第22話 女子最強
CSJC2026最終日。
満員となった会場の歓声の中、TOP8の戦いが始まろうとしていた。
ルーザーズブラケット第一試合。
神谷蓮――LETHAL。
対するは。
NOVA eSports所属。
黒瀬詩音。
国内女子ランキング一位。
数々の大型大会で結果を残してきた、日本女子格闘ゲーム界の頂点に立つ存在だった。
使用キャラクターは『玲華』。
華麗な足技を主体とするスピードタイプの女性キャラ。
リーチの長い蹴りと素早い小技を軸に相手を揺さぶり、一度触れば途切れない連係とコンボで体力を奪い続けるテクニカルファイターとして知られている。
『さあ始まりました! TOP8ルーザーズ第一試合!』
『神谷選手と黒瀬選手の注目カードです!』
ラウンド開始。
試合開始直後から黒瀬は前へ出た。
中距離。
玲華の鋭い前蹴り。
しゃがみ弱キック。
立ち弱パンチ。
細かい技を刻みながら神谷の動きを観察していく。
神谷も冷静に対応するが、黒瀬の立ち回りは想像以上だった。
速い。
そして隙がない。
「……」
神谷が前へ出た瞬間。
黒瀬は一歩後退。
空振りを確認すると即座に差し返す。
そこから玲華の連係。
弱攻撃から中攻撃。
中攻撃から特殊技。
さらにコンボへ。
体力が一気に削られる。
会場がどよめいた。
『黒瀬選手うまい!』
『神谷選手の動きを完全に読んでいます!』
神谷も反撃する。
得意の読み合いから大ダメージコンボを決め、一気に追い上げる。
だが黒瀬は崩れない。
最後まで冷静だった。
そして最終ラウンド。
互いに体力は残りわずか。
先に動いたのは神谷。
勝負を決めるため前へ踏み込む。
しかし。
その瞬間だった。
玲華の鋭い下段蹴り。
ヒット確認。
そのままコンボへ。
画面中央まで運び切り、最後は必殺技。
KO。
『決まったぁぁぁ!!』
『まず一本先取は黒瀬詩音選手!!』
会場が大きく沸く。
女子最強の名は伊達ではなかった。
神谷はモニターを見つめながら静かに息を吐く。
想像以上。
間違いなく強い。
だが。
その目に焦りはなかった。
まだ終わっていない。
勝負はここからだった。




