六十五話 孤独とファイト
沿岸部の戦場に黒い煙が高く昇る。
(……あれ?熱くない……?死んでるから当然か……。)
海月は何故かホッとする。
(なんで、あそこまでして私を倒したいんだろう?今までずっとわからなかった……。)
“……ね、ねぇ……なんで……私は一人なの……?”
海月は自分でもわからないが触手を伸ばす。
(握ってくれるわけないか……。)
霞む視界の先には静かに佇む、エルフの少女。
(まぁ、当然だよね〜だって何が悪かったかわからないんだもん。憎まれても、唾を吐きかけられても当然。)
遠くから何かが近づいてる音が聞こえる……気がした。
(……例え、誰からも忘れられても……!)
その時だった、伸ばした触手に温もりを感じる。
(……なに……これ?)
海月は困惑する。
もう、誰も自分に興味を示してくれるとは思わなかったからだ。
“なん……で……?あなたに……は散々なことしたよ〜?どうして?”
触手を握り返してくれたのは、青の毛先が金色に戻ったリサだった。
リサは両手で大事そうに握る。
“……あったかい。”
海月は無意識にその言葉が出る。
「ね、あったかいでしょ?あなたがこれまでしてきたことは誰にも許されない、けどね。」
リサは海月の焼けた頭を撫でながら優しく微笑む。
「最後が一人じゃ寂しいでしょ?」
海月はハッとする。
温かい。
ただ、それだけだった。
誰かが、自分に触れている。
そんなことは、生まれて初めてだった。
それがたとえ許されないことをしたとしても……。
“……変な人……だね。ふふ。私……いっぱい悪いことしたよ?”
「いいの。それとこれは違うから。あなたも、ちゃんとあったかい。」
海月はクスッと笑う。
そこに悪意は一つもなかった。
“……そうか、このキモチか……あぁもっと……早く……し……れてたらなぁ……。”
こうして、海月は静かに眠った。
焼け切られたその顔は、初めて穏やかに笑っていた。
「……お、わった。……。」
リサは大きく息を吐く。
(最後の彼女ははどこか優しかった。)
リサはゆっくりと立ちあがろうとした……が
グニャリと視界が傾く。
(あ……れ?力入んない。)
余りにも魔力を消費したリサは電池が切れたように眠る。
安心した顔は海月の方を向いていた。
——内陸部
“木枯嵐”
「冷脚」
——ズガガガ!!
二つの足が衝突する。
「らしくなったじゃねぇか。鳳凰!」
マチルダは口からこぼれ出る血の水滴を拭い笑う。
その顔は人間ではなく獲物を狙う獰猛な獣に近かった。
(いったいなんだ?この高揚感……もう一つの私の本能……?)
鳳凰は音速で突っ込んでくるマチルダを寸前で対応する。
“こ、これはなんだ……?私の……オレサマの……界が……。いったい誰だ?”
鳳凰は強さの代償に『自分』を差し出してしまった。
もう、何者であったかも、何が好きで、何が嫌いで……。
“全部わかんなねぇ!なぁ、一体お前には何に見える?”
鳳凰はマチルダに向かって必死に叫ぶ。
マチルダは叫びと共に落ちた羽を拾う。
「綺麗な羽じゃねぇか。答えは……。」
マチルダは胸を叩く。
そしてその羽を胸のポケットに入れる。
傷がさらに開き苦しいが奴に届けばそれでいい。
「お前は“ここ”にいるだろう?」
マチルダは拳を強く握る。
「さぁ、始めようか。祝杯の時間だ。」
先に動いたのは鳳凰だ。
羽をまっすぐ魔力で硬くしマチルダを狙う。
——ガキイィィ!!
マチルダは足を振り上げ守る。
(柔らかい!なぜそこまで足が上がる。)
「毎朝のストレッチ欠かさないでおいて良かったぜ。」
——天災狂戯!!
マチルダは体を高速で回転して鳳凰の体に強烈な蹴りを入れる。
“おもしれぇな、お前……面白いですね、あなた。……どっちも、本当だ。”
鳳凰は一瞬雰囲気が変わった。
“次で全て終わらせましょう”
“何もかも”
「フゥゥ。いやぁあの海月に最高の出番をあげた作者様を感謝しろよ!」
“……でも〜結局まるこげだよ〜私。”
「……。」
“まぁこれで私の出番は終わりだからいいんだけどさ……。”
“差し入れがキクラゲとかセンスは〜よくないと〜思うよ〜?”
「……あ?」
“ヒィイ!リサの方が優しいぃ!!作者鬼!悪魔!”
「ふふん。ほら海月だって言ってるよ!作者にはだからともだ……」
「次回……」
“「「焼き鳥とジブンの答え」」”
「リサ、うるさいよ?」
※作者には友達います。ま、まぁ流石にいますよ、12人くらい?あはは(必死)




