↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

76/94

七十五話 別れと帰る場所


次の旅に備えてエリック達は荷物をまとめ始める。


ピピ達には黙ってここを出ることにした。


(悪いな。風のようにいなくなった方が旅人らしいだろ?)


「みんなには黙って行くの?」


二日酔いのリサは口元を手で押さえながら荷物をまとめ終えて聞く。


「……うん。」


エリックは後ろめたさが混じった声で言う。


「ふーん。じゃあなんで夜のうちに出ないの?」


リサはニヤリと笑う。


「本当はそう言って見つかってあーだこーだの流れがやりたいだけでしょ?」


「酔っ払いは頭が回るな本当に。」


エリックはため息をついた。


「……1000、1001」


——ビュ!


『ギャー!死ぬ!?死ぬぅ!?』


外からルンタの素振りの音と共に、泣き叫ぶクサナギの声が頭の中に垂れ流しになる。


——うるさい。


「でも、ちゃんとお別れ言わなきゃダメでしょ?」


リサは優しく笑う。


「……ったくわかったよ。ちぇ。ちょっと憧れてたのに。」


エリックはそう言いつつも少しだけ笑った。


エリックは鼻歌を歌いながら荷物をまとめ、リサは途中途中吐きそうになりながらなんとかまとめる。


「二日酔い平気かよ?」


「平気……って言いたかったなぁ……ウッ。」


リサの顔は半分死んでいた……。


素振りの音がいつのまにか止んだと二人が思った時、ルンタは涼しい顔をして素振りから戻ってくる。


「おい、出るってのに素振りする奴がいるかよ?」


エリックがジト目でルンタを見る。


「いや、もし旅先で強敵に会った時対応できなくては意味がない。白熊(ベアー)と戦ってよくわかった。」


ルンタは真っ直ぐエリックを見つめる。


その義眼の奥には炎が揺れていた。


「まだ強くならねばならない。大切なものを守るためにな。」


ルンタの言葉にエリック達は圧倒され動きを止める。


「なんだ?変なこと言ったか?」


ルンタは急に重くなった空気に対応できない。


「ありがとう。」


エリックはただそう言って笑った。


荷物をまとめて外に出るとフクオカの人々や魔法軍の人がすでに見送る準備をしていた。


(……出る前からバレることある!?)


エリックは大きくため息をついた。


「お兄ちゃん?な〜に無言で出て行こうとするの?」


ピピが指でエリックの頬をぐりぐりしながら問い詰める。


そしてピピは堪えきれずエリックに抱きつく。


「やっぱ寂しい〜行かないでぇ。」


「この年してそんなこと言ってて恥ずかしくないのか……。」


エリックはピピを黙って受け入れた。


「ピピ……エリックは次に進まなきゃいけない……いたた……と、ともかく俺たちも進まなきゃいけない。いなくなった隊員の捜索、瓦礫の撤去……避難民の支援……。」


ソーマは二日酔いの頭を押さえながら、珍しく喋り続ける。


いつもより饒舌なのは、気のせいだろうか……。


「別々の道に進んでもいつかは交わる。」


「ほ、ほんとう?」


ピピが涙目でソーマに聞く。


「あぁ、だからよ?別れくらい笑って見送ろうぜ?」


自分の体よりも遥かに大きな瓦礫を担いだゾムが口を挟む。


「じゃ、じゃあね。もし途中で死んだら一生墓の前で泣き続けるからね!」


ピピは泣きながら笑った。


「ったく。面倒な妹だな。」


エリックは最後にピピの頭を撫でてから転移魔法陣を展開する。


そしてニコッと笑いながらエリック達は魔法陣に飛び込んだ。


フクオカの人たちの声は魔法陣が消えても続いていた。


——新たな冒険が始まろうとしていた。


——ホッカイドウのある家


「ただいま。母さん。」


「お、お邪魔します。」


買い物を済ませたムラホシは何故か弟子になったモヒカンと共に家に帰る。


「ちょっと遅いわよ本当に心——!?」


息子が連れてきた謎の男に母さん……ことメルマは目を見開く。


「だ、誰!?」


「それはこっちが聞きたいよ。いや、こいつが悪さをしてたから糸で拘束してお金に困ってそうだからお金渡したらついてきた。」


ムラホシはめんどくさそうに頭を掻く。


「わ、私はあなた様の息子さんの弟子にならせていただきましたモヒカンと、も、申します。む、息子さんは善悪で人を見るんじゃなくてその先を見てくれました。わ、私はこの人しかいないと肌でビビッときました!」


モヒカンがここぞとばかりに早口でムラホシを褒める。


「人生ちゃっかり変えてるじゃない〜。」


メルマはいい報告に上機嫌だ。


「この家も二人暮らしには広すぎるしあなたの部屋もあるはず、いいわよ。住んじゃって。」


メルマはあっさりと言う。


「ありがとうございます。師匠のお母様。」


(……諦めるしかないのか?もう。)


ムラホシはフラフラと自室に向かった。


「……で?モヒカンの固有魔法はなんだ?」


モヒカンは自室に勝手に入ってきたが受け入れてムラホシは聞く。


「俺の固有魔法は……」


その時部屋がアルコールの匂いに包まれる。


「くっさ。何これ?」


ムラホシは消臭剤を振り撒く。


「これです。魔力をアルコールに変化することができる。」


モヒカンは声を小さくして言う。


「属性は炎。今、着火すればこの部屋は吹き飛ぶ。」


「……!?」


モヒカンはサラッとエグいことを言ったがそれを気にしないくらい軽く言う。


「やりませんよ。でもとにかくお荷物にはならな……。」


「その力を人のために使えよな。それだけでいいや。」


ムラホシは適当に話を切って寝てしまった。


(やっぱりこの人しかいない……。)


モヒカンはムラホシの言葉のノートにメモをした。


——再会まではもう少しだ。

「もう九月かぁ、夏終わるの早いなぁ〜。」


「エリックは秋は嫌いなの?」


「嫌いじゃないけどさぁ〜、夏休みあと45日増やしても良くない?」


「どんだけ休みたいのよ……。」


「僕も!◯ケモンの時間が増え——」


「作者は勉強平気なの?」


「次回(強引)」


「「「無責任と一本道」」」


「勉強?何それ美味しいの?」


((ダメだこりゃ))

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。