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LETHAL -俺だけが見える勝利の一手-  作者: 龍崎
第一章 無名の高校生

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第6話 無名の強者

配信終了後。


白石凛は椅子の背もたれに体を預けながらモニターを見つめていた。


部屋には静寂が広がっている。


いつもならランク配信が終わった後は軽い疲労感だけが残る。


だが今日は違った。


頭の中に残っているのは一人のプレイヤーだった。


《LETHAL》


聞いたことのない名前。


大会で見たこともない。


プロシーンでも聞いたことがない。


それなのに。


強かった。


凛は試合履歴を開く。


最終戦のリプレイを再生した。


Kaiが動く。


自分が動く。


何度も見返しているはずなのに違和感が消えない。


「なんで……」


思わず呟く。


読み負けた。


それは分かる。


だが最後の数分はそれだけでは説明できなかった。


選択肢を潰されていた。


まるで先回りされているように。


一歩動くたびに。


技を振るたびに。


相手の思惑の上で踊らされていたような感覚。


トッププレイヤー同士の試合では珍しくない。


しかし。


ランクマッチで。


無名プレイヤー相手に。


それを経験したことはほとんどなかった。


「誰なんだろ」


リプレイを止める。


検索窓へプレイヤーネームを入力する。


LETHAL。


だが大した情報は出てこない。


SNSアカウント。


対戦動画。


クリップ。


いくつか見つかる。


どれも最近のものばかりだった。


「最近出てきた人……?」


少なくとも有名プレイヤーではない。


だが実力だけなら確実に上位層。


そうでなければ説明がつかない。


スマホが震えた。


チームメイトからのメッセージだった。


『配信見たぞ』


『負けてて草』


『相手誰?』


凛は少し考えた後、短く返信する。


『分からない』


それが本音だった。


分からない。


だが。


気になる。


それだけは間違いなかった。


一方その頃。


格ゲー界隈は少しだけ騒がしくなっていた。


きっかけはもちろん配信だった。


視聴者三万人。


国内トッププロ。


そして無名プレイヤー。


話題にならない理由がない。


夜が更けるにつれて各所でスレッドが立ち始める。


――――――――――


【悲報】白石凛、謎の無名に敗北


1:名無しの格ゲーマー


今日の配信見たやついる?


2:名無しの格ゲーマー


見た


3:名無しの格ゲーマー


LETHALとかいうやつ誰だよ


4:名無しの格ゲーマー


普通に強かった


5:名無しの格ゲーマー


強いってレベルじゃない


6:名無しの格ゲーマー


最後のラウンド怖かったわ


7:名無しの格ゲーマー


途中から全部読んでたよな


8:名無しの格ゲーマー


サブ垢じゃね?


9:名無しの格ゲーマー


プロのサブ垢説ある


10:名無しの格ゲーマー


でも操作見た感じ若そう


11:名無しの格ゲーマー


なんで分かるんだよ


12:名無しの格ゲーマー



13:名無しの格ゲーマー


ソース無し


14:名無しの格ゲーマー


大会勢なら絶対名前聞いたことあるんだよな


15:名無しの格ゲーマー


ガチで突然出てきた感ある


16:名無しの格ゲーマー


レート履歴見たけど上がり方おかしいぞ


17:名無しの格ゲーマー


一か月でここまで来てるの?


18:名無しの格ゲーマー


化け物じゃん


19:名無しの格ゲーマー


Kai使いなのも珍しい


20:名無しの格ゲーマー


強キャラじゃないのに勝ってるのやばい


21:名無しの格ゲーマー


しかも凛相手に2-1


22:名無しの格ゲーマー


最終戦ほぼ完封だったな


23:名無しの格ゲーマー


あれ見て震えた


24:名無しの格ゲーマー


LETHALって名前覚えたわ


25:名無しの格ゲーマー


そのうち大会出そう


26:名無しの格ゲーマー


出たら面白い


27:名無しの格ゲーマー


というか誰か正体知らんのか


28:名無しの格ゲーマー


地元ゲーセン勢説ある


29:名無しの格ゲーマー


どこの?


30:名無しの格ゲーマー


知らん


31:名無しの格ゲーマー



32:名無しの格ゲーマー


結局誰なんだよ


33:名無しの格ゲーマー


謎の強キャラ感あって好き


34:名無しの格ゲーマー


次配信者と当たったらもっと騒がれそう


35:名無しの格ゲーマー


今のうちに名前覚えとけ


36:名無しの格ゲーマー


LETHALな


37:名無しの格ゲーマー


覚えた


38:名無しの格ゲーマー


絶対また出てくるわ


――――――――――


その頃。


スレッドの存在など知る由もなく。


神谷蓮はいつも通りゲームを終了し、ベッドへ寝転がっていた。


ただ少しだけ。


今日の対戦を思い返しながら。


「また当たらないかな」


そう呟いて目を閉じた。

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