表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
LETHAL -俺だけが見える勝利の一手-  作者: 龍崎
第2章 RAVEN’S NEST加入・大型大会編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/165

第24話 届かなかった頂

一勝一敗。


会場全体が張り詰めた空気に包まれていた。


大型モニターには神谷蓮と黒瀬詩音の名前。


どちらかが生き残り。


どちらかが終わる。


CSJC2026 TOP8。


ルーザーズブラケット。


運命の最終セット。


俺は深く息を吐いた。


手汗で少し湿ったレバーを握り直す。


周囲の歓声が遠く聞こえる。


観客の数。


照明。


巨大スクリーン。


今まで経験したどの舞台よりも大きい。


だが不思議と緊張はなかった。


ただ勝ちたい。


その気持ちだけだった。


『ファイナルラウンド!』


実況の声と同時に試合が始まる。


開幕。


俺は前へ出た。


黒瀬の玲華が中距離から牽制を振る。


鋭い前蹴り。


しゃがみ弱キック。


細かい技が飛んでくる。


だが見えている。


一本目より。


二本目より。


確実に。


俺は前ステップ。


差し返し。


ヒット。


コンボへ。


会場が沸く。


『神谷選手攻める!!』


画面端。


起き攻め。


投げ。


成功。


さらに攻めを継続。


俺の流れだった。


このままいける。


そう思った。


だが。


黒瀬は崩れない。


立ち回りを変えてきた。


今まで見せなかった行動。


距離管理。


牽制のタイミング。


技の置き方。


全部が変わる。


「っ……!」


空振りした技に差し返される。


玲華の下段。


中攻撃。


コンボ。


体力が一気に削られた。


会場がどよめく。


俺も反撃する。


ジャンプ。


通った。


コンボ。


さらに攻める。


黒瀬も返す。


観客席から歓声が上がる。


『うおおおお!!』


『どっちだ!?』


『レベル高すぎる!!』


試合は最終ラウンドへ。


体力はほぼ五分。


一発で流れが変わる状況だった。


俺は集中する。


相手の癖。


行動。


選択肢。


全部見る。


全部読む。


今までずっとそうやって勝ってきた。


だが。


黒瀬は違った。


同じ行動をしない。


同じ癖を見せない。


こちらが対応すれば。


さらにその上を選択してくる。


トッププレイヤー。


それも日本最高峰。


その壁が目の前に立っていた。


残り体力三割。


お互いあと一回。


あと一回通せば勝てる。


会場が静まる。


誰も声を出さない。


全員が画面を見ていた。


そして。


俺は勝負を仕掛けた。


前ステップ。


投げを見せる。


相手が動く。


そこへカウンター。


読んだ。


確かに読んだ。


だが。


黒瀬の選択はさらにその先だった。


俺の攻撃が空を切る。


「しまっ――」


遅かった。


玲華の下段。


カウンターヒット。


そこから完璧なコンボ。


画面端。


追撃。


さらに必殺技。


体力ゲージが消える。


KO。


一瞬。


音が消えたような気がした。


次の瞬間。


会場が爆発した。


『決着ぅぅぅぅぅ!!』


『勝者!! 黒瀬詩音選手!!』


割れんばかりの歓声。


立ち上がる観客。


鳴り響く拍手。


俺はモニターを見つめたまま動けなかった。


負けた。


負けたんだ。


悔しい。


悔しいに決まっている。


ここまで来た。


勝てると思っていた。


世界と戦えると思っていた。


だが現実は違う。


黒瀬は強かった。


対応力も。


経験も。


キャラクター理解も。


勝負所での判断も。


すべてが俺より上だった。


俺はまだ足りない。


読み合いも。


技術も。


経験も。


何もかも。


TOP8。


確かに結果としては立派かもしれない。


だが。


頂点を見るには全然足りなかった。


ステージを降りる前。


俺は最後にもう一度振り返る。


歓声に包まれる舞台。


勝ち残ったプレイヤーたち。


世界と戦うための場所。


そこはまだ俺の立つ場所ではなかった。


だけど。


いつか必ず戻ってくる。


今度は挑戦者としてじゃない。


優勝を狙う側として。


そう胸に刻みながら、俺は静かにステージを後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ