第63話 首位の貫禄
先鋒戦を終えた神谷蓮が席へ戻ると黒崎豪が静かに立ち上がる。会場からは大きな拍手が送られるが、黒崎の表情はいつも通り変わらない。
次鋒戦。
黒崎豪。
月城玲。
経験と経験がぶつかる好カードだった。
試合は序盤からハイレベルな読み合いになる。黒崎が得意の堅実な立ち回りで主導権を握れば、月城も徹底した対策で対応する。一進一退の攻防が続き会場も大いに盛り上がるが、終盤に入ると月城が試合中の修正能力を発揮。黒崎の癖を見抜き少しずつ有利を広げていく。
『月城うまい!!』
『黒崎も負けるな!!』
最終戦までもつれ込んだ激戦だったが、最後は月城が読み勝ちKO。
AEGIS勝利。
10-10。
会場が沸く。
「月城選手やりました!!」
実況の桜庭も興奮する。
久我も頷いた。
「黒崎選手相手にこれは価値がありますね」
これで勝負は大将戦へ。
九条迅。
白河優斗。
Division Fを代表する二人のエースがステージへ姿を現す。
会場は総立ち。
『きたあああああ!!』
『帝王!!』
『白河!!』
『楽しみすぎる!!』
試合はまさに頂上決戦だった。白河が持ち前の安定感で試合を組み立てれば九条も一切動じない。差し合い、反応、読み合い、その全てがDivision F最高峰のレベルで繰り広げられる。一本目を白河が取れば二本目は九条。三本目を九条が奪えば四本目は白河。会場のボルテージは上がり続け、勝負は最終戦へ突入する。
残り体力わずか。
残り時間わずか。
どちらが勝ってもおかしくない。
会場全員がモニターを見つめる。
そして最後。
白河の牽制に対して九条が完璧な差し返しを決める。
カウンター。
最大コンボ。
KO。
試合終了。
九条迅勝利。
RAVEN’S NEST勝利。
30-10。
『やっぱ九条だあああ!!』
『帝王強すぎる!!』
『白河も惜しかった!!』
『名勝負!!』
桜庭が絶叫する。
「決めたぁぁぁぁぁーーーーー!!九条迅!!最終節でもエースの仕事を果たしましたぁぁぁ!!」
久我も笑う。
「これが首位チームの強さですね」
神谷はステージ脇からその姿を見つめる。
先鋒で勝ち。
黒崎は敗れた。
だが最後は九条が締める。
それが今のRAVEN’S NESTだった。
無敗。
首位。
そして優勝へ最も近いチーム。
会場に響く歓声の中、RAVEN’S NESTは再び勝利を積み上げた。




