紅茶を少し服にこぼす。
「お前を総監督を任せる。」
Aøは座るδの肩に手を置く。
「了解——魔族革命軍の総監督として恥のないように……。」
「魔族革命軍?ダッサ。」
εはクスクスと笑う。
「こう言うのは男のロマンやろ!」
δは恥ずかしそうに声を強めた。
——魔族革命軍会議
「って訳でワイは魔族革命軍、総監督δや。」
δは円卓の上で腕を組む。
そこの後ろには月の光に淡く光るステンドガラスが張り巡らされている。
「今日は初対面やから自己紹介を軽くしようや。ほい、じゃあまず——」
「ホッホッホ。初めまして、この素晴らしきδ様の情報網。道化師のルーディカップと申します♪」
ルーディカップはさながら遊園地のピエロをそのまま持ってきたような姿をしていた。
——萌え袖から鋭い爪が少し見えている。
「私の主な役割はみなさんの作戦をサポートする情報を仕入れること♪全力で協力いたしましょう♪」
ルーディカップはニヤニヤと笑いながら席についた。
「じゃあ次。えっと、αはんのそれはもう偉大な部下——」
「リルルだよ。おじ様から言われて参加した!」
リルルは舐めかけの棒付きキャンディーをケイタに渡して元気に自己紹介する。
「……おい。バッちぃな……。ケイタだ。俺らは主に戦闘を行う。」
ケイタは強引に棒付きキャンディーをリルルに押し付ける。
「で、ケイタはんは、魔族革命軍のリーダーをしてもらんやけど?ええかな?」
δは屈託なく笑って聞く。
「はい!はい!元国王の僕ちゃんが適任だと思いま〜す!」
(自分が……πはんの言ってた……捨て駒……。よお、この会話に関わったな……。)
δには体感で強さがわかる。
——ケイタやルーディカップは別格……その中でも異様の弱さだった。
(こいつ……野良魔族より弱いやないか……。その胆力だけは誉めたるわ。)
「よく名前を脳に刻めよ〜!僕ちゃんは≡僕ちゃんこそがリーダーに……。」
「さて……。」
δは≡の言葉を強引に遮る。
「総監督!僕ちゃんは王だぞ!」
「魔族に堕ちた自分が王?自惚れるのも大概にしろや。」
δは冷たい視線を向ける。
「……さて次の人——」
δは何事もなかったかのようにニコニコしながら自己紹介を円滑に回す。
「よし自己紹介は終わったな。いよいよ作戦概要や……。」
δはニヤッと笑う。
「今回の目標は、人間の殲滅、そして戦闘サンプルが取れれば万々歳や。」
δはルーディカップに合図を送り円卓の上に試験場のモデルを映す。
「……簡単に言えば、人間の未来の芽をまとめて摘み取る『大掃除』ということですか?」
シャチがδに聞き直す。
「せやな。いい例えや。βはんの部下は飲み込みが早くて助かるわ。」
「ありがたき幸せ。」
シャチは嬉しさを一ミリも外に出さずに礼をする。
「ですが、どうやって侵入するのだ?Gらは結界で弾かれる。」
Mr.Gはモデルを指し示す。
見た目はゴキ——黒い虫のように月光を反射し外骨格から筋肉が溢れ出している。
「ホッホッホ♪それは、私が結界を破壊しておきます♪」
「ルーディよ本部にバレないのか?」
Mr.Gは円卓の左側にある塔を指し示す。
「ホッホッホ♪スパイの調査によると“今年はだいぶ怠慢で壊しても後回しにするでしょう”とのことですよ♪」
ルーディカップはお辞儀をしながら言う。
「で、配置だが……。」
——δは配置をモデルを使って確認した。
「決行は試験1日目の夜、寝込みを狙う。そっちの方がリルルはんも動きやすいやろ?」
「うん!ありがとう。」
リルルは無邪気に返事をする。
「いい結果を期待してるで。」
δは魔法陣の中に入り帰宅していった。
「なぁ作者。」
「δ今日は出番多かったね。」
「まぁな革命軍——あかんダサい言われてもうたから改名せんとあかんなぁ。」
「ハイハーイ!僕ちゃんは“合同軍”で——」
「「……。」」
「俺は、神殺しの行進」
「合格や……。どっかのアホとはちゃうわ。」
「次回!」
「「「カムイとスマホ」」」
「どう言うタイトルや……。てきと——」
「う。ではないですよ??」




