第23話 リセット
スコアは1-1、会場全体が張り詰めた空気に包まれる中で始まった三本目だったが、ここで最初に変化を見せたのは神谷だった、それまで細かく刻んでいた立ち回りを少しだけ変え、無理に攻め込むのではなくエリックの動きを見てから差し返す展開へ切り替える、その変化に大原がすぐ反応した。
「神谷選手、狙いを変えましたね。」
相馬も声を上げる。
「確かに!!さっきより待ってる!!」
コメント欄。
『分かる』
『修正した』
『神谷きたか』
その変化はすぐ結果として現れた、エリックの牽制を避けながら差し返しを通し、さらに画面端へ追い込む、ここまでの試合で積み上げてきた読み合いが噛み合い始める、コンボ、起き攻め、投げ、再びコンボ、エリックも反撃するが神谷は崩れない、白石戦やルーザーズの連戦で鍛えられた集中力がここで生きていた。
「うおおおおお!!」
「神谷止まらない!!」
相馬が絶叫する。
そして三本目終盤、最後は鋭い差し返しからコンボを完走しK.O、会場が大きく揺れた。
「取ったぁぁぁぁ!!」
「神谷王手ぇぇぇぇ!!」
コメント欄。
『うおおおおお』
『あと一本』
『リセット見えた』
『神谷やばい』
スコアは2-1。
しかし本当に凄かったのはここからだった。
四本目開始直後、神谷の勢いはさらに加速する、エリックももちろん強い、何度も流れを引き戻そうとする、だが神谷がそれを上回る、前ステップからの圧力、絶妙な投げ択、読み勝った対空、通り始めた差し返し、その全てが噛み合い始める。
大原が驚きを隠せない。
「神谷選手、今大会で一番仕上がっています。」
相馬も立ち上がる。
「ルーザーズを勝ち上がった経験が全部ここに来てる!!」
コメント欄。
『覚醒してる』
『主人公だろ』
『流れきた』
『いけぇぇぇ』
終盤、残り体力は互角だった、会場中が固唾を呑んで見守る中で神谷が前へ出る、エリックも迎え撃つ、互いの攻撃が交錯する、次の一発で終わる。
神谷は読んでいた。
エリックの選択を。
差し返し。
ヒット。
会場が爆発した。
コンボ。
追撃。
さらに追撃。
そして最後の一撃。
K.O.
その瞬間。
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
会場が揺れる。
相馬が絶叫する。
「勝ったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!神谷蓮やったぁぁぁぁぁ!!!!」
大原も声を張り上げる。
「リセットです!!グランドファイナルリセットです!!」
コメント欄は完全に祭り状態だった。
『うおおおおおおお』
『マジかよ』
『リセットきたぁぁぁ』
『神谷覚醒』
『REVOLT最高』
『伝説だろこれ』
神谷は小さく息を吐く。
まだ優勝じゃない。
だが一つ乗り越えた。
エリックに初めて土をつけた。
無敗だった男を敗者側へ引きずり下ろした。
そして画面に表示される。
GRAND FINAL RESET
Kamiya Ren
VS
Eric Walker
BO5
両者一敗。
ここから先は完全な最終決戦。
勝った方がREVOLT MAJOR 2026王者となる。




