七十八話 天然とテレビ放送
「よろしくね!」
メルマは元気すぎる声で言う。
「わ……私リサ。」
リサはメルマの元気さに圧倒されて縮こまる。
「拙者はルンタ。でこいつは……。」
ルンタはクサナギを紹介するか迷ったが自己紹介は大事だろうと鞘を抜く。
『ううん。』
クサナギは咳払いをする。
『どうも、素敵なお嬢さん。オレッチはクサナギ。』
クサナギは最大のイケボ……のつもりだろうか?声を低くして続ける。
『今日は、素敵な日だ。月も綺麗だし、貴方も綺麗だ。こんな日に挨拶できるなんて幸せだ。』
「ありがとう!!」
メルマは月……と言うより太陽のように笑う。
ムラホシに向けた上品な笑顔とはまた違う。
『いいねぇ。その笑顔。俺、そういうの弱いんだよ。』
(手強いな……。)
クサナギはメルマのペースに段々と飲まれていってしまう。
「そうなの?おしゃべりする剣なんて面白ーい!」
『あぁ……。』
クサナギはイレギュラーすぎる状況に少し焦る。
ちらっと横のルンタに助けを求める視線を向けるがルンタは無視する。
(旦那ぁ〜助けて、この人口説きに全てカウンターしてくるよ〜。)
しかし口説きを始めた以上諦めるわけにはいかない。
(美人とウハウハしてぇんだ!)
『メルマちゃんは、オレッチの名前覚えてくれた?』
「うん!クサナギでしょ。」
そして、急にトーンを下げる。
「私好き……。」
『……ふぁ!?』
メルマの不意打ちの言葉にクサナギが口説かれそうになる。
(ば、馬鹿な。このオレッチの心臓が……あ、心臓はなかったか……と、とにかく口説き返されてる!?)
クサナギはもうパニックになって柄が熱くなるのを感じた。
「だって、名前も覚えてくれたし〜何より面白ーい!」
メルマは鼻歌を歌いながらニッと笑う。
クサナギはやっと気がついた。
——この人天然だ。
そして、クサナギは白目を剥いて大人しく鞘に収まった。
そうしているうちに、家に着いた。
数段しかない木の階段を登り、家の中に入る。
「ごめんなさいね。喋りすぎちゃって。」
メルマは舌を出して謝る。
「いいですよ。意外とお茶目な人なんですね。」
リサは優しく笑う。
「五時間も歩いたから腹減ったなぁ。」
エリックがリビングの中にそそくさと入る。
「誰のせいだと思ってるのよ?」
「自業自得だ。」
リサとルンタがため息をつく。
「丁度いいわ。ご飯にしましょう。」
メルマはあっという間にエプロンに着替え台所に立つ。
さっきまで擬音だけで会話してた人とは思えないほど手際がよく料理が進む。
(拙者の料理の参考にしよう。)
ルンタはじっとメルマの料理を観察する。
「そんなに楽しみなの〜?サイボーグってガソリンとか鉄が好物じゃないの?」
「好物はマヨネーズをたっぷりつけた唐揚げだ。」
ルンタは即答で返す。
「あ、やっと戻ってきた、暇すぎてモヒカンとゲームしてた。」
「し、師匠……一回も触られずにボコボコにされるとは……。」
ムラホシは格ゲーが上手い……いや、ニホンの中でも上位にいるだろう。
「世界ランク8位の俺に勝とうなんて二億年早いね……そんなことよりもいい香りだね。」
ムラホシはエリックの隣に座る。
エリックは自然にムラホシの肩に腕を回す。
「お前、FREEの仕事はしっかりしてるのか?」
エリックは麦茶を自分の分とムラホシの分に注ぐ。
——カチン
二人は麦茶で乾杯する。
「仕事……?まぁたまにサボってるけど並にはやってるよ。」
「お前、災害の悪魔の時招集されてただろ?ニホンにいるFREEは俺とマチルダとムラホシしかいないんだからさぁ〜来ても良かったんじゃないの〜?」
エリックは情けなく泣きそうになる。
「俺とマチルダだけじゃ心配だって〜だってリサが毒にやられちゃったんだぜ?」
「それは、悪いと思ってるけどさ?こっちだって畑仕事や昼寝で忙しいんだよ。」
ムラホシはグビッと麦茶を飲み干す。
「本当、変わらないな、お前は。」
エリックはため息をついて麦茶を飲み干した。
——ピッ
リサが魔導テレビのリモコンの電源を入れてニュースを見る。
「リサってニュース見るんだ。」
「失礼ね!私は199歳のお姉さんよ!」
リサは輝く金髪を手でサラッと撫でる。
「はい、はい。そうですか。」
エリックは雑に返す。
(酒飲んだこいつは5歳児だけどな……。)
「なんか失礼なこと考えてたでしょ!」
リサはプイッと魔導テレビの方を向いてしまった。
——速報。巨人の国の国王ヴァーリが殺害されました。
ニュースキャスターから現場の緊張感が伝わる。
——犯人であるヴァーリ王の息子フェンリル容疑者が現行犯で逮捕されました。
テレビ画面には木の巨大な十字架に縛られたフェンリルが写る。
(デッカ!?)
南アメリカにある巨人の国は巨人が住む国家、ニホンからも観光客が集まる観光地だ。
リサはフェンリルをみてクッションに隠れる。
「何あいつ……怖い。」
リサはブルブル震えていた。
——が
「す、すげぇ!!」
エリックは目を輝かせてフェンリルを目に焼き付けていた。
——また速報が入りました。フェンリル容疑者から声明があがりました。
十字架に磔にされたフェンリルは豪快に笑う。
そして——大きな口を開いた。
『クッソー、メルマちゃんまじパネー。』
「あぁまさかクサナギが口説き返されるとはな……ふっ……す、すまぬ、笑いが堪えられなくて。」
『失笑だな。はは!』
「クサナギ。失笑は“笑ってはいけない時に笑ってしまう”ことで“笑いが漏れてしまうことではない”。」
『急なうんちくやめろ?この作品で頭が良くなることはないからな?』
「アタマヨクナル。」
「『作者!?』」
「スッゴクヨクナル。イイナ?」
「「「次回」」」
「「「動揺と争いのない世界」」」
「ミンナヨンデネ。アタマヨク……」
「ならん。」
※絶対これを読んで頭は良くならないのでテストがやばいなら勉強しましょう(僕もだが^^;)




