九十話 ラッキーマンとコウ
※今日は頭おかしい回です(脳を空っぽにして見ていただけると嬉しいです。)
——試験会場南東部
「……オレをもっと熱くさせる骨のあるやつはいねぇのか?」
ライラはあくびを噛み殺す。
「……ライラさん。あくまでもこれは暗殺任務……受験してるわけではありませんよ……。」
ブリッツは胃薬を水で流し込む。
「無双するのは当たり前だが……バグがなかなか見つからない。試験会場が広すぎる。」
エルシィは頭を抱える。
「少し、疲れるがあれを使うしか……。」
「超星石、ブドウ糖タブレットは持ってるか?ここで低血糖でぶっ倒れられても困るからな。」
「……わかってる、ブリッツ。」
エルシィは恥ずかしそうに顔を隠す。
「ブリッツ!女はなぁ……恥ずかしいんだぞ!!」
ライラが頬を膨らませる。
「すいません。」
ブリッツは謝る。
——本心かは定かではないが……。
エルシィはそっと口元の包帯を下に外す。
包帯の下には口を閉じていても不気味に笑って見える傷が付いていた。
——ボリ
エルシィはタブレットを食べて全神経を五感に集中させる。
——五感超越
——ザッザッ!
——ドドド!!
——試験楽勝……ゴフ。
エルシィは今、五感が人間の数百倍にまで引き上げられている。
(うるさい……目が痛い……。)
エルシィは超越した五感を使い——自分とも戦っていた。
——何これ!気持ち悪!!このスロット男!!ハァアアア!!もう嫌ァァァア!!
エルシィはその騒がしい声が聞こえるところに全神経を注ぐ。
「見つけた。」
エルシィはふらつきながらもある一点に向かって歩き出す。
「タブレット食べさせてあげましょうか?」
「……た……のむ。」
エルシィはげっそりとした顔でタブレットを口に入れてもらった
——声の主……。
声の主はエルシィが聞き取った情けない声……コウだ。
「な、なんだお前……!?」
「アハハハ!!ラッキーマンさァァ!」
(話の通じなさそうなやつだ……。)
コウは対話を諦める。
「あらぁ。もやし様に近づこうとは不純ね……何人たりとも容赦しないわよ♡」
アイリが拳をチェンソーに変える。
「若造……本気でやり合うのか?」
ロウドルはラッキーマンを制止する。
「儂は、幾つも戦場を——」
「しらねぇ!!雑魚しばいて気持ちよくなりたいんだよ!!」
ラッキーマンはロウドルの制止を振り切って飛び出す。
「セロリ、コムギ……あなたたちと手を組むなんて癪だけど……もやし様を傷つける奴を消すためなら、仕方ないわね。」
「ほんっと、仕方ないわねぇ♡ まあ、もやし様が一番好きなのはアタシでしょうけど♡」
セリは上目遣いで言う。
「……この戦いが終わったらあなたを細切れ――」
「ふ、二人とも!目の前の敵を倒そう……。」
コムギはポチをなでながら言う。
――ブウウン!!
アイリは真っ先に動き出しラッキーマンに襲い掛かる。
――ガガガ!
二人の間にロウドルが割って入りアイリのチェンソーを白い”何か”で止める。
「お嬢さんらの相手は儂がする。」
「……あら?爺さん」
アイリが目を細める。
その直後だった。
――ドォン!!
少し離れた場所で、凄まじい衝撃音が響いた。
——音のする方
「ビビってるだけかぁ?肩透かしだなぁ!!聖騎士団長!」
(はい。ビビってるだけですが?なにか?ほんの一か月くらいで気づけば世界第二位の強さになってるし?ビビってるだけなのに勝手にあがめられるし?もうこいつが正解だよ!?!?)
『もやし。多分俺出るとすぐ終わるな、たまには自分で戦えよ。』
(は?は?何このの悪魔。レンタルしてますよ?体!そんな生意気言っていいんすか??)
分かり切ったことだがコウの脳内はうるさい。
――だが外から見れば……
「……。」
(へぇ?俺の攻撃をそんな顔でよけられるか……チンピラをワンパンできるんだけどな……。)
ラッキーマンは警戒する。
その一方で――
コウの体はブルブルとずっと震えている。
(こ、これが……武者震い……。)
――ポチャン
額から冷や汗が落ちる。
「……焦ってるのか?」
(冷や汗……!この俺が……)
ラッキーマンの口元から、笑みが消える。
(……違う。あの男……俺の攻撃を受けてなお、余裕を崩していない……身体は震えている。だが……恐怖じゃない)
ラッキーマンは、コウの“嘘の圧”に押されていた。
(え?シンプルに心配してあげただけなのにめっちゃ震えてる……やっぱりやばいのかな?)
「大丈夫か?」
(戦闘中なのに相手の心配……なんて余裕。スロットを使わないと……勝てないってわけか。)
ラッキーマンはニヤッと笑った。
「なるほどな……お前の倒し方よくわかったぜ……!」
「……?」
「普通にやったんじゃ、勝てねぇってことか!!」
ラッキーマンはさっき着たばかりの服を破り捨てて両手を広げる。
そして――
「スロット!スタート!!」
コウの顔が引きつった。
(いや待て。何その物騒なスロット!?)
「何これ!気持ち悪!!このスロット男!!ハァアアア!!もう嫌ァァァア!!」
コウは絶叫する。
(こ、これは……敢えての絶叫で俺を惑わす作戦……!?)
ラッキーマンは勝手に考察を広げていた。
『もやし。嫌な予感がする。』
暴力の悪魔はそっと掌に移動する。
「さぁ数字は……ん?666”大外れ”……!?」
ラッキーマンの腹に埋め込まれたスロットが白く点滅し始める。
——3
「え?なになに!?」
ラッキーマンはパニックになってジタバタと暴れる。
——2
(なになに!?このカウント??やめてよ……自爆とか。ギィヤヤヤヤ!!死ぬゥ死ぬゥ。)
——コウも同じだった。
——1
ラッキーマンは何かを悟って諦めたように笑う。
——0
——ドカーン!!
「やっぱ爆発かよぉ!!キェェェエエ〜」
ラッキーマンは爆風で空にぶっ飛びどこかへ消えていった。
「なんじゃと……!?」
ロウドルはアイリ達がロウドルに視線を送る前に身を潜めた。
——ここで死んだら計画が崩れる。
「さて、五章の連投稿も今日で終わりです!」
「なんで俺の自爆回がラストを飾ってるんだよ!?頭おかしすぎだろ。」
「……若造。儂の制止を聞いてればこんな醜態は晒さずに済んだんだぞ?」
「……はい。ドパリたかっただけなんです……。」
——おい作者!日曜の振れ幅おかしいだろ!byエリック
——私たちの出番早くよこせ!byリサ
——強盗したら手が滑っちゃった件発売——byホイップ
「うん。最後のは絶対やめろ、あと外野どもうるさいぞ。」
「ってことで次回!!」
「「「綻びと残された仲間」」」
※この話を持って九十話突破です!
これからは通常の投稿ペース(土・日・祝日)の19時になりますが、もしこの作品が面白い!と思ってくださったらブクマや評価していただけるとスゴクスゴクスゴク嬉しいです!
また来週お会いしましょう!




