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四十一話 本当の役割と裏の戦い

笑っていた。

どうでもいいことで騒いで、くだらないことで泣いて。


それでも——確かに守られていた。


けれど。


その日常は、音もなく壊される。

壁が砕け、空気が裂け、現実が牙を剥く。


逃げることも、泣くことも許されない中で——

それでも一人、立ち続ける者がいた。


「……まだ、倒れてない」


その一言が、戦場を変える。



——フクオカ中央ギルド


災害の悪魔(カタストロフ)から逃れてきた市民と、それを守る軍兵たちがギルド周辺の防衛に当たっていた。


戦地からは離れている。

それでも時折、地鳴りのような衝撃がここまで届く。


「くぁ~……ここほんと暇だなぁ~」


「こら。少佐たちが戦ってるんですよ。気を引き締めてください。」


ここには基本、敵は来ない。

敵が来なければ、軍人の“戦い”もない。


軍兵たちも、

あくびを噛み殺したり、

漫画を読んだり、

避難者とじゃんけん大会をしたり——思い思いに過ごしていた。


「先輩……こんな雰囲気でいいんですか?」


金髪の後輩が少し強めに言う。


「後輩くん、はぁ……しょうがないねぇ。」


黒髪を肩に流した先輩は、やれやれと手を振った。


「いーい?戦うだけが仕事じゃないの。」


一拍置く。


「本当の仕事はね——市民を絶望に落とさないこと。」


先輩は視線で示す。


その先には——笑っている市民たち。


町は崩れ、帰らぬ人も少なくない。

それでも。


「大丈夫です!奥さんは助かります!腕利きの聖魔法使いを呼んでますから!」


「じゃんけん大会優勝はスズキさん!景品は俺のサインカードでーす!」


笑い声が、確かにそこにあった。


「だからさ。ここで笑わせてやるのも立派な仕事。……あんたも混ざりな。」


そう言って先輩は“猫の絵対決”へ突撃していく。


(……これが俺たちの戦いか。)


「ほら後輩、あんたも参加。」


「本気ですか……?」


彼は壊滅的に絵が下手だった。


「おにいさんもやろ~!」


「いっしょにかこ~!」


子供たちが足にしがみつく。


「……っ、わかったよ!」


「プークスクス。あんた大人気ね。」


「うるせぇ!その笑い方、どっかの駄女神かよ!」


金髪はアイマスクを装着し、無駄にかっこを付けた。


「見とけガキども。僕、絵は神だから。」


(……いや無理だろこれ。)


本人は真剣だった。


だが完成に近づくたび、子供たちと先輩の顔が曇っていく。


——数分後。


「……で、できた。」


魂の抜けた声だった。


「……プークスクス、下手すぎでしょ。」


先輩が腹を抱えて笑う。


「先輩じゃなかったら殴ってますよ。」


「おにいさん下手すぎー!」


子供たちの純粋な一撃が突き刺さる。


「……じゃあ先輩はどうなんですか。」


「えへん。見せてやろう私の最高傑作を!」


先輩が掲げたのは——猫ではなく化け物だった。


まだ後輩の方が猫に見える。


「……よくそれで煽れましたね。」


「はぁ!?なにその言い方ぁ!?」


先輩は一瞬で涙目になる。


「ちょっと失敗しただけだし!?これから伸びるタイプだから!!成長型ヒロインだから!!」


「猫どこ行ったんですか。」


「うわぁぁぁん!!」


先輩は床を叩きながら泣き始めた。


「なんでみんなして私をいじめるのよぉ!!」


「自爆してるだけでしょ……」


「うるさいうるさい!!この中で一番うまいの私だからぁ!!」


子供たちが絵を見つめる。


「……これほんとに猫?」


——その一言で。


「ア゛アアアアァ!!」


先輩は床を転げ回った。


後輩には絶対見せてはいけない姿だった。


「……尊敬、返してください。」


金髪が小さく呟く。


——ゴゴゴゴゴゴ


空気が軋む。


緩んでいた空気が、一瞬で凍りついた。


「……何だ。見てきます。」


金髪がドアへ向かう。


「待って!」


先輩の鋭い声。


——その瞬間。


——ガシャァン!!


外壁が内側へ抉り飛ぶ。


瓦礫と土煙。


その中から現れたのは——


蚯蚓(ピラリス)


そして。


その頭部に——


“串刺しにされたピピ”。


時間が止まる。


(……嘘だろ。)


逃げ場はない。


足が、動かない。


(ここで終わりか……)


——ふと、振り返る。


後ろには、子供たち。


誰も動けていない。


(……ならいい。)


(せめて最後くらい。)


(守って死ぬ。)


——ドン


乾いた銃声。


世界が引き戻される。


「……が、はっ……」


ピピはまだ刺さったままだった。


それでも血を吐きながら笑う。


「あり……がと……ナイス……ファイト……」


震える指で、ぎこちないグッドサイン。


その小さな動きが、異様に重かった。


「ピピさん!!」


金髪が叫ぶ。


「もうやめてください!このままじゃ死にます!!」


ピピはふらつきながらも倒れない。


血を乱暴に拭う。


「い゛いの……」


一歩、踏み出す。


「……まだ、倒れてない」


その言葉だけが、静かに響いた。


「どうも金髪です。てか、作者どうしてこんなに適当な名前なんですか?」


「いーい?後輩君、作者だって休みたいんだよ。できるだけ頭を使わないで出来る安いキャラ……あれ?なんだろう悲しくなってきた。」


「まぁいい。それよりも、一つの説がでた。」


「なになに?」


――作者、邪神説


「確かに……邪神すぎるよ。」


「なんか言ったか?」


「「ひぃ~邪神って言ってすいませんでした。これからも活動機会が増えるので許してください。」」


「出番乞食すぎて逆に怒れないわ。」


「次回……」


「「少女の主張と意地」」


――戦いは続く

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