六十三話 後遺症と繋ぐ意味
――ポチャン
ソーマの耳に僅かに水の音がする。
(なんだ……一瞬?)
白熊の鋭い爪がソーマの胴体を狙う。
ソーマは地面を蹴って爪を避ける。
……が
爪がわき腹を掠り、隊服を赤く染める。
(爪のスピードは同じ、前のタイミングなら完璧に避けられたはず……。)
――違和感
「ゴフッ。」
口を押さえた手にたっぷりと血が付く。
(毒……?いつもらった?)
“なるほどな。海月か。”
白熊は、ハァと白いため息をつく。
“奴の攻撃を一度でも喰らったな?奴の攻撃全てが奴のタイミングで発動する毒……”
ソーマの顔から血の気が引く。
“それは、気に入ったやつにしか使わない……運が悪いな。15点”
白熊の声が水面の向こうから聞こえるように遠のく。
ソーマの視界はどんどんと霞む。
――ザザッ
遠くからルンタが駆け付ける音が響く。
ソーマの意思とは裏腹に体は言うことを聞かない。
(まず……い。役に立たずに死ぬ。)
「ソーマ殿!!」
(あの白熊には毒はなかった……外部からの攻撃……。)
どこまでの範囲に及んでいるんだ……
ルンタは冷や汗をかく。
”一人落ちたな。”
白熊はゴミを捨てるようにソーマを蹴り飛ばす。
ソーマは木にぶつかりぐったりとする。
「……へぇ、弱者をそう扱うのか。」
ルンタの目は据わっていた。
“ゴミを正しく扱って何が悪い?”
白熊は呆れの混ざり白い息を吐く。
“この世界は実に冷たく、単純だ。”
白熊の爪に冷たく木々が反射する。
“弱者は強者に喰われ淘汰される。そうやって回ってる。”
白熊はふとソーマがいた方を射抜く。
(ふっ、移動したか。まぁいい。毒はお前を蝕む……。)
白熊はソーマを視界から外し、ルンタに注目する。
「それは違うな。」
ルンタは柄を強く握り直す。
「よく似てるんだ。お主と拙者が。」
時代の風潮と言えばその一言で片付けられるがルンタは酷く後悔している。
関係のない家を焼き払ったり、目に余ることはたくさんしてきた。
勿論決してルンタの中で浄化されることのない穢れだ。
“なら、わかるだろう?”
白熊の口から白い息が漏れる。
周囲の空気が凍りつく。
「わからないな、分かりたくもない。」
ルンタは語気を強める。
(旦那……雰囲気が違う……。)
クサナギは強く握りしめられて痛いがルンタの雰囲気に圧倒された。
“0点だ。なぜ理解できない?理解できるはずだ!”
——ズドン
白熊は爪をルンタに振り下ろす。
ルンタはひらりと避ける。
「ソーマ殿はゴミじゃない、役割を持った部品だ。」
白熊はルンタの言葉を無視して襲う。
「部品が欠ければ刀は振れぬ。どれほど小さな役目でも、欠けてよい命など一つもない。」
——抜きの太刀・抜刀
ルンタは一瞬で間合いを詰め、白熊の喉元を狙う。
“荒い詰め方だ、4点。”
白熊はため息を吐きながら爪で攻撃をいなす。
(結局こいつも喰われるのか、強者に。)
白熊がルンタの安直な攻めに憐れんでいる時だった。
ルンタが刀を支点に足を振り上げる。
白熊は目を見開く。
(刀の攻撃は囮!刀の攻撃に意識をずらし攻撃を入れ——)
——ドゴ。
顎に避けきれない衝撃。
「……。」
白熊は初めて体勢を崩した。
(足の運び、重心、あの視線誘導、踏み込みのタイミング、反射速度、筋肉の収縮……)
白熊が思考を巡らせる間でもルンタは刃筋を殺さない。
白熊はゆっくりとルンタに正対する。
「……いい技だ。90.5点。」
『そりゃどうも。』
クサナギは刀身に魔力を込めて次に備える。
“……。なぁ、お前の名は何という?”
白熊は初めてルンタに歩み寄った。
「……ルンタ。ただの大罪人だ。」
ルンタは息を小さく吐いた。
「久しぶりですね作者さん?」
「ぇっはい……。」
「何か言うことないんですか?」
「ヒィィィ、リサさん許して、投稿サボってた事は謝るからぁ〜」
「ルンタ斬首で。」
「り。」
「待て待て!り。じゃないからぁ〜」
「次回、」
「「恐怖と死を超えて」」
「◯ケモンにハマっただけなんですぅ」




