八十八話 スペイントと有理化
※日曜朝から重い展開すいません(;^_^A
——数年前……コンセン孤児院
「イヒヒヒ!お前らは泥がお似合いだぜ!」
いじめっ子の一人がジュラル達に泥をかける。
——いつから虐められるようになったかもう記憶にない。
「お前らみたいな落ちこぼれは、俺達に淘汰されるのが当たり前なんだよ!」
ジュラルは自分だけに全てがかかるようにオーロ達を隠した。
「オーロ達は情けなくないのか?全部守ってもらっちゃってよ。」
いじめっ子はヘラヘラと笑う。
「そういえば……お前、世界一の冒険者になるってなぁ?」
いじめっ子達はヘラヘラとした態度で笑う。
「無理〜無理〜!ヘハハハハ!!お前らみたいな落ちこぼれが?世界一の冒険者?笑わせて——」
——ゴフッ
いじめっ子はジェットにぶん殴られる。
「おい、お前今なんつった?あ?笑わせてくれる?別にお前らが馬鹿にしようが虐めようが俺はどうでもいい。」
孤児院の中のガキ大将、ジェット……が唯一許さなかったこと。
——それは
「ただなぁ?人の夢を馬鹿にするのは野暮って奴じゃねぇか?人の夢を笑うのは、夢を持ってねえ奴だ。」
ジェットは乱暴にジュラルの髪を掴む。
「俺は、お前達を助けに来たわけじゃねえ。よ〜く頭に刻め?お前らの夢は叶わない。」
ジェットはそのままジュラルを壁まで投げ飛ばした。
——十数年前……当時6歳、俺は元々スペイントという国で過ごしていた。
ザマァサレール王の暴政によって一夜で魔族に滅ぼされた国……。
——スペイント西部
「パンを二切れくれ。」
「……銀貨三枚だ。」
ジュラルは格好をつけながらお金を渡す。
「聞いたか?ジュラル、エリーヌ嬢が婚約破棄されたようだ。」
パン屋の店主はジュラルに耳打ちする。
「え!?」
ジュラルが大きな声で反応するのをパン屋の店主はなんとか口を押さえる。
「馬鹿……これはあくまでも噂だ。ここからの話は他言無用で。」
パン屋の店主は悪い顔をする。
「あの、ザマァサレール王の時代から税金高いだろ?どうやら税金を私利私欲に使ってるらしいぞ?」
「……は?」
ジュラルは思わずポカンとする
「こんな国クソだと思わないか?」
「お、俺は楽しければ……。」
——グモモ
パン屋の店主はジュラルの口にクロワッサンをぶち込む。
「このままでどうする?若いもんが諦めたらおしまいだ!こんなクソみたいな王にギャフンと言わせろ。そのクロワッサンはサービスだ。さっさといけ!」
パン屋の店主はジュラルの背中を押して手を振る。
(って言ったってどうするんだよ……。)
夕焼けがジュラルの髪を赤く照らす。
(俺は、ママやパパがいなきゃ寂しくて生きていけないよ。)
ジュラルは急いでクロワッサンを全部食べ切り飲み込む。
——両親に見つかったら確実に狩られる。
「ただいま!あのね……。」
(そうだ。あれは秘密だ。)
「なに?」
エプロンをつけたママが優しく聞く。
「何でもない!」
ジュラルは勢いで笑って誤魔化した。
「ジュラル今日はパパが作ったシチューだぞ〜。」
パパが温かいシチューの入った鍋を分厚い手袋をして持ってくる。
「さぁ食べましょう。」
ジュラル達が食卓についた……そのときだった。
——ゴシャ
——真っ二つに切れた天井から場違いなほど綺麗な夜空が見えた。
「逃げろ!魔族だ!!ア゛ァァ——」
ジュラル達は急いで外に出た。
ジュラルは恐怖で目を開けていられない。
——その時
ジュラルの耳がじんわりと温かくなる。
恐る恐る目を開けるとママが耳をそっと隠していた。
「大丈夫。大丈夫よ。何も聞かなくていいのよ。」
そういうママの顔は恐怖で顔が歪んでいた。
目指すは、スペイント城そこに行けば命をは助かるはずだ。
ジュラル達はわずかな希望に縋り必死に魔族の猛攻から逃げる。
「止まれぇ!前方に魔族!傭兵達が交戦中!」
大きな声で男が叫ぶ。
「弱いなぁ。そんなんじゃ……。」
その魔族は大蛇のような体に腕が4本も生え全てに大きな剣を持った——化け物だ。
「有理化もできない。」
——ズブシャアア
傭兵が一瞬で切り捨てられる。
ジュラル達は引き返して別の方向に逃げる。
——が。
「腹減ったなぁ。いいとこに食いもんあるじゃねぇか。」
化け物は一瞬でジュラル達の方へ回り込む。
「逃げるなよ?食いもん共が。」
——平方根
——ズザザザザ
化け物の一振りでジュラルの周りの人が一瞬で消える。
「え?」
ジュラルの手の平は赤く濡れていた。
「……ジュラル……こ……っちにおいで……」
「ママ!」
ママの目はずっとどこか遠くを見ていた。
「マ……マ……と……パパは……とおくへいっちゃうわ。」
「……?何言ってるの!そんなところで寝ちゃ風邪ひいちゃうよ!」
ジュラルに”死”を理解するのにはまだ早すぎた。
「……ふふ……優しい子ね……。」
ママはそっとジュラルの頭をなでる。
「い……い?この先……どんなことが……あっても……あなたは……幸せになって……。」
ママは最後に世界でいちばん優しく微笑んだ。
――これが最後の言葉だった。
「お?やっと仕込みが終わった。どけ鮮度のまずいガキ。」
そう――√はニヤッと笑った。
「重いわ!!イケメン道の原点だとしてもな……。」
「作者も反省してます……朝からかつ丼食わせてる感じだよね……。」
「てか私たち全然出てこないんだけど?作者の住所特定――」
「するなよ?ホイップ!?」
「犯罪未遂者もあらわれたことで次回!」
「「「幼き牙と現在地」」」
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