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七十四話 ホッカイドウとムラホシ


「免許切れてるなエリック。」


「あぁ……。」


なんとも言えない気まずい雰囲気が二人の間を包む。


「え?てことはあの試験もう一回受けるってこと?」


エリックは露骨に嫌な顔をする。


「あぁ前回の……俺たちがFREEに入隊するきっかけになったあの試験な……。」


マチルダは一瞬寂しい顔をする。


「で?今回の会場は?」


「なんで俺に聞くんだよ?俺はただえさえライブを見逃して機嫌が悪いんだぞ!」


とは言いつつもマチルダは魔導ネットワークに脳内を繋ぎ調べる。


「……ホッカイドウだ。」


マチルダは不機嫌そうに返す。


「……ホッカイドウ……。」


エリックは懐かしそうに笑い膝の上ですやすや眠るリサの髪をそっと撫でた。


——サッポロ郊外。


ムラホシは小雨の降る中、傘を差して暗い路地を歩いていた。


(母さんは心配性にも程がある……買い物メモなんて渡さなくても、全部買えるっつーの)


ムラホシは“母さん”の心配性に呆れつつ、コンビニで内緒で買った肉まんを頬張る。


(キャンペーンで安かったし、お腹が空いたんだ。これは仕方がない……)


ムラホシは自分を誤魔化しながら、さらに路地を進む。


「……して!」


その時、遠くから女性の叫び声が聞こえた。


「え〜、めんどくさいんだけど」


ムラホシはため息を吐き、叫び声の方へ向かった。


叫び声の方に向かうとモヒカンの男が女性のバッグを奪い取っている。


(咬ませ犬かよ……モヒカン。)


ムラホシはため息を吐き声をかける。


「ねぇモヒカン、そのバッグ返してあげなよ。」


「あ?なんだヒョロガリ男?俺に指図するんじゃねぇ!」


モヒカンはムラホシよりも二回りも大きい。体格の差は明らかだ。


ムラホシはそれにも動じず会話を続ける。


「ほら〜この人から奪うこともないじゃん?あ、いいよ?全然お金なら俺があげるよ?だから返してあげなよ。」


ムラホシは財布を取り出す。


「ナメてんのか?このヒョロガリ男——!」


モヒカンは拳をムラホシに振り上げた。


女性は自分のせいで殴り飛ばされると後悔で泣き出してしまった。


——ペト


モヒカンの拳はムラホシの目の前に蜘蛛の巣がはり衝撃を和らげる。


「おっと危ない。これ以上悪になられても可哀想だからな……。」


「あ!?」


モヒカンは止まらず拳を振るう。


「はぁ〜少しは大人しくしてもらうよ。」


モヒカンの体は気付けば糸でグルグル巻きにされていた。


「おい!離せ!」


モヒカンは体を捩るが全く動かない。


「俺の固有魔法は蜘蛛の糸、伸縮性もあっていいだろ?」


ムラホシは身動きが取れないモヒカンに視線を合わせる。


「モヒカンはさ?何に困ってるの?」


ムラホシは当然のように聞く。


「……は?」


「困ってるから悪いことするんだろ?」


ムラホシは財布をまた取り出し聖金貨を取り出す。


「これやるから、まともな仕事を探せ。」


ムラホシは少年のように笑う。


そして、呆気に取られ腰を抜かす女性に歩み寄る。


「大丈夫ですか?お怪我はないですか?」


ムラホシはすっと女性の手を取り立つ。


女性の顔は真っ赤だがムラホシは気にしない。


「あ、ありがとうございます。」


女性は挙動不審になりながら頭を下げる。


「あ、あのどうお礼すれば……。」


ムラホシは急に女性に近づきおでこを触る。


「うーん熱があるね。薬は持ってるからこれ飲んで。あと、気を付けて帰るんだよ。もう一回助けるのはだるいから。」


ムラホシはそう言って女性の前を去った。


「やべ。早く帰らないと怒られちゃうっと……ショートカットを使うしかない。」


ムラホシは電線に糸を伸ばそうとした。


「ま、待て!」


しかしモヒカンがそれを遮る。


「あ、お金足りなかった?いいよ~悪いことしなきゃ……」


「そういうことじゃねぇ!」


モヒカンは糸でぐるぐる巻きにされているが頭を地面につける。


「この通りだ。俺を弟子にしてくれ。」


「……?」


ムラホシは突然の出来事にただただ困惑していた。


――祭りの余韻が抜けたフクオカ


――ピーピー


小鳥のさえずりの声でリサは目を覚ます。


やけに頭の下にぬくもりを感じる。


(ま、まさか……。)


リサはガバッと起き上がるとエリックの顔面に衝突する。


(え、え?え?私膝の上で寝てた??くそっ5杯飲んだあたりから記憶が……。)


「お、起きたか。こんなところで寝ちゃうからここで僕も寝る羽目になったんだぞ。」


エリックの声は怒っているのかはよくわからない。


「私……昨日――」


「なんもない。うんなんもないよ。」


エリックはなぜか食い気味に否定する。


(絶対なんかやったわ。穴があったらマントルに埋まりたい。)


「エリック殿いい朝だな。」


なぜかジョギングするおっさんみたいな恰好をして走るルンタが声をかける。


(どういう状況!?)


酔い明けなのにツッコみが渋滞している状況にリサはどこから手を付けていいかわからなくなる。


「あ、そうだ。次の目的決まったヨン。」


エリックは日本地図を広げる。


「ホッカイドウで試験を受けに行くよ。」


「試験!?」


「え?」


『試験を受けるのは学生だけでいいだろ。』


ルンタは勝手に鞘から抜けようとするクサナギをしまう。


「で、もうここを出ます。」


『「「早すぎだろ!?」」』


あまりの展開の速さにみんなついていけない。


「さぁ新しい冒険の始まりだぁ!」


((こんなコテコテなせりふ初めて聞いた。))


リサとルンタはエリックの勢いにただ呆れていた。

「まず、誤らないといけませんね。原稿間に合わなくてすいません(;^_^A」


「そうだよ!?二時間遅れですよ!?」


「あのですね僕も忙しんですよ。〇ケモンとか昼寝とか……」


「「「暇やないかい」」」


「今度こそ輪切りでよいな?リサ殿」


「御意。」


「御意じゃねえんだよ!?――次回」


「「「別れと帰る場所」」」


――ムラホシかっこいいって思った人は☆☆☆☆☆を★★★★★にしていただけるとムラホシがムラホシが喜びます。

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