第18話 敗者復活
CSJC二日目。
会場へ向かう道中、神谷蓮は昨日の敗北を思い出していた。
アレックス・リード。
世界の強さを見せつけられた一戦だった。
だが落ち込んではいない。
むしろ気持ちは不思議なほど落ち着いていた。
負けた。
だからこそ見えたものがある。
今は前を向くしかなかった。
ルーザーズ。
敗者側トーナメント。
ここからは一度負ければ終わり。
本当の意味で後がない戦いだった。
「顔色悪くないな」
会場で九条が声を掛ける。
「大丈夫です」
「なら問題ない」
九条はそれ以上何も言わなかった。
神谷も余計なことは考えない。
目の前の試合だけを見る。
それだけだった。
・・・
二日目最初の試合。
神谷は落ち着いていた。
相手の動きを観察し、癖を見抜き、確実に勝ち筋を通す。
焦りはない。
昨日の敗北で逆に視界が広くなっていた。
結果は2-0。
危なげなく勝利。
続く試合も勝利。
さらにその次も勝利。
ルーザーズを着実に勝ち上がっていく。
「LETHAL強いな」
「昨日負けたとは思えない」
「動き良くなってないか?」
観客の声が聞こえる。
神谷は気にしなかった。
今は勝つことだけに集中している。
一試合。
また一試合。
勝利を重ねる。
そして気付けば夕方になっていた。
二日目も終盤。
ここを勝てば翌日の最終日進出。
負ければ敗退。
そんな大一番だった。
神谷は次の対戦台へ向かう。
モニターに表示された名前を見る。
その瞬間、周囲がざわついた。
PHOENIX。
獅堂大河。
国内トップクラスの人気を誇る攻撃型プレイヤー。
豪快な攻めで観客を沸かせるスター選手だった。
「あれか……」
「ルーザーズで当たるのかよ」
「熱すぎるだろ」
観客席が騒がしくなる。
神谷は対戦席を見る。
そこには大柄な男が座っていた。
獅堂大河。
神谷に気付いた獅堂はニヤリと笑う。
「よう」
その一言だけだった。
だが圧力は十分だった。
神谷も静かに席へ向かう。
負ければ終わり。
勝てば最終日。
CSJC二日目最後の戦いが、今始まろうとしていた。




