六十八話 無能な非凡と雪景色
——宇宙衝突
その声が災害の悪魔の耳に入った時には体が浮いていた。
(な、なんじゃ!?体が消えた!)
「ピピ!撃てぇ!」
エリックはピピに向かって叫ぶ。
海を超えてピピの耳に入る。
「わかってるよ!お兄ちゃん!」
——ドン!
ピピは袖で涙を拭き爆散した光に弾丸を放つ。
災害の悪魔の体は砕け消える。
(い、嫌だ!消えたくない……。)
災害の悪魔はもがく。
しかし、体はどんどん消えてゆく。
(そ、そうじゃまだ核が壊れなきゃ死なぬ。まだ……だ。)
——ドス!
胸に衝撃。
(な、銀の銃弾!?再生できぬ……!?)
『……や、やめるんじゃ!わ、妾が最強……。』
「違げぇよ。一人で最強なやつなんていねぇんだよ。」
その言葉を災害の悪魔が聞くことは二度となかった。
災害の悪魔が目を開けると一面に銀が広がる。
——雪だ
幼い姿になった災害の悪魔は手のひらに雪を乗せる。
『なんじゃ?このゴミは?』
雪は静かに降り続ける。
(いつからだろう?他の悪魔が妾を妬み始めたのは?)
災害の悪魔は、自ら戦う力こそ最底辺だった。
しかし――使い魔を扱う才だけは、悪魔の中でも突出していた。
(皆、妾を恐れ、妬む……なんて素晴らしいんだ。いずれ、α様を超える悪魔なんじゃ妾は。)
災害の悪魔は雪に赤い血を流す、
黄色の花を踏み潰す。
(なぜ、他の悪魔ばかり引き抜かれる?暴力の悪魔はなぜ妾の方が四年先輩なのに上についている?ただ力が強いだけなのに……。)
災害の悪魔が顔を上げると目の前に主君が現れる。
災害の悪魔は跪く。
『ア、α様!?』
「ご勤めご苦労様。本当に君にはお世話になったよ。」
αはゆっくりと近づく。
(なんじゃ、妾は何もやらかしていない。安心じゃ……)
——ドス!
災害の悪魔の脳天に血の槍が突き刺さる。
「なに、やり切った感出してんだよ?一人じゃ何もできない非凡が。」
αは老人の優しい顔からは到底放たれたと思えない棘を刺す。
『ひ、非凡?そんな、わ、妾は使い魔の……』
「そうだよ?使い魔の才能はある……じゃが……」
αはニコッと笑う。
「お前は何ができたんじゃ?」
そして、そのまま災害の悪魔を殴り飛ばす。
『そ、そんな……妾は……。』
「なんだ?このゴミは?」
αの幻影は消えた。
それと共に雪景色も、意識も消えた。
――そして今
『わ、妾はこの世界に……何を……残した?』
カタストロフは、薄れゆく意識の中で呟く。
『な、なぁ……答えてくれよ……。』
エリックは冷たく災害の悪魔を見下ろす。
――雪は降らない。
返事はない。
カタストロフの身体が、最後の光となって消えていく。
――そして、静寂だけが残った。
災害の悪魔のいた周りには、小さく花が咲いていた。
「終わったのか。何もかも。」
エリックは小さな花を手に触れる。
踏まれた花、枯れた花は生気が戻り一瞬で花畑となる。
(……これも違う。)
「……帰るか。」
エリックは海上に飛び出した。
——時は少し戻り
ルンタは白熊の動きを探る。
“大罪者……か、何故自分を誇らない?”
白熊はルンタに尋ねる。
「誇るものがない、それだけだ。」
ルンタは短く答える。
“まだ、見定めは終わってない。来い、罪人、”
『旦那!音の魔法結晶を使って!』
「言われなくてもわかってるぞ、クサナギ。」
ルンタは楽しそうに笑う。
「音斬」
ルンタは白熊に向かってクサナギを横に振り音の刃を振るう。
(……やはり、楽しそうではないか……罪人よ。)
白熊は爪を斬撃に合わせていなす。
ルンタはさらに間合いを詰める。
(……奴、全く息を乱していない……。)
——ガキィィ!!
白熊の爪にクサナギを合わせる。
戦場に爪と刀が交差する音が鳴り響く。
(……この長期戦の中一切力を落としてない……この化け物……)
——ズゴォオオ!!
ルンタは一方的に吹き飛ばされる。
(まだ足りない!)
ルンタは叩きつけられても立ち上がる。
“……不屈の精神……80点。”
白熊は小さく呟く。
“何が、お前を動かす?”
白熊は戦いを交えながらルンタに問う。
「……終わってないからだ。」
ルンタは白熊の皮膚に傷をつける。
「あいつもまだ死んでない」
——戦場から少し離れたある地点。
ソーマは息を吐きながら戦場に戻る。
「こんな……ところで逃げられるかよ……。」
その瞳は燃えていた。
「てか前回の次回予告なに?みんな黙っちゃって……ねぇエリック。」
「え?だってそうしろと監督が言ってたし……」
「私知らないけど?」
「!?」
——作者召喚
「え?あぁリサには言ってなかったねメンゴメンゴ〜」
「は?」
「……報連相は基本だろうがぁ!?」
「ヒィィィ!じ、次回」
「「「漢と相棒」」」




