第24話 九条迅のミラー配信
神谷がエリックを破りグランドファイナルをリセットした瞬間、日本中の配信サイトで歓声が上がる中、RAVEN’S NESTのミラー配信もとんでもない視聴者数を叩き出していた、その中心にいるのはチームメイトの九条迅、普段は冷静な男ですら今の試合には思わず笑みを浮かべていた。
「いやぁ。」
九条は椅子にもたれながら苦笑する。
「本当にやりやがったな。」
コメント欄。
『九条さんどうですか今の』
『神谷やばくね?』
『リセットきたぞ』
『優勝ある?』
九条は少し考える。
「優勝あるかって?」
一度モニターへ視線を向ける。
「あるからここまで来てる。」
コメント欄。
『おおおおお』
『さすが』
『信頼してるな』
九条は続ける。
「そもそもエリック相手にBO5取る時点で普通じゃないからな。」
「しかも一回負けてる相手だぞ。」
「普通は心が折れる。」
「でもあいつ折れなかった。」
コメント欄。
『確かに』
『ルーザーズ長かったもんな』
『神谷メンタル強すぎ』
九条は少し笑う。
「いやメンタル強いっていうか。」
「あいつ負けても引きずらないんだよ。」
「昔から。」
「負けた瞬間は悔しがるけど次の日には対策考えてる。」
コメント欄。
『主人公じゃん』
『努力型だな』
『いいチームだ』
そこへ一つのコメントが流れる。
『九条さんなら勝てる?』
配信が少しざわつく。
九条は苦笑した。
「それ聞く?」
コメント欄。
『聞きたい』
『答えて』
『どうなん?』
九条は少し考えてから答える。
「分からん。」
コメント欄。
『正直』
『草』
『でもそれよな』
「今の神谷と今のエリックなら分からん。」
「だから面白いんだろ。」
「結果が分かるなら大会なんて誰も見ない。」
コメント欄。
『名言出た』
『確かに』
『その通り』
モニターには試合後の神谷が映る。
汗を拭きながら水を飲んでいる。
ここまで何試合戦ったのか分からない。
それでも目は死んでいない。
九条はその姿を見て小さく笑った。
「成長したな。」
コメント欄。
『親目線で草』
『先輩やん』
『泣いてる?』
「泣いてねえよ。」
「ただな。」
少し間を置く。
「チーム入った時はこんな舞台まで来ると思ってなかった。」
コメント欄。
『おお』
『本音だ』
『いい話』
九条は画面を見ながら続ける。
「でも今なら思う。」
「こいつ本当に世界のトップと戦えるんだなって。」
コメント欄。
『うおおおおお』
『熱い』
『神谷聞いてるか』
すると新たなコメントが流れる。
『神谷優勝すると思う?』
九条は即答した。
「知らん。」
コメント欄。
『wwwww』
『即答で草』
『さっきから正直すぎる』
九条は笑う。
「だから言ってるだろ。」
「分からん。」
「でも。」
配信の空気が変わる。
コメント欄も静かになる。
九条は画面に映る神谷を見ながら言った。
「応援する理由なら十分ある。」
「ここまで勝ち続けて。」
「倒されても立ち上がって。」
「また戻ってきた。」
「そんな奴が最後に勝ったら格好いいだろ。」
コメント欄。
『うおおおおおお』
『それはそう』
『優勝しろ神谷』
『頼む』
『行けぇぇぇ』
その頃メインステージではリセット後のグランドファイナルが始まろうとしていた。
九条はヘッドセットを付け直し笑った。
「さて。」
「本当の決勝だ。」
「お前ら。」
「瞬きするなよ。」




