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五十八話 白熊と白虎隊

――“勝つ”だけが、戦いじゃない。


倒せない敵。

届かない刃。

それでも前へ出る者がいる。


人は脆い。

砕ける。

恐怖もする。


だが、それでも繋ぐ。


託し、

時間を稼ぎ、

次へ繋げる。


その積み重ねだけが、

化け物に抗う唯一の方法だった。


そして今――

二人の剣士が、“絶望”そのものへ牙を剥く。


『今回は本気だ。妾の逆鱗に触れたからな。』


災害の悪魔(カタストロフ)は拳を握る。


”分断しますか?”


鳳凰(ホウオウ)が提案する。


『いや。一気につぶす。白熊(ベアー)あなたに任せたのじゃ。』


”責任転嫁……まぁいい。”


白熊(ベアー)の周りの空気が冷たくなる。


「みんな、作戦通りにな。」


ゾムが静かに言う。


エリックたちは黙ってうなずく。


リサとゾムは海月(デルキア)の方へ。


マチルダは鳳凰(ホウオウ)へ向かう。


誰も、後ろは見なかった。


――残された戦場


”さて……残されたのは俺と小さな剣士二体。”


白熊(ベアー)は鋭い爪で顔を掻く。


「ソーマ殿。行けるか?」


「当たり前だ。」


ルンタとソーマは背中で語る。


白熊(ベアー)期待しておるぞ。妾は遠くから見ておるからな。』


そう言い訳して災害の悪魔(カタストロフ)は逃げた。


"では行くぞ。"


白熊(ベアー)は氷の爪を地面に向かって振るう。


一瞬で地面に線が走る。


ルンタとソーマは横に避ける。


『旦那……勝てるのか?』


クサナギは最後の確認をする。


「クサナギ、勝つのではない。()()のだ。」


ルンタはきっぱりと言い切る。


ソーマとルンタは間合いを詰める。


その動きには全く迷いがない。


(洗練された動き。素晴らしい。)


ソーマは間合いに入ると双剣から黒い斬撃を出す。


斬撃は勢いを殺さず白熊(ベアー)に向かう。


白熊(ベアー)は冷静に爪を出す。


――その時だった


――ジャッッ


爪の鋭さに斬撃の方がはじけて消える。


そして、そのままソーマの小さな首を正確に狙う。


ソーマは双剣を首に挟んで防ぐ。


爪と剣がせめぎ合う。


(なんだこの化け物?この鋭さと怪力……。剣が壊れるぞ。)


剣からミシミシと嫌な音がする。


爪が僅かに双剣に入り込む。


――折れる


と思った時だ。


――軽い


ソーマの体が前へ流れる。


押し潰されていた力が、突然消えた。


顔を上げる。


白熊(ベアー)の両腕が、斬り落とされていた。


――なのに。


白熊(ベアー)は、まるで痛みを感じていない。


「ルンタさんありがとう。」


「礼は戦いの後にしろ。」


ルンタは、まだ前だけを見ていた。


“俺の腕を切るか。30点ってところだな。切断面が甘い。”


白熊(ベアー)の腕は一呼吸する間に再生する。


空気が一段と寒くなる。


“連携は40点か?いや……”


白熊(ベアー)はブツブツと独り言にふける。


その隙をルンタ達は一気に詰める。


(上がダメなら……)


ソーマとルンタは姿勢を低くする。


(下だ!)


二人は一気に滑り込み白熊(ベアー)の足を狙う。


“……いや?48点?待てよ……”


白熊(ベアー)は二人の方を全くみずに足を振り上げる。


(バカな……!)


ソーマはなんとか軌道からずれる。


——ドオン!


大きな足は地面に振り下ろされる。


戦場の地面を割る凄まじい地響きと轟音。


その瞬間、二人は理解した。


――勝てない。


“……いや?48点?いや、連携だけならだ。総合なら25点。”


まだ独り言を続けている。


(ったく。なんちゅう化け物隠してんだよ。)


ソーマ顔についたは泥を拭う。


二人は二方向に分かれる。


(俺がルンタさんのおとりになる。)


「俺はここにいる、かかってこいや。」


ソーマは不敵に笑う。


しかし無理はしていなかった。


(なるほど。自分がおとりになって……)


白熊(ベアー)は視界の端で間合いを詰めるルンタの姿を据える。


(あの剣士に切らせる気か……。)


”作戦が甘い、読めるぞ。”


白熊(ベアー)はルンタに標的を変える。


――ニヤ


作戦が崩れたのにもかかわらずルンタは笑う。


(なぜ笑える?)


白熊(ベアー)は青い爪を縦にふるう。


――その時だ


眼前に双剣を挟み込むように構えたソーマの姿。


(気配がなかった。63点!)


「甘いのはお前だ。人間の可能性は無限!」


――邪刑の顎(じゃけいのあぎと)


ソーマは双剣を白熊(ベアー)の両側の首につけ双剣を食い込ませる。


握る柄にありったけの力を込める。


しかしピクリとも剣先は動かない。


腕の筋が張る。


(固すぎだろ……。岩かよ。)


ソーマは毒ずく。


”いい動きだ。総合で75点だ。ただ……”


――ガチガチガチ


ソーマの剣先が白い冷気に包まれ次第に凍る。


”お前たちは弱い。俺には勝つことはできない。”


白熊(ベアー)は感情を込めずに吐き捨てる。


「ふっ。」


ソーマは思わず笑いをこぼす。


”なんだ?”


「何度も言わせんな。お前に勝つ必要はない。」


ソーマは双剣を軸にして白熊(ベアー)のあごに蹴りを入れる。


白熊(ベアー)はよろめき、氷が消える。


その意味に、白熊は“まだ”辿り着いていない。

【もしマホゲンが量産型なろうだったら】


「俺また何かやっちゃいました?」


エリックが放った魔法で山が消し飛ぶ。


「さすがですエリック様♡」


リサが頬を赤らめる。


「フッ……この程度、大したことないさ」


ルンタは驚愕する。


「まさか災害級悪魔を箸で倒すとは……!」


『バ、バカなァァァ!?』


災害の悪魔(カタストロフ)は一撃で爆散した。


その夜。


「きゃ〜♡ エリック様見ないでください〜♡」


温泉でラッキースケベイベント発生。


「——次回」


「「エルフと牙を向く毒」」


「何これ?疲れたんですけど?あと恥ずかしいから作者締めるよ?」


「こっちもいいな。」


「「エリック!?」」


※エリックさん的にはこっちの方がいいらしいです。


――作者が許しません。

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