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六十七話 ブレる照準と理不尽の憤怒


——種子島シードアイランド


(……!?ありえぬ……。二人もやられた……?名前……あれ?なんじゃったけ?)


災害の悪魔(カタストロフ)にとって、死んだ部下に名前など必要なかった。


『……妾に魔力を供給してもらわなきゃ何もできぬ、依代どもめ。』


災害の悪魔(カタストロフ)はため息をつく。


(まぁ良い。白熊(ベアー)が残っておる。奴に全部任せればいい。焦る必要などないのじゃ。)


災害の悪魔カタストロフは自分に言い聞かせるがそれに反して体は強張る。


——死が迫る。


——フクオカのある地点


ピピは木の上に登り銃口を構え狙いを定める。


(遠くから戦ってる音が聞こえる。みんな頑張ってる……。)


ピピは唾を飲む。


(私が終わらせるんだ、この地獄を。)


——ガタガタ


銃を握る手は、止まらない。


(何をしているのよ……情けない。)


ピピは自分に呆れる。


(怯えたってどうしようもない、けど……怖い。)


この一発で、何かが終わる気がした。


——作戦会議


「作戦はただ一つだ。」


ゾムはホワイトボードに作戦を書く。


「俺たちが使い魔を引きつけている間にエリックとピピが本体を叩け。」


「それ、作戦ですか……?」


リサが眉をひそめる。


「本島との距離はざっと200キロ……いくらなんでも人間が撃ち抜ける距離じゃない……。」


ソーマが絶句する。


「いや……できる。」


ゾムははっきりと断言する。


「お前ならできる。俺は信じてる。」


「しかし……」


ソーマは何かを言いかけてやめた。


ゾムはホワイトボードを見たまま答える。


「できるようにしなきゃ意味ねぇだろ。」


⬛︎⬛︎⬛︎


(ゾムさんはそう言ってたけど……。)


ピピの頬に一筋の水滴が流れる。


(このまま、勝てなくて今度こそ大切なものがなくなったらどうしよう。)


銃を構える腕が震える。


(もう、悲しくて耐えられないよ。)


——ピピ聞こえるか?


脳内に響くエリックの声。


魔導通話を繋いだのだ。


「聞こえるよ……。」


——ったく泣いてんじゃねぇよ少佐さんよ。


「う、うるさい。」


反論する声も弱々しい。


——僕はもう直ぐ本体に辿り着く、覚悟は決まったか?


「ううん。できてるわけ無いじゃない。」


ピピの涙がスコープを濡らす。


「お兄ちゃんが消えちゃったら、私……っ……」


ピピは泣き出しそうな気持ちをなんとか抑える。


——はぁぁ。


エリックは小さくため息をつく。


——僕が簡単に死ぬと思う?大丈夫、もう、お前は一人にさせねぇよ。


「……一回させたじゃないの。」


——そ、それはどうか免除で……。


エリックの軽口に少し和らぐ。


——お前はただ目の前の標的を撃ち抜く、それだけに集中すればいい。後で甘いもの奢ってやるから泣くなよ。


エリックが出してきた物はピピの劇薬だった。


「まっかせなさいよ!限定プラン20種類買うまで逃さないからね!」


——ゲッ……わーかったよ。


エリックの声はどこか小さかった。


——海上


ピピとの通話を終えたエリックはひどく後悔していた。


(ケーキ一個で済ませろよな。あの欲張りさんは……)


地平線の向こうに巨大が見える。


(もう直ぐだ。今日で終わらせる。)


エリックはギュッと拳を握りしめる。


災害の悪魔(カタストロフ)は体を丸め蹲っている。


波だけが静かに揺れていた。


「おい、何蹲ってんだ?」


『ヒッ!』


災害の悪魔(カタストロフ)は肩を上げて振り返る。


「みっともねぇじゃねぇかよ、何万人も命を奪っておいて。」


エリックの口調は変わらないが目は鋭い。


「なぁ、ひとつ聞きたいことがある。」


『な、なんじゃ?』


「お前がそんなに守りたいものってなんだ?」


災害の悪魔(カタストロフ)はゴクリと唾を飲む。


(なんじゃその質問は?決まっておるだろう?)


『威厳じゃ!妾こそが頂点!皆が妾を恐れ、跪く!それが世界のあるべき姿なのじゃ!』


災害の悪魔(カタストロフ)は虚勢をはる。


空っぽな物がまだ中身があると全力で主張している。


エリックはただ虚しかった。


「あーぁ。お前を見てて僕は何も感じないよ。三日前、お前を本気で殺そうと考えた僕を返してよ。」


エリックの雰囲気が変わる。


暴力的な魔力がまとい溢れる。


「もう終わりにしよう。こんなおままごと。」


(これを使った時、僕は全てを破壊するために使った……でも。)


エリックは自分に頷く。


(今は、みんなを守るために使う。)


——宇宙衝突(ビッグバン)


「……。」


「……。」


「……。」


「……。」


「次回……」


「「「うなりと雪景色」」」


「今日静かすぎない!?」


——雪だ。


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