七十六話 無責任と一本道
「よっと……ついたね。ホッカイドウ。」
エリック達がゆっくりと目を開けるとあたり一面の草原に一本道が地平線まで続くところにやってきた。
(あれ?市街地にいくように調整したはずなんだけどな?またミスった?)
「どうしたの?バツの悪い顔をして……。」
「な、何もないよ?」
エリックは冷や汗をダラダラ流しながら不自然に答える。
「目的地まで何キロ?」
「わっかんね☆」
エリックの言葉にリサ達は絶句した。
『……飛行魔法でどれくらい?オレッチ三時間がお腹空くから限界だけど。』
「わっかんね☆」
「じゃあどーすんのよーー!!」
リサが頭を抱える。
「とりあえずぶらぶらして助けてもらうか。」
エリックはスパッと決めて一本道を歩き出した。
(他力本願な英雄って……。)
リサとルンタはため息をつきながらもエリックの後に続いた。
——一時間後
「まだ?」
額の汗を拭いながらリサはエリックに聞く。
「まだだね。頑張って進もう。」
エリックはリサの方を見ずに言う。
——五時間後
「……し、ぬ。」
リサは声を絞り出す。
「エリック殿まさかだが目星が付いてないとかないよな?」
ルンタはまさかそんなことはないと恐る恐る聞く。
「あったりめーだろ。ホッカイドウのどこかわからないし。」
エリックはさも当たり前のことのように軽く言う。
「もーダメ。歩けない。199年生きてきたけどこんなに歩いたの初めて〜。」
リサは完全にバテて道端に座り込んでしまった。
「試験は7日後だけどどーしても寄りたいところがあるから、そこはオアシスだぞ?」
一切の疲れを見せないエリックがリサを鼓舞する。
(その体力で言われても……!?)
「ってか7日後ってどう言うこと!?」
「あ?言ってなかったけ?」
ごめんごめんとエリックは笑って謝る。
(こんなのが英雄で神様はサボってるの?)
リサは本気で神様に問いたくなった。
——ザッ
突然、後ろから土を蹴る音。
何か来る。
「リサ、ルンタ構えて。」
先ほどの無責任な態度から打って変わって冷静になる。
——ガッ!!
エリックは相手の攻撃を後ろ向きで防ぐ。
「流石、師匠の兄。強い。」
攻撃を仕掛けた男が後ろから言う。
(……?ピピに弟子なんていたか?)
エリックは疑問を胸に持ちながら振り返る。
そこにはモヒカン頭のいかにも悪な男が立っていた。
(ピピ!?こんなやつと絡んでたの!?)
エリックはショックを受ける。
「お、お前、ぼ、僕の妹といつ関わったか知らねぇけど、変なことしたら許さないからな!リサ、ルンタ、手を出さないで!」
エリックは手のひらに火球を作る。
(妹バカね……。)
リサは呆れる、しかしこの男は別の感想を持っていた。
(妹思いのいい兄だ。)
全く逆な感想を持った二人は戦地から少し離れた。
「手合わせお願いします。」
モヒカンは一礼してから手の甲を相手に向ける。
——酒精散布
その時一瞬で周囲が消毒液のような匂いに包まれる。
(なんだこの匂い……!?)
エリックはすぐさま火球をしまう。
「エリック!なんで最大魔法をしまったの?」
観戦するリサがエリックに質問する。
「周囲にアルコールが漂ってる。火をつけたら一瞬で爆発する。」
(こう言う時のエリックは頼りになるのに……。)
リサはため息をついた。
「流石です。一瞬で見破られてしまうとは。」
モヒカンの目は教えをこう弟子のようにキラキラしている。
(なんだ?このモヒカン?)
エリックは一瞬で間合いを詰める。
「ごめん寄らないといけないところがあるからもう、終わらせるよ?」
——一般公用魔法
——ズガガガ!
ものすごい轟音と共にモヒカンは吹き飛ばされる。
「か、完敗だ……師匠をお守りできるようにならなきゃなぁ〜。」
モヒカンはボコボコにされたのに笑っていた。
「ちょ、モヒカン何してるの?」
後をゆっくり歩いてきたムラホシが言う。
「ちょっと手合わせを……。」
「手合わせを……じゃない!だるいことに——!?」
二人は目を見開く。
「エリック!?」
「ムラホシ!?」
二人は何もかも忘れて抱きつく。
「兄さん帰ってきてたなら言ってよ。」
「サプライズで驚かせたくて……。」
「兄さんがその気なら大成功だね。」
エリック達はこの場にいる“?”を全て置いてきて再会を喜ぶ。
「新聞読んだよ。でっかい悪魔を倒したんでしょ?」
ムラホシはいつものやる気の無さはどこへ行ったか生き生きと喋る。
「あのぉ〜?」
「あぁ、まぁ悪魔なんかに負ける僕じゃないけどな。」
リサの声はエリックに遮られる。
「態々、ここまで来てくれるなんて、母さんも喜んでくれるよ!」
ムラホシは家の方向を指差す。
「さぁ行こ——」
「なんでなんのツッコミもなしに進んでるの!?まずあなた誰?」
リサはあまりの展開の速さに一旦頭を整理する。
「あぁ、そうだった。」
ムラホシはめんどくさそうに頭を掻く。
「俺の名前はムラホシ、FREEの隊員の一人だ。」
「なんで、あの状況で再会を喜べたの?」
「いやぁひさしぶりだからね(笑)」
「「(笑)じゃない!!」」
「作者もなんとかして?もっとかっこいい英雄は書けないの?」
「無理☆」
「無理じゃない!」
「作者殿もエリック殿も無責任にも程があるぞ……。」
「次回」
「「「家族とウィーンランド」」」
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