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二十話 鮫と物の価値

物の価値は、誰が決めるのだろう。


折れない剣か。

名のある神器か。

それとも、持つ者の覚悟か。


戦国を駆けた刀は、

今や時代遅れと笑われるかもしれない。


半分に折れれば、価値は半分か?


違う。


帰る場所がある者にとって、

刃の長さなど関係ない。


奪うために振るう剣と、

守るために抜く刀。


どちらが強いかは、

まだ誰も知らない。


——これは、


鮫と、

神器と、

そして“半分でも立つ男”の物語。


価値は、戦いの中で決まる。


——時は同じく


エリックとリサと別れルンタは清水寺に来ていた。


(……あのドラ殿が“めんどくさい”と言っていた、あの剣を急に手懐けただと……どんな強者だ?)


戦国の時のルンタならきっとワクワクしていたに違いない。


——今は


(()()()()を誰がツッコミを入れる?リサ殿が二日酔いの時誰がお粥を作る?)


そんな思いからしっかりと作戦を練りつつ慎重に草薙の剣(くさなぎのけん)を取りに向かう。


ボーボーと生い茂る雑草を掻き分けてルンタは清水寺の入り口に辿り着く。


入り口は既に何者かによって開けられていて、その扉の奥には漆黒が広がっていた。


(……僅かに、魔族由来の魔力が見える……魔族に渡っていたとしたら危険だ。戦闘も覚悟するべきか……?)


ルンタは愛刀をすぐに抜けるようにした。


その義眼には覚悟が光る。


——コツコツ


ルンタは魔法が使えないのでマッチで火を灯しランプをつける。


ランプの淡い光が花弁のように周囲を照らす、何気に少し暖かい。


(……酷い有様だ。)


ルンタは鞘に力を込める。


試し切り?とでも言うようにあちこちに刃物で切られた傷がついている。


そして所々、水ぽくなっている。


(水……?何故だ?)


ルンタがそこに触れると、信じられないことが起こった。


——木の床が指で沈む


まるで水面のように波紋が広がる。


(魔法か?間違いなく近くに()())


「いるんだろ、隠れてないで出てこい。」


——ポチャン


背後から音。


ルンタは振り向き様に刀を抜く。


「あーぁバレちゃったなぁ〜。」


その魔族は波打つ床から顔と刀を持つ腕だけ出している。


『シャーク、あいつを倒せばいいんだな!』


ルンタの刀を受けるクサナギが意気揚々と言う。


「オレの名はシャーク。β(ベータ)国の三番隊副隊長だ。」


シャークは余裕綽々で言う。


シャークは鞘から剣を抜き、左手に握りクサナギと西洋式の剣で二刀流となる。


「……二刀流……宮本武蔵以来か……?」


『宮本武蔵……?侍かよ!』


クサナギは軽口を叩く。


「拙者はその刀……」


ルンタは草薙の剣(くさなぎのけん)を真っ直ぐ見つめる。


草薙の剣(くさなぎのけん)を取りに来た。」


「はぁ?何言ってんだお前?」


シャークは鼻で笑う。


「こいつはオレのもんだ。誰にも渡さない。」


「その刀は、貴様ら魔族に渡すわけにはいかない。」


「差別するのか?」


「……差別か……あながち間違ってもないかもな。だが一つ言える。それを使って“奪うんだろ”?」


ルンタは遠くから剣先をシャークの眉間に合わせる。


「弱い奴から奪う……自然の摂理だろ?」


シャークの西洋剣が首元を薙ぐ。


刃が触れる直前——


床が波打つ。


ルンタの視界が揺らぐ。


だが踏み込みは止まらない。


返しの太刀(かえしのたち)力宵(りきよい)


刀身が空間を裂く。


——ギィィンッ!!


金属音ではない。


水面を引き裂くような音。


シャークの周囲に広がっていた“流れ”が逆巻く。


波紋が一点へ収束。


次の瞬間——


西洋剣の刃が、内側から亀裂を走らせる。


——ピシッ。


——ピシピシピシッ!!


空間の歪みに耐えきれず、


刃は砕け散った。


破片は床に落ちない。


水面のような空間に沈み、


波紋だけが残る。


シャークの眉が、ほんの僅かに動く。


「……ほう。」


西洋剣の柄だけが、手に残った


「やるな……。並の前衛ではないな?」


シャークは目を細める。


「あぁ、()()()()()()があるからな。」


『答えになってない、訳わかんないよ。』


クサナギが興味津々に言う。


「答えにならなくていい。そういうものじゃないからな。」


「クサナギ!合わせろ!」


『おう!』


——風切り(かざきり)


シャークはクサナギに風属性の魔法を乗せる。


その風には細かい魔力の刃がついていて切れ味が上がっている。


——ガキュイン


ルンタはほぼ脊髄反射で刃の間に刀を挟む。


二人はジリジリと鍔を競り合い出方を探る。


(押し負けぬ……!)


ルンタが柄に思いっきり力を込めた時。


——ポチャン


水の音。


すると鍔がふっと軽くなりルンタは体勢を崩す。


「そこだ!」


シャークはクサナギを高く振り上げルンタの首を狙う。


ルンタはすぐに振り向き刀で防ぐが、


——ピキピキ


——バリバリバリ


その時、今まで戦国の時からの愛刀が半分の長さになってしまった。


「あははは!半分()()なくなってしまったな!もう、オレには勝てない。」


シャークは更に余裕を見せ剣先をルンタの喉元から外した。


——そのとき


抜きの太刀(ぬきのたち)抜刀(ばっとう)


ルンタは強烈な踏み込みと共に刀を振り抜く。


「何を言う?まだ半分()あるじゃないか。」


ルンタはシャークを剣先で逃さなかった。

「今日のルンタカッコ良すぎじゃね?」


「エリック殿、当たり前だ。」


「クー。かっこいいよ。ルンタ。一生ついていきます。」


「リサ殿顔を上げろ。」


「……一つこの話でダサいところ挙げていい?」


「なんだ作者。」


「あのー宿から清水寺まであんまり時間かからないですよ。」


「ほう。」


「エリックとリサはハイオークと50分くらい戦ってるのね。」


「うん。」


「あんた、道迷ってただろ。」


「斬るぞ。」


「ギャー!」

「……ってことで次回」


「「邂逅とβ(ベータ)」」


「助けて〜死ぬ。」


「地獄の果てまで追いかけるからな!」

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