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LETHAL -俺だけが見える勝利の一手-  作者: 龍崎
第一章 無名の高校生

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第2話 白銀の騎士

神谷蓮がオンライン対戦を本格的に始めたのは一か月ほど前だった。


地元のゲームセンターでは負けることがほとんどなくなっていた。


もちろん挑戦者は来る。


だが毎日新しい相手と戦えるわけではない。


もっと強い相手と戦いたい。


その結果、自然とオンラインへ足を伸ばした。


最初は勝ったり負けたりを繰り返した。


知らないキャラクター対策。


独特な戦い方をするプレイヤー。


ゲームセンターとは違う環境に苦戦することもあった。


だが慣れるのに時間は掛からなかった。


相手を見る。


癖を見る。


崩す。


やることは変わらない。


気付けば蓮は上位ランク帯へ到達していた。


学校から帰宅し、夕食と風呂を済ませた蓮は自室の椅子へ腰を下ろす。


パソコンの電源を入れる。


モニターが光る。


いつものようにゲームを起動した。


ランクマッチ。


マッチング。


勝利。


マッチング。


勝利。


連勝表示が伸びていく。


その途中だった。


スマホが震える。


格ゲー仲間のグループチャット。


『白石凛が配信してるぞ』


『今日ランク回してる』


『視聴者三万人超えてる』


『また無双してるわ』


蓮は待機時間の間に配信サイトを開いた。


映し出されたのは見慣れた人物だった。


白石凛。


NOVA eSports所属。


国内トップクラスのプロゲーマー。


格闘ゲーム界では知らない人間の方が少ない。


大会優勝経験も豊富で、世界大会でも結果を残している。


その実力は本物だった。


配信画面の中では《Celes》が軽やかに剣を振るっている。


白銀の鎧を纏う女性騎士。


ゲーム発売当初から存在する人気キャラクターだ。


長いリーチを持つ剣技。


高い機動力。


攻守ともに優秀な性能。


初心者から上級者まで幅広く使用されている王道キャラクターだった。


しかし本当の強さは使い込んだ者だけが引き出せる。


豊富な派生技。


細かな読み合い。


複雑な状況判断。


プレイヤーの技術がそのまま反映されるキャラクターとして知られていた。


そして白石凛は、そのCelesを国内最高峰のレベルで使いこなすプレイヤーだった。


「相変わらず上手いな」


蓮は配信を横で流しながらランクマッチを続ける。


次のマッチングが成立する。


ロード画面。


対戦相手の名前が表示された。


《Rin_NOVA》


蓮の動きが止まった。


「……え?」


一瞬理解できなかった。


だが見間違いではない。


《Rin_NOVA》。


白石凛本人だ。


思わず別モニターを見る。


ちょうど配信画面でもマッチングが成立したところだった。


凛がロード画面を見ながら首を傾げる。


「LETHAL?」


その瞬間、コメント欄が爆発した。


『誰だ?』


『知らない名前』


『上位勢?』


『新規アカウント?』


『聞いたことないな』


蓮は小さく笑った。


無理もない。


オンラインを始めたのは最近だ。


大会実績もなければ知名度もない。


全国的には完全な無名プレイヤーだった。


だが胸の奥は少しだけ高鳴っていた。


相手は白石凛。


動画の中で何度も見たトッププロ。


画面の向こう側にいた存在。


その本人と戦える。


普通なら緊張するのかもしれない。


しかし蓮の感情は少し違った。


純粋な興味。


それだけだった。


どれほど強いのか。


どれほど読み合いが通用するのか。


試してみたい。


ロードバーがゆっくりと進む。


画面中央に向かい合う二人のキャラクター。


白銀の騎士《Celes》。


そして《LETHAL》。


偶然のマッチング。


だが二人にとっては関係ない。


対戦が始まればやることは一つだけだ。


勝つこと。


ロードが終了する。


ステージが表示される。


カウントダウン。


3。


2。


1。


――FIGHT。


試合が始まった。

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