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六十四話 恐怖と死を超えて


——沿岸部


(この〜私を狙う目はなんだろ〜?)


海月(デルキア)に向けられた二つの目線が彼女を追い詰める。


“初めてだよ〜私を本気で殺そうとしてくるのは〜?”


「いいえ、今までも貴方を何度も倒そうとしてきた、けど貴方が気づかなかっただけ。」


リサは青い火種を手に握りしめる。


(この雰囲気……どこかで〜?)


「貴方がどうであれ私はお前を倒すからな?」


リサは火種を握りつぶし手の隙間から青の炎が漏れる。


(そ、そうだ。あの時の……。)


時は数百年前……。


この時もまた別の地方を襲い壊滅的な被害を与えた。


人は悶え、私たちに恐怖した。実に気分が良かった。


“あれぇ?もう壊滅ぅ?遊び足りないなぁ〜”


海月(デルキア)はつまんないともいうようにあくびをする。


——ボォォォオオ!!


遠くから燃える炎の音。


(頭が足りないのかなぁ〜?炎じゃ水には勝てない。)


“あなたじゃ私には勝てないよぉ〜ってふぅん。”


海月(デルキア)はニヤリとする。


(エルフか、まぁ男だから奴隷にはなってないのか。魔力も遥か格下……負ける要素はないね〜。)


「この街を壊したのは君かな?」


海月(デルキア)を見つめる彼はニコニコとしていた。


“壊したっていうか壊れちゃった?かな?”


「そうか……。」


ゆっくり彼が海月(デルキア)のほうを向く。


その顔に笑顔はなかった。


「気にせずやれるね。」


——焼き払え。


(ふぅん。真っ直ぐくるのね〜隙ついてころ……)


一瞬の出来事だった。


(細胞全てが熱い!何よこれ!?再生ができない……!?)


海月(デルキア)は絶叫する。


「ギャァァァァ!!熱い!熱い!!」


「あれぇ?火力ミスったかなぁ?一応、下位魔法に留めておいたんだけど?」


(……!?バカな?火力が高すぎる?魔力は私以下のはず……ありえない、ありえない、ありえない……怖い。)


“……なによ……ごれ……?”


海月(デルキア)は体のほぼ全てが焼き切れ掠れ声で言う。


「お前を一生焼き尽くす地獄の炎だ。」


彼は凍りつくような目で海月(デルキア)を見る。


「最後に一言だけ聞いてやる。」


(こいつ!わ、私を舐めてる……。)


海月(デルキア)はここぞとばかりに思考を巡らせる。


(まだ、逃げられる!)


「今回は、油断した……今日はこれくらいにする!」


海月(デルキア)は全ての力を振り絞り逃げる。


自慢の大きな身体も今日ばかりは恨んだ。


(全力で海に逃げる!そして奴が死ぬまで絶対に私は逃げ続ける!生きてればまた、遊べる!)


彼はスタコラサッサと逃げる海月(デルキア)を追わなかった。


「まぁいい。僕が逃したとしても次は奴はない。それに、きっと結構ビビってるだろうしね。あ〜ぁ手加減して戦うのほんと辛いんだよ。」


——そして現在


“ハッハッハッ……。”


海月(デルキア)の呼吸が浅くなる。


顔から一切余裕が消える。


(熱い、熱い、熱い、熱い……!)


“じ、冗談じゃない……!バケモノが死ぬのを待って現れたのよ!なぜ生きてる?”


(何を言ってる?魔力が急に乱れてる……?)


「バケモノ?違う。お前を憎む人の想いだ。」


(違う?)


海月(デルキア)は全ての余裕がロウソクの火のように消えた。


“勝てない”この言葉が頭をよぎって離さない。


海月(デルキア)は過去に殺した人を思い出そうとする。


(ダメだ、誰も思い出せない。悲鳴も、恐怖も…… )


しかし海月(デルキア)の脳に呪いのように焼き付ける、あの男の炎。


(まぁそんなもんなのか?いや違う〜)


“ひ、人は〜いずれ死ぬ〜だからいつでもよくない〜?”


海月(デルキア)は自分に言い聞かせるように呟く。


自分が正しいと信じなければ、もう立っていられなかった。


「そうか、気にせずやれるね。」


(……!?あの男の言葉!?)


“や、やめて……もう、やめて。”


海月(デルキア)は泣き出す。


もう、全てに耐えられなくなった。


「泣いても変わらない、お前をここで仕留める。」


(そうだ、また逃げればいい。生きてたら勝ちなんだ、どんだけ惨めな思いしても〜!)


“悪いね〜容赦なく仕留めてれば良かったのに〜あいつも君もおバカだね〜”


海月(デルキア)は方向を変えて飛び出す。


(逃げた!)


リサは全力で追う。


(速い……、追いつけない……。)


「リサ!俺に任せろ!」


ゾムは空気を蹴ってジェット機のように海月(デルキア)に詰める。


「誰が逃すかよ!」


——堕界鎚(ついかいずい)


ゾムは海月(デルキア)の頭蓋に向かってメイスを振り下ろす。


——ゴシャア!!


海月(デルキア)は激しい破裂音と共に地面に叩きつけられる。



(ガァァア動けない……、力も入らない……。)


「リサァァァア!!」


ゾムは力を緩めない。


——蒼炎(アズレア)


青いの炎は海月(デルキア)を包む。


そして一瞬で全てを焼き尽くした。

——ある日の一幕


「あぁ、今日も寒いなぁ。あれを使うか?」


蒼炎(アズレア)


「青い焚き火あったけぇ!!」


「リサ、魔法の使い方雑だな。」


「……腹減った!!焼き芋ある〜?」


「使い方!」


「「次回」」


「「孤独とファイト」」

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