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LETHAL -俺だけが見える勝利の一手-  作者: 龍崎
第一章 無名の高校生

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第24話 背水

蓮が静かにレバーを前へ倒した。


残り体力。


数ドット。


あと一発で終わる。


誰が見ても絶体絶命だった。


配信コメントも緊張に包まれる。


『終わるか……?』


『いやまだ分からん』


『頼む耐えてくれ』


『LETHALなら何かする』


画面中央。


《Kai》と《焔舞》が向かい合う。


桐生は焦らない。


無理に攻めない。


あと一発。


それだけで優勝に王手どころか決着だ。


だから待つ。


蓮もそれを理解していた。


守れば不利。


逃げれば追い込まれる。


なら――


前に出るしかない。


《Kai》が歩く。


一歩。


また一歩。


コメント欄がざわつく。


『前出るの!?』


『そこ攻めるのか』


『怖すぎる』


黒田が思わず声を上げる。


「LETHAL選手、前へ行く!」


「体力はほぼゼロですよ!?」


鬼塚は静かに答えた。


「だからでしょうね」


「もう守る理由がない」


「勝つための可能性だけを選んでいます」


桐生が牽制を振る。


ガード。


再び牽制。


ガード。


投げ。


抜ける。


中段。


防ぐ。


下段。


防ぐ。


コメント欄が流れる。


『全部耐えてる』


『やばい』


『集中力どうなってる』


『手汗が止まらん』


そして。


ほんの一瞬。


焔舞の技が空を切った。


蓮は待っていた。


《Kai》の反撃。


カウンター。


画面停止。


黒田が絶叫する。


「入ったぁぁぁぁ!!」


高難度コンボ。


追撃。


さらに追撃。


体力ゲージが消し飛ぶ。


K.O.


『うおおおおおお!!』


『生き残った!!』


『マジかよ!!』


『まだ終わらない!!』


スコア。


桐生 2


LETHAL 1


鬼塚が小さく息を吐いた。


「これだから怖いんです」


「一回のチャンスを最大火力に変える」


「それがLETHAL選手です」



第四先。


FIGHT


開始直後から激しい。


もう探り合いではない。


二人とも理解していた。


次の一先が流れを決める。


焔舞が攻める。


Kaiが返す。


Kaiが崩す。


焔舞が読み返す。


コメント欄も大盛り上がりだ。


『レベル高すぎ』


『ずっと決勝』


『神試合』


『何時間でも見れる』


中盤。


試合は完全な互角。


だが蓮は感じていた。


桐生の選択。


これまでの対戦。


準決勝からの全試合。


第一先。


第二先。


第三先。


第四先。


その全ての情報が頭の中にある。


そして。


ようやく見えた。


桐生自身も気付いていない小さな傾向。


(そこか)


終盤。


体力。


桐生 三割。


LETHAL 二割。


わずかに桐生有利。


焔舞が飛ぶ。


だが。


その瞬間。


《Kai》の対空が完璧に噛み合った。


カウンター。


コメント欄が爆発する。


『読んでた!!』


『うわああああ!!』


『マジか!!』


追撃。


コンボ。


起き攻め。


さらに崩し。


一気に桐生の体力を奪う。


だが桐生もさすがだった。


即座に切り返す。


再び互角。


残り体力。


お互い一割強。


黒田が叫ぶ。


「最後の読み合いです!」


「どっちだ!!」


画面中央。


両者停止。


数フレームの静寂。


そして。


桐生が動いた。


蓮も動いた。


次の瞬間。


《Kai》の攻撃が先に届く。


カウンター。


K.O.


一瞬。


実況席も言葉を失った。


そして。


黒田が絶叫する。


「追いついたぁぁぁぁぁぁ!!」


「LETHAL選手二連勝!!」


コメント欄が滝のように流れる。


『2-2!!』


『うおおおおお!!』


『フルセット!!』


『伝説だろこれ』


『鳥肌やばい』


スコア表示。


桐生 2


LETHAL 2


王手をかけられてからの二連取。


追い詰められながらも攻め続けた結果だった。


鬼塚が静かに言う。


「桐生選手が弱くなったわけではありません」


「LETHAL選手が試合中に答えを見つけました」


「だから追いついたんです」


コメント欄。


『成長してる』


『試合中に進化してる』


『何者なんだよ』


『本当に初大会か?』


画面には並んだ数字。


2-2。


優勝まであと一先。


敗北まであと一先。


神谷蓮。


桐生蒼真。


無名の新星と国内トッププレイヤー。


全てが決まる最終先。


配信の同時視聴者数は大会開始以来の最高記録を更新していた。


誰も配信を閉じない。


誰も目を離せない。


決勝戦最後の一先が――


今、始まろうとしていた。

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