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LETHAL -俺だけが見える勝利の一手-  作者: 龍崎
第三章 海外遠征編 ― 世界を喰らう拳 ―

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第28話 王の領域

REX VS ARTHAL


画面に表示された瞬間から会場の空気が変わっていた、神谷は2-0で王手をかけている、それなのに観客席からはどこか緊張した空気が漂っていた、それほどまでにエリックのキャラ変更は衝撃だった。


「さあ始まる!!」


相馬優斗が叫ぶ。


「神谷選手は優勝まであと一本!!エリック選手は後がない!!」


FIGHT


開幕。


神谷はいつも通り前へ出る。


しかし。


その瞬間だった。


巨大な王剣が振られる。


届かないはずの距離。


だが届く。


カウンター。


会場がどよめく。


「おおっ!!」


神谷はすぐ立て直す。


前ステップ。


さらに前へ。


だが。


また剣。


止まる。


また剣。


止まる。


近付けない。


コメント欄。


『長い』


『届かない』


『何だこのリーチ』


『やばい』


大原が静かに言う。


「完全に間合いが違います。」


「神谷選手が今まで使っていた距離が成立していません。」


相馬も驚く。


「これがアーサルか……!!」


神谷は冷静だった。


だが。


触れない。


近付く前に切られる。


飛べば落とされる。


歩けば押し返される。


攻撃が始まる前に終わる。


まるで試合全体を支配されているようだった。


観客席が静かになっていく。


神谷が苦しんでいる。


誰の目にも明らかだった。


コメント欄。


『きつい』


『どうする』


『神谷頑張れ』


中盤。


ようやく神谷が近付く。


会場が沸く。


「行けぇぇぇ!!」


だが。


投げを狙った瞬間。


エリックが下がる。


空振り。


そこへ王剣。


カウンター。


さらにコンボ。


体力が消える。


「うわああああ!!」


相馬が叫ぶ。


「痛い!!」


「めちゃくちゃ減る!!」


神谷は歯を食いしばる。


(遠い。)


(近付けない。)


今までの相手とは違う。


Frostは読み合いだった。


アーサルは支配だった。


試合そのものをコントロールされている。


終盤。


神谷も何度か攻め込む。


だが届かない。


一本。


二本。


三本。


剣が振られる。


防ぐ。


下がる。


防ぐ。


下がる。


そして。


最後の一撃。


巨大な斬撃がRexを吹き飛ばす。


K.O.


会場が揺れる。


「取ったぁぁぁぁ!!」


「エリック選手一つ返したぁぁぁぁ!!」


コメント欄。


『うおおおお』


『強い』


『別キャラすぎる』


『神谷きつい』


『流れ変わった』


神谷はモニターを見つめる。


スコアは2-1。


まだリードしている。


だが問題はそこじゃない。


今の試合。


何もできなかった。


本当に何も。


向かい側のエリックは静かに水を飲む。


表情は変わらない。


しかし会場は理解していた。


神谷が優勢だった決勝戦。


その流れが。


今、音を立てて変わり始めていることを。

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