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LETHAL -俺だけが見える勝利の一手-  作者: 龍崎
第2章 RAVEN’S NEST加入・大型大会編

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第27話 獣王の反撃

一本目を奪われた九条迅だったが、その表情は変わらなかった。


焦りもなければ苛立ちもない。


ただ静かにモニターを見つめている。


対する皇恒一もまた無表情のままレバーに手を添えていた。


『決勝戦第二セット!!』


『ここで九条選手が追いつくのか! それとも王者がさらに突き放すのか!!』


会場のボルテージが上がる。


そして試合開始。


だが結果から言えば、このセットも皇の支配だった。


開幕からアーサルの長い剣が戦場を支配する。


ガルドが前へ出ようとするたびに剣先が置かれ、飛べば落とされ、攻めれば迎撃される。


まるで見えない壁が存在するかのようだった。


『また止めたぁぁぁ!!』


『皇選手の間合い管理が異次元です!!』


ガルドの前蹴り。


アーサルが後ろへ下がる。


空振り。


次の瞬間には剣による差し返し。


さらにコンボ。


画面端。


起き攻め。


再び読み勝つ。


九条もトッププレイヤーとして何度も反撃を試みるが、その全てに皇が答えを用意している。


一手先。


二手先。


いや。


もっと先だ。


会場の観客たちも理解し始めていた。


皇は強い。


そんな言葉では足りない。


試合そのものを支配している。


『またKO!!』


『第二セットも皇恒一!!』


『これで二本先取だぁぁぁ!!』


会場が揺れる。


スコアは二対〇。


あと一本で優勝。


誰もが王者の優勝を確信し始めていた。


だが。


その時だった。


九条が立ち上がる。


深く息を吐く。


そして小さく呟いた。


「……なるほどな」


それは敗北を受け入れた言葉ではない。


むしろ逆だった。


獣がようやく鎖を外したような声音だった。


第三セット。


開始。


そして会場の空気が変わる。


今までの九条とは別人だった。


開幕。


前進。


止まらない。


ガルドが一直線に距離を詰める。


牽制など関係ない。


リスクなど関係ない。


ただ前へ。


ひたすら前へ。


『うおおおお!?』


『攻める!!』


『九条選手攻めるぞ!!』


アーサルの剣を一発受ける。


それでも止まらない。


さらに前進。


前蹴り。


ヒット。


肘打ち。


中段。


投げ。


ガルドの巨体が暴れ始める。


まるで飢えた獣だった。


今までの冷静な立ち回りはない。


理詰めもない。


ただ相手を噛み砕くためだけに襲いかかる猛獣。


観客席が総立ちになる。


「行けぇぇぇ!!」


「九条ぉぉぉ!!」


「まだ終わってねぇぞ!!」


ガルドの拳がアーサルを吹き飛ばす。


膝蹴り。


肘打ち。


首相撲。


コンボ。


画面端まで運ぶ。


さらに攻める。


逃がさない。


近付かれた瞬間のガルドは怪物だった。


『うわああああ!!』


『皇選手が押されている!!』


『今日初めてですよ!!』


実況も絶叫する。


今まで冷静だった皇が初めて守勢に回る。


アーサルの剣を振る。


だが。


九条は止まらない。


被弾しても前へ出る。


ガードしても前へ出る。


転ばされても起き上がり前へ出る。


その姿はまるで獲物を仕留めるまで追い続ける猛獣そのものだった。


最終ラウンド。


会場全体が九条コールに包まれる。


『九条!!』


『九条!!』


『九条!!』


残り体力は互角。


だが流れは完全に九条だった。


ガルドが踏み込む。


前蹴り。


ヒット。


続く膝蹴り。


カウンター。


会場が爆発する。


『入ったぁぁぁ!!』


『これは痛い!!』


そこから最大コンボ。


重い一撃が何度も叩き込まれる。


最後は。


ガルドの渾身の飛び膝蹴り。


巨大な衝撃と共にアーサルが吹き飛ぶ。


KO。


一瞬の静寂。


そして。


大爆発。


『返したぁぁぁぁぁ!!』


『九条迅!!』


『絶対王者相手に一本取り返したぁぁぁ!!』


会場は割れんばかりの歓声に包まれた。


スコアは二対一。


まだ皇が有利。


だが。


誰もが感じていた。


終わっていない。


獣はまだ倒れていない。


むしろ。


ここからが本番だった。

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