表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/63

三十五話 緊急と災害の悪魔

一つの戦いが終わり、静寂が訪れる。

だがその裏で、別の地は既に壊されていた。


雨の中、立ち尽くす三人。

笑い、支え合い、それでも前を向く者たち——ピピ、ソーマ、ゾム。


守れなかった現実を背負いながら、彼らはまだ戦っている。


そして——エリックもまた、そこへ向かう。


運命は、すでに交わり始めている。


——戦場は、フクオカへ。


――おい、エリック聞こえるか!


脳内に響くマチルダの慌てた声。


「どうしたんだよ。そんなに慌てて。」


それに比べてエリックの声は間延びし、余裕すらあった。


――大変だ、お前の故郷の“フクオカ”が……。


「フクオカが?」


――災害の悪魔(カタストロフ)に襲撃された。


エリックの手が無意識に震える。

さっきまでの食事の余裕は、もう消えていた。


――俺は今向かっている。エリックもどこにいるか知らないが、そこへ向かえ。()()()()()のためにもな。


「わかった。」


エリックは短く答えた。


          ⬛︎⬛︎⬛︎


――ここは戦地フクオカ


「はぁ〜お腹すいた〜。」


雨が降りしきる中、傘もささずに二人の男女が歩いていた。


女は腰にいくつもの銃を差し、男は剣を二本携えている。


「ピピ。ここは戦地だ。あと少しで拠点に帰れる。我慢しろ。」


ソーマがピピの方を見ずに淡々と言う。


「えぇ〜ソーマ君。冷たいなぁ〜。」


ピピは円な瞳を輝かせながら、食料を欲しがるように言った。


「その呼び方やめろって言っただろ!」


ピピとソーマは魔法軍の同期で、任務もよく一緒になる。


(こいつにどれくらい振り回されればいいんだ……。)


ソーマは大きくため息をついた。


その間もピピは「ふんふーん♪」と鼻歌を歌いながら歩いている。


(今日は災害の悪魔(カタストロフ)の襲撃の後に到着してしまった……一歩遅かった!)


町はすでに地震や津波で崩壊し、かつての姿は失われていた。


昨日の一瞬で災害の悪魔(カタストロフ)は現れ、全てを奪った。


母親を求めて泣き叫ぶ子供。

瓦礫に挟まれ動けない人々。


ソーマは少佐として、当事者より先に折れるわけにはいかない。


その思いが、彼を縛っていた。


(それに比べてあの人は……悔しくないのか?)


ソーマは一瞬、ピピに苛立ちを覚える。


キャンプに着くと、魔法軍中将ゾムが食事の準備をしていた。


「お疲れ二人とも。今日は奴は現れなかったな。」


「えぇ。捜索範囲を一周しましたが、普通の魔物以外は。」


「二人で蹴散らしました〜。」


「言い方は怖いが良かった。お前らが無事じゃないと……」


ゾムは急に涙ぐむ。

ソーマ達とゾムは20も歳が離れており、ほぼ親子のような関係だ。


「今日は疲れた体に沁みる、梅干しおにぎりだ。」


「それしか作れないだけでは?」


ソーマとピピは何となく察していた。

ゾムの夜食はだいたい梅おにぎりだ。


「ソーマ君!言っていいことと悪いことがあるんだ!食べろぉおおお!」


「ギャー!勝手に口に突っ込むな!いつも塩味が強いんだよ!」


「あははは。私も混ぜてよぉ♪」


軍人の中でも、これほど仲がいいのは珍しい。

それだけ、この三人は数々の任務を乗り越えてきたのだ。


「あぁそうだ。」


ゾムが話を切り出す。


「明日には援軍が来るらしいぞ。しかも自由部隊FREE(フリー)所属の魔法使いだ。」


FREE(フリー)とは軍に所属しながらも、上官の命令を受けず自由に行動できるエリート集団である。


「へぇ、そう……なんですか。」


ピピは一瞬はっとした顔をしたが、すぐにいつもの明るさに戻る。


「どうした?」


ゾムが顔を覗き込む。


「なんでもないよ〜。」


だがその目は、崩れた街並みに一瞬だけ揺れていた。


「絶対三人で帰りましょう。そして美味しい豚骨ラーメン食べましょう!」


ピピは拳を掲げる。


「そうだな……せっかくフクオカだ。豚骨ラーメンくらい食べたいよな。」


ゾムは優しく笑った。


「明日に備えて早く寝よう。明日が本番だ。FREE(フリー)のエリート達に情けない姿は見せられんぞ!」


「「はい!」」


三人はそれぞれの寝床につく。


(……お兄ちゃん。早く来て。)


ピピは気づかぬうちに、涙で枕を濡らしていた。


         ⬛︎⬛︎⬛︎


――時は戻り、聖剣の里


「えっ!エリックの故郷が悪魔に襲われてる!」


エリックの通話を盗み聞いていたリサが驚く。


「明日にはフクオカに行かないといけない。お前達はこの里で待ってろ。危険を犯すのは僕だけで……」


――パシン


リサがエリックの頬を叩いた。

エリックの頬は赤く腫れる。


リサは怒っているはずなのに、どこか優しく笑っていた。


「私達、仲間でしょ?見捨てる仲間がいるの?少なくとも、私達はそんなに薄情じゃないよ!」


「そうだ、エリック殿。危険を犯すなら拙者も混ぜてくれぬか?」


『旦那だけカッコつけるのは良くないぞ!』


(……一人で背負おうとしてるのか。)


エリックは息を吐く。


「ありがとう。みんな……一人で行こうとした僕がバカだったな。」


『でも聖剣契約はどうするんですか?』


聖剣が慌てて言う。


「あぁ、それならいらぬ。拙者とクサナギはそれ以上のもので繋がってる。」


『流石、旦那。パネェー。』


クサナギは茶化すように笑った。


『安心した。あんたらならきっと災害の悪魔(カタストロフ)にも勝てるよ。』


「じゃあな。里、復活させとけよ!」


エリック達は桜舞う里を後にする。


その胸には、フクオカを必ず取り戻すという決意だけが残っていた。


――二章閉幕


「はぁ〜やっと編集おわったぁ。」


「どうしたの作者そんなに疲れた顔して。」


「いやぁエリック、こっからの三章一部の中で一番神章にしたいからさ。めっちゃ頑張ってんだよね。」


「そうなんだ……。てか新キャラ増えすぎじゃない?」


「そうだなリサ殿。読者も混乱するのでは?」


「俺の空想だと某海賊漫画みたいなスケールを目指してる。」


「えっ?数年キャラ放置とかある?」


「リサ、もしかしたらね。」


『そんな時は、作品ぶっ壊してでも割り込んでやる!』


「「やめろクサナギ!」」


「次回……」


「「FREE(フリー)と合流」」」


ここまで読んでくれてありがとう!この話が面白いと思ったら下の☆☆☆☆☆を★★★★★にしてくれると喜びで作者の執筆スピードが5万倍になります(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ