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LETHAL -俺だけが見える勝利の一手-  作者: 龍崎
第三章 海外遠征編 ― 世界を喰らう拳 ―

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第34話 王者の夜

表彰式が終わっても会場の熱気はまったく冷めなかった。観客たちはステージ前に残り続け、選手たちは互いを称え合い、各国のメディアは優勝者への取材に追われている。REVOLT MAJOR 2026は終わったはずなのに、誰もがまだその余韻の中にいた。


神谷蓮は優勝トロフィーを抱えながら選手エリアへ戻る。手に伝わる重みが妙に現実的だった。数日前まで世界大会優勝など遠い夢だったはずなのに、今その証が自分の腕の中にある。


通路を歩くたびに声を掛けられる。


「チャンピオン!」


「ナイスゲーム!」


「おめでとう!」


海外選手やスタッフたちが次々と神谷へ祝福を送る。その度に頭を下げるが、どこかまだ実感が湧かない。


そんな中、一人の男が神谷の前で立ち止まった。


エリック・ウォーカーだった。


準優勝メダルを首から下げたまま神谷を見る。


数秒の沈黙。


そしてエリックは右手を差し出した。


「Congratulations.」


神谷も笑う。


「Thanks.」


固い握手が交わされる。


グランドファイナルで死闘を演じた二人だからこそ分かるものがあった。


エリックは少し笑う。


「Next time, I win.」


神谷も即答する。


「No. Next time too, I win.」


エリックが吹き出した。


「We’ll see.」


そのまま二人は笑い合う。


近くにいたメディアが一斉にカメラを向ける。世界大会決勝を戦った二人の握手は、その日のうちに世界中へ拡散されることになる。


エリックが去った後、神谷のスマートフォンが震え続けた。SNSの通知、ニュース記事、スポンサー関係者からの連絡、海外プレイヤーからのメッセージ、増え続けるフォロワー数。画面を開くたびに数字が変わっている。


「なんだこれ……」


思わず苦笑する。


その時、RAVEN’S NESTのグループチャットが目に入った。


『優勝おめでとう』


『やっぱやりやがったな』


『最高だった』


『帰ったら飯な』


大量の祝福メッセージが流れている。


そして一番下。


九条迅からのメッセージ。


『お疲れ。』


たったそれだけだった。


神谷は笑う。


だが数秒後、もう一件届く。


『次も勝て。』


思わず吹き出した。


世界大会優勝直後なのにまるでいつものランクマ後みたいな一言だった。


だがその言葉が妙に嬉しい。


優勝した。


世界一になった。


夢だった場所へ辿り着いた。


それでも終わりじゃない。


日本には皇恒一がいる。


世界にはエリックのような強豪がいる。


そして今日からは全員が神谷蓮を倒すために研究し、対策し、挑んでくる。


もう挑戦者ではない。


王者だ。


神谷は立ち止まり、優勝トロフィーを見つめる。


会場の照明を反射して金色に輝く世界王者の証。


その重みを確かめるように握り直し、小さく笑った。


「次も勝つか。」


REVOLT MAJOR 2026は終わった。


だが世界王者となった神谷蓮の新たな戦いは、もう始まっていた。

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