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四十六話 戻す物と暗すぎる休息


銃声の残響だけが、戦場に残っていた。


「私は何も守れなかった。……全部私のせいだ。」


ピピの声はひどく冷たい、その中には自分に対しての哀れみも入っていた。


「もう終わった。お前は休め。休んでくれ。お願いだ。」


ソーマは懇願にも近い口調で言う。


その瞬間ピピの空気が変わった。


「休めるわけないでしょ!何もできなかった私が?のうのうと?」


ピピは強い口調で言う。

頬には涙が伝う。


――誰も、止めない


「私は軍人なの!」


「守る側が、生き残ってどうするのよ……!」


ピピは拳を握り潰す。


爪が食い込み、血が滲んだ。


「私が死ねばよかったんだ……私がぁ。」


――その声だけが異様に響いた。心にも。


その時だ。


エリックは何かを決意したようにピピに近寄る。


「触るな!!」


その声は一瞬だけ空気を裂いた。


──そして、止まった。


言葉を探すんじゃない。


選んだ。


そして――


エリックは一瞬、黙った。


それからゆっくりと、ピピの前に膝をつく。


「……じゃあ、止めるしかねぇだろ」


ギュッ。


ピピは、エリックのなんとなく安心する香り、雰囲気に目頭のダムが壊れる。


「ウ゛アアァン。ず、ずるいよぉ。」


ピピはエリックの胸の中で小さな子供のように大泣きする。


――戦場に、鳴き声だけがの残る。


「泣け。」


「今は、それでいい。」


エリックはピピの頭をポンポンと優しくなでる。


それがスイッチのようにさらにピピは泣き出す。


(……もう二度と、あんな顔はさせない)


ソーマは強く拳を握った。


――数十分後


ピピはひときしり泣いて疲れてエリックの膝の上で寝てしまった。


「ったく。世話が焼ける妹だぜ……。」


エリックはそのままピピをお姫様抱っこして持ち上げる。


「ピピのことありがとうございます。本来は仲間である俺がすべきことですよね?」


ソーマは頭を下げる。


「ソーマ、何言ってんだ?僕とピピは家族だ。妹の世話が出来ねぇ兄って終わってるだろ?」


「エリックぅ~!」


エリックが声がする方を見ると、後から合流したリサたちが手を振っていた。


「おせぇーぞ!もう倒したからな。」


口調は少し強いが仲間の安否がわかりエリックは安心した。


「エリック殿、また少し迷ってしまった。」


『旦那が、戦地とは逆方向に進むから大変だったぜ……。』


クサナギがエリックの腕ですやすや眠るピピを見る。


『は?はぁ~!お姫様抱っこ?え?お姫様抱っこしてるの?勝手にモテるな!この非リア!』


「は?黙れよこの剣の分際で!」


エリックとクサナギの追いかけっこが始まった。


「おい!追いかけっこなら俺も混ぜろ!」


ついにマチルダまで介入してきたときリサはため息をついた。


「……ピピさんをお姫様抱っこしながら何してるんですか?この人は……。」


「リサ殿……いいではないか。やっと一つ終わったのだから。」


ルンタは珍しく見届ける。


「戻りますよ。来ないうちに休憩をしましょう。」


「そうだな。」


エリックたちは休憩地へと駆け出した。


――ギルドでは


「後輩君平気かな?」


先輩は後輩である金髪を置いてきてしまったこと心にとどめている。


地下から一階に上る足取りはとても重い。


もしかしたら……がずっと頭の中にちらつく。


(どうせ。あいつは「遅いですよ。先輩なのになにしてるんですか。」って生意気言うのよ。)


階段を上るたびにロングの黒髪が揺れる。


一階に近づくたびに強烈な腐敗臭が鼻をさす。


それに誰かがすすり泣く声が聞こえる。


まさかが現実になってしまったことを知り、

手が不自然に震える。


先輩はなぜかは自分でもわからないが階段の先ヘ進む。


――絶対先輩が望む結果ではないことは分かり切っていたのに……。


先輩がギルド一階にたどり着くと、

目の前には、横たわる金髪の周りに沢山のすすり泣く医療班の姿だった。


「ねぇ。どうしたの?」


先輩は金髪の近くにそっと膝をついて座る。


金髪にかける口調は、幼い子供をあやすような優しく包み込むような声だった。


「みんな心配してるよ。こんなところで寝てちゃ風邪ひいちゃう。」


先輩はそっと金髪の体に触れる。


その体には”ぬくもり”がなくただただ”死”という現実を照らし合わせていた。


「ねぇ!そうでしょ?起きてよ!ねぇ……。」


先輩はついに涙を流す。


金髪の顔は責務を果たせた喜びで柔らかい顔をしている。


先輩が金髪にちょっかいをかけて生意気に返される。

これが私と後輩君の()()()だ。


しかし金髪の背中はどんどんと遠くなり、先輩を置いて行ってしまった。


金髪はいまとても麗らかな場所にいる。


沙羅双樹が咲き誇り、足元には小さく曼珠沙華がかわいいく咲いている。


「かあさん!とうさん!」


そこには、もう会えないはずの両親がいた。


「俺の人生悪くなかったな。」


「帰ってきてよ……お願いだから……。」


返事は、なかった。


先輩は冷たい金髪の手をただ握っていた。


「はぁ俺死んじまったなぁ。」


「金髪君お疲れさまでした。今日は作者と一緒に語り合いましょう。」


「俺、実はまだ心残りがあって……。」


「なんだ?今なら聞いてあげるぞ。」


「好きな人に好きって正直に言えずに死んじゃったんで。」


「そうかぁ……。次回に一度だけチャンスを与えよう。」


「伝えてこい。絶対な。」


「わかりました。今回は一切ぼけてない作者珍しいな。」


「次回……」


「「空虚な夜と握る拳」」」


「金髪君うるさいよ。」

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