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LETHAL -俺だけが見える勝利の一手-  作者: 龍崎
第一章 無名の高校生

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第5話 LETHAL

一勝一敗。


勝負を決める最終戦。


ロード画面が消える。


ステージが表示される。


画面中央で向かい合う二人のキャラクター。


カウントダウン。


3。


2。


1。


――FIGHT。


試合開始。


だが。


二戦目までとは空気が違った。


蓮の視線が鋭い。


画面の向こうにいる相手ではなく、その先を見ているような感覚。


ここまでで十分だった。


情報は揃った。


距離感。


守り方。


攻め方。


選択肢。


癖。


一戦目では見えなかったものが今は見える。


もちろん相手は強い。


間違いなく今まで戦った中で最強だ。


だが。


見えないわけではない。


Celesが前へ出る。


牽制。


剣先による中距離攻撃。


蓮は動かない。


ガード。


そして。


一歩前へ。


Celesが下がる。


その瞬間。


Kaiが踏み込んだ。


拳。


カウンター。


ヒット。


「よし」


蓮が小さく呟く。


コンボ開始。


浮かせ。


追撃。


着地狩り。


さらに追撃。


体力が削れる。


二戦目でも決めたルートだった。


だが今回は違う。


コンボ後。


蓮は距離を離さない。


前へ出る。


圧力。


逃がさない。


起き上がり。


投げ。


通る。


再び起き攻め。


下段。


ヒット。


体力差が一気に広がる。


コメント欄が流れる。


『強い』


『流れ変わったぞ』


『押してる』


『別人じゃね?』


しかし蓮は見ていない。


意識は全て試合へ向いていた。


相手の動き。


その先。


さらに先。


次に何をしたいのか。


それが手に取るように分かる。


Celesが距離を取る。


追う。


剣を振る。


潜る。


投げを狙う。


潰す。


何を選んでも先回りされる。


蓮自身も驚いていた。


ここまで見えるのか。


これほど明確に。


相手の動きが。


勝利への道筋が。


残り体力。


Kai八割。


Celes三割。


誰が見ても劣勢だった。


だが蓮は攻める手を止めない。


中距離。


牽制。


フェイント。


前ステップ。


投げ。


下段。


上段。


全てが繋がっている。


ただ攻めているだけではない。


選択肢を削っている。


一つずつ。


確実に。


追い詰める。


そして。


その瞬間が訪れる。


Celesが後退する。


一歩。


二歩。


迎撃の準備。


今までならここから立て直していた。


だが。


蓮には見えていた。


完全に。


鮮明に。


一本の線が。


勝利へ繋がる道。


――そこだ。


Kaiが走る。


前ステップ。


相手の迎撃技が空を切る。


硬直。


最大の隙。


蓮の指が動く。


拳。


カウンター。


ヒット確認。


最大コンボ。


浮かせる。


追撃。


さらに追撃。


ゲージ解放。


画面が揺れる。


連撃。


連撃。


連撃。


体力ゲージが消えていく。


止まらない。


最後の一撃。


Kaiの拳が叩き込まれる。


K.O.


試合終了。


画面中央に勝利演出が表示される。


静かな部屋。


聞こえるのはパソコンのファンの音だけだった。


蓮は椅子にもたれ掛かる。


そして小さく息を吐いた。


「強かったな」


それが率直な感想だった。


間違いなく今まで戦った中で最強だった。


だからこそ楽しかった。


画面には勝利結果が表示されている。


プレイヤーネーム。


《LETHAL》


その文字だけが静かに輝いていた。

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