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LETHAL -俺だけが見える勝利の一手-  作者: 龍崎
第四章 プロリーグ開幕編

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第57話 帝王と雷神

会場の熱気が一段階上がる。


大型モニターに両選手の名前が映し出された。


九条迅。


二十四歳。


RAVEN’S NESTの絶対的エース。


使用キャラクター。


《Gald》【帝王】


ムエタイを主体とした高火力・高体力の王道キャラクター。


圧倒的な安定感を誇り、長年トップ戦線に君臨し続けている。


対するは。


早乙女京介。


二十三歳。


GENESISのエース。


使用キャラクター。


《Raiden》【雷神】


スピードと爆発力を極限まで高めた超攻撃型キャラクター。


一度流れを掴めば誰にも止められない。


『きたああああ!!』


『九条!!』


『早乙女!!』


『楽しみすぎる!!』


実況の白峰玲司も思わず声を張る。


「Division Fを代表するエース対決です!!」


解説の神谷駿も頷く。


「現時点で最高クラスのカードですね」


試合開始。


開幕から異様な緊張感だった。


早乙女が前へ出る。


Raidenらしい高速ラッシュ。


牽制。


飛び。


ダッシュ。


休む暇もない攻撃。


対する九条は動かない。


歩く。


見る。


待つ。


帝王の名に相応しい落ち着きだった。


最初に流れを掴んだのは早乙女だった。


雷神の連続攻撃。


崩し。


投げ。


中下段。


一気に体力を奪う。


会場が沸く。


『早乙女うまい!!』


『攻め続けろ!!』


残り体力はわずか。


誰もが早乙女優勢を確信した。


だが。


ここからだった。


九条は焦らない。


無理をしない。


一本の対空。


一本の差し返し。


少しずつ追い上げる。


そして。


最後は飛び込みを完全に落とし最大コンボ。


KO。


一本目。


九条。


会場がどよめく。


『そこから勝つのかよ!!』


『意味分からん!!』


白峰も思わず叫ぶ。


「九条迅!!とんでもない逆転です!!」


二本目。


早乙女はさらに攻撃のギアを上げる。


守る気はない。


攻める。


攻める。


攻める。


雷神が暴れる。


今度は九条も押し込まれる。


体力差が広がる。


GENESISベンチも立ち上がる。


しかし。


九条は崩れない。


一歩ずつ。


確実に。


距離を調整する。


そして終盤。


早乙女の飛び込み。


完全対空。


最大コンボ。


さらに起き攻め。


投げ。


打撃。


全てが噛み合う。


KO。


二本目。


九条。


会場が爆発する。


『強すぎる!!』


『帝王だ!!』


『完成度高すぎる!!』


だが。


早乙女もこのまま終わる選手ではなかった。


三本目。


開幕から全開。


今まで以上の速度。


今まで以上の圧力。


Raidenが止まらない。


九条もついに崩れる。


一本返す。


会場が沸く。


続く四本目。


再び早乙女。


完璧な攻撃。


完璧な読み。


KO。


試合は最終戦へ。


『うおおおおお!!』


『フルセット!!』


『神試合!!』


会場総立ち。


実況席も興奮していた。


「決着は最終ラウンドです!!」


神谷駿も前のめりになる。


「どちらが勝ってもおかしくありません」


運命の最終戦。


開始。


お互い動かない。


数秒。


静寂。


会場も息を呑む。


そして。


早乙女が仕掛ける。


九条が迎え撃つ。


差し合い。


読み合い。


技術と経験。


若さと勢い。


Division F最高峰の戦いだった。


残り二十秒。


早乙女が崩す。


体力リード。


GENESIS側が沸く。


『いける!!』


『そのままだ!!』


だが。


九条は焦らない。


歩く。


追う。


距離を詰める。


残り五秒。


早乙女の牽制。


その戻り。


ほんの一瞬。


九条が見逃さなかった。


差し返し。


カウンター。


最大コンボ。


会場が揺れる。


体力が消える。


KO。


試合終了。


白峰の絶叫が響く。


「決めたぁぁぁぁぁーーーーー!!九条迅です!!」


会場は大歓声。


RAVEN’S NESTベンチも立ち上がる。


神谷も黒崎も拍手を送る。


九条は立ち上がる。


表情は変わらない。


まるで当然のようにステージを降りる。


一方の早乙女は悔しそうに笑った。


負けた。


だが届かなかったわけではない。


あと一歩だった。


そして観客たちは改めて理解する。


狼塚剣牙。


皇城龍之介。


早乙女京介。


数多くの強豪がいるDivision F。


その中でも。


九条迅は今なお頂点に最も近い男なのだと。

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