三十話 暴虐と失墜
強さとは、選ばれることなのか。
それとも、選び続けることなのか。
一つの選択が、世界を歪めることがある。
それが正しかったかどうかなんて、後になっても誰にもわからない。
ただ一つ言えるのは——
選び続けた先にあるのは、栄光か、それとも破滅か。
そして今、その答えが刃となってぶつかり合う
『あれ?ジジイ死んだ?』
カザンはだんだんと笑みをこぼした。
『あんなに威勢良かったのによ。最後は老いぼれらしく、誰にも期待されずに死んだ』
カザンの周りの空気が変わる。
『……老いぼれらしくな』
その声は、ほんの少しだけ震えていた。
カザンの刃が空をゆっくりかき分けると、溶岩が渦を巻き、音の刃が空気を裂く。
ルンタは身構えた。カザンの視線が、確かに自分を捕らえている。
「エリック殿たちは逃げろ。これは拙者がやらねばならぬ」
エリックは黙って頷き、リサを連れて里の奥へ向かった。
『邪魔者はいなくなった……覚悟しろ……!俺の全てを喰らえ、ルンタ』
カザンの声に迷いはない。
下から溶岩の柱が立ち上がる。
『旦那!左三本、右二本来るよ!』
「わかってる」
ルンタは柱を避けながら間合いを詰める。
『お前にはもったいねぇぜ。その鈍じゃどれだけ努力しても届かない』
カザンは溶岩の粘度をさらに上げる。
「努力は道具で変わるものではない。本当の強者はな……」
「——道具は選ばない」
『あっそ。なら消えてもらう。慈悲はねぇ』
カザンの刀身から溶岩の触手が蠢く。
右に三本、左に三本。狂気そのものが形を持つ。
「行くぞ、クサナギ」
クサナギは鞘から自ら抜け、魔力を纏う。
『魔力持たねぇお前が、急に魔法の感覚……?』
——ザン
ルンタは風の魔力を乗せ、一気に踏み込む。
(あの野郎……センスで魔法を操りやがった)
『旦那……すげぇ!』
「こんなもんだろ」
ルンタは構えを崩さず、間合いを探る。
カザンは四方から触手を振るう。
ルンタは軌道をずらしながら反撃の隙を狙う。
(この形態は速い。だが遠距離が来ない)
『ふっ……その程度で崩れるか』
(負けるな——俺は誰よりも強い)
触手がルンタの頬をかすめる。
焼ける痛み。
一瞬の隙。
そこへ、二本の触手が落ちる。
——ジャッ
ルンタは刀で受け流す。
だがさらに重ねてくる。
足で踏ん張る。
『旦那!踏ん張れ!』
クサナギが魔力を込めて弾く。
ルンタは一気に距離を詰める。
(俺は何のために戦っている?)
『あぁ……わかんねぇ。でも……』
『生きてるって感じがする』
カザンは溶岩を集め、巨大な球体を作る。
周囲が溶けていく。
『消えろ。強い剣士に選ばれるのは俺だ』
——そして、その選択が全てを狂わせていた。
⸻
⬛︎⬛︎⬛︎
——これは昔の話
『あのジジイを追放した……ついに里は俺のものだ』
カザンはロウを貶め、里を支配した。
崖の上から見下ろし、呟く。
(俺に比べたら全部ゴミだ)
『逆らえる奴なんていねぇな。くだらねぇ連中ばかりだ』
「へぇ〜逆らえる奴おらへんのか」
『誰だ!』
木の上に、魔族が座っていた。
「安心せぇ。この里は襲わへん」
軽く飛び降り、着地する。
「ワイは七冠δ。組みに来た」
『魔族と?この俺が?』
(雑魚やろこいつ)
「聖剣様、全く揺らいでへんな。……ただ」
δは刀身をなぞる。
「ワイと組めば、この世界の面白いとこ全部味わえるで」
——甘い声と毒。
『面白いな。俺の下につく気か?』
「せやな。魔族を従えた聖剣。前例ないやろ」
——こうして、里の崩壊は始まった。
「……で、結局あの爺さん誰なんだよ。」
「エリック殿、普通に元里長って言ってただろ……。」
『問題はそこじゃねぇよ。』
「……何が?」
『あのカザン、完全にやばいやつだろ。』
「今更?」
「むしろ作者が一番ビビってたよね。」
「それはそう。書いてて“こいつ無理”ってなった。」
『おい作者、聞こえてるぞ。』
「ヒッ……」
「というか、あのδとかいうやつも怪しすぎない?」
『あいつは……マジで関わっちゃダメなタイプだ。』
「え、珍しくクサナギがガチトーン。」
『笑えねぇんだよ、あいつだけは。』
「……空気重っ。」
「はいカットでーす。」
「「「え?」」」
「今のいい感じだったのに!?」
「スタッフぅぅぅぅ!?」
「はいOKです!次回予告いきまーす!」
「——次回」
「「「最終奥義とあっけなく」」」
「カザンさんクランクインです。」
「「「ネタバレすんな!!」」」
「もうよくね?こういうキャラは……(自主規制)」
『……いや、それ言ったら終わりだろ。』




