表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/63

三十四話 余韻と散り桜

桜の里。静寂の中に漂う、かすかな悲しみ。

かつて賑わっていたはずの場所は、戦いの爪痕に包まれていた。


エリックとルンタは、散った仲間の残骸を弔いながら、魔法と力を手に進む。

そして、麻婆豆腐の香りが漂う中、日常と非日常が入り混じる不思議な時間が始まる——。


だが、平穏は長く続かない。

赤と白の宝玉——魔法結晶(エマーシャード)の光が、次の運命を告げる。


今、戦いと笑いが、混ざり合う瞬間が動き出す

「おーい!」


エリックがルンタを遠くから呼ぶ。


周りの桜の木は溶け、元の美しい里の原型は留めておらず、戦いの激しさを物語っていた。


「エリック殿、カザンは魔族と繋がっていた……その魔族に裏切られて散った。」


ルンタはエリックを見つけ、何やら作業をしながら話す。


「そうか……ルンタは何してんだ?今、聖剣たちで麻婆豆腐作ってるから……。」


エリックはルンタの手元を見て、全てを察する。


「エリック殿、すまぬ。関係のない聖剣までも巻き込んでしまった。」


「……お前のせいじゃないよ、ルンタ」


ルンタの義眼には悲しみが混じり、息が震える。


「僕も手伝うから、あんま無理するな。」


エリックは手のひらに聖剣の残骸を拾い上げ、悲しげに見つめる。


数刻前、この場所は活気にあふれていたはずだった。

今は、言葉にできない喪失感だけが残っている。


「かたじけない。あと数体分の残骸が残っている。拾って弔ってあげてくれ。」


ルンタは平然を装っているが、手が震え動きを止めてしまう。


「奴は、魔族と手を組んでいた……。」


ルンタがぽつりと言う。


「奴は魔族を信じて力を貸していた。しかしそいつは、平然と裏切り用済みとして切り捨てた。」


ルンタの目がわずかに細くなる。義眼の光が、静かに怒りを帯びていた。


言葉はなくとも、剣を握る力がその意思を語っている。


「なぜだろうな?昔の戦国では良くあったことだ。——腸が煮えくり返る感覚だ。」


「ルンタ、僕も同じだ。あいつはな……。」


エリックはカザンの過去を語る。


ルンタは少し驚きつつも、ふっと笑う。


「次は必ず拙者が……」


『待ってよ。旦那、少し寝てたけど勝手に一人で背負うなよ!』


「いや、拙者らが討つ。」


ルンタはクサナギを天に掲げ、決意する。

——この言葉が実現するのは、まだ先の話だ。


「腹が減っては戦はできぬ!ってことで早く食べよ。」


「そうだな。」


ルンタとエリックは半日をかけて全てを弔い、その場を後にする。


「さて……行くか。」


エリックは避難所の方へ歩き出そうとする。


——その時だった。


カザンとロウを埋葬した場所から、光が漏れているのを見つける。


「なんだ?」


ルンタは何かに導かれるように掘り返す。


『旦那、ただの墓あらしにしか見えないぞ。』


クサナギは鞘から抜け、別人を装う。


『おやおや、今日は私、別人ですけどよろしく〜!』


相変わらず調子に乗っている。


ルンタが掘り返すと、赤い宝玉と白い宝玉が出てきた。


カザンとロウの残骸は、なぜか消えていた。


「エリック殿、これは何かわかるか?」


エリックは近づき、じっくりと見る。


「これは“魔法結晶(エマーシャード)”だな。」


——エリックの言う魔法結晶(エマーシャード)とは


固有魔法を持つ者が死んだとき、ごく稀に残る“魔法そのものの結晶”。


「これに魔力を流せば——」


エリックの手から、どろっとした溶岩が垂れる。


「熱っつ! けどこれで、その魔法式に刻まれた固有魔法を使える。ルンタ、二つ同時生成とかラッキーすぎるだろ。」


「もしかすると今日から……」


「今日から……?」


『今日から?』


ルンタはゴクリと唾を飲む。


「ドアノブ触ったときに絶対バチってなる呪いにかかってるんじゃないの?」


エリックはイタズラっぽく笑う。


「なぬ?ドアに触れてはならぬのか?」


「あはははは。」


エリックは堪えきれず吹き出す。


「ほんと面白いサイボーグだな。冗談だよ。さて、みんな待ってるし行くよ。」


魔法結晶(エマーシャード)はどうするのだ?」


ルンタは結晶を回したり、太陽にかざしたりする。


「お前が持っておけよ。その方が二人も喜ぶから。」


「……そうか。」


ルンタが返事をすると、微かに麻婆豆腐の匂いが漂う。


「よし、避難所にどっちが先に行けるか勝負だ。」


エリックがクラウチングスタートの構えをとる。


「子供か。」


そう言いつつもルンタも構える。


「ようい、ドン!」


——決着は一瞬だった。


「ほぉ中々にうまそうではないか。」


「ゼェゼェ……ルンタ速すぎ」


ルンタは既に皿に麻婆豆腐をよそって食べていた。


『ほんと、旦那手を抜かないよな。』


クサナギが呆れる。


「どこ……行ってたんですか?」


やばいオーラを放ったリサが現れる。邪悪な笑み付きだ。


「えっと……ルンタを迎えに……。」


「それはいいんです。なんでエリックが帰る前に完成してるんですか?」


追及が続く。


(終わったやつだ……)


「サボるのにちょうどよかったからですよね?」


リサはエリックのこめかみにゲンコツを添える。


狂気衝突(グリグリインパクト)!」


「ギャー!」


エリックは悶絶する。


しかし()()を超えることはなかった。


「ずみまぜん゛でした。」


エリックはそのまま倒れ込む。


『何見せられてんだよ……姐さん。』


クサナギは魔力のベールを張る。


『あははは。あんたらほんと仲良いな。嫁さんか?』


しかし綻びから一部に見られてしまう。


「そんなんじゃ……ありません!」


リサは顔を真っ赤にする。


『お似合いだよ、姐さんたち。』


エリックとリサは同時にクサナギを見る。


「「お前後で覚えておけよ。」」


「この麻婆豆腐うまいな。」


ルンタは気にせず食べ続ける。


(図太すぎる……。)


リサはため息をつく。


――その時だ。


——プープープー

——プープープー


エリックの脳内に響くバイブ音。


「ん?なんだ?」


エリックが連絡魔法を確認する。


——まさかここから、壮絶な戦いに巻き込まれるなんて……


「これにて第二章も次で終わり……短いけど結構濃かったな。エリック殿」


「三章かぁ一体どんな展開にするだろうこの悪魔作者は?」


「悪魔作者?」


「だって初登場キャラ普通に退場させたよ。」


「仕方なかったってやつだよ。」


「カザン借りるな!」


「一つ言っておくと次の章かなり自信あるよ。」


「どんな奴もかかってこい!」


「次回……」


「「「緊急と災害の悪魔」」」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ