第53話 対策会議②
Division F各チームでは第四節へ向けた本格的な対策会議が行われていた。
もちろん議題の中心はRAVEN’S NEST。
そして神谷蓮だった。
武神タケルの登場によって各チームの準備は大きく狂わされている。
Kai。
Rex。
そこへ武神タケル。
対策しなければならないキャラクターが一気に増えたのだから当然だった。
まずはVORTEX。
会議室では皇城龍之介、霧島蓮、久我原誠、白崎ルイが第三節の試合映像を見ていた。
モニターには神谷対結城の先鋒戦。
神谷の武神タケルが映し出されている。
白崎が頭を掻く。
「やっぱ強いっすね」
久我原も苦笑した。
「思ったより完成度高いな」
霧島が映像を止める。
神谷が対空を決めた場面だった。
「ここ」
全員が画面を見る。
「これ反応じゃない」
久我原も頷く。
「飛ぶって分かってる動きだな」
つまり。
武神タケルが強いわけではない。
神谷が相手を見ている。
そこが問題だった。
白崎がため息を吐く。
「嫌だなぁ」
「何がだ」
久我原が笑う。
白崎は即答した。
「対策しても意味なさそう」
会議室に笑いが起こる。
だが誰も否定できなかった。
神谷は試合中に成長する。
試合中に修正する。
だから厄介だった。
その時。
ずっと黙っていた皇城が口を開く。
「面白いな」
短い一言。
会議室が静かになる。
皇城が興味を持った時は大体こうなる。
霧島が苦笑した。
「気になってるな」
皇城は否定しない。
「当たりたい」
その一言だけだった。
白崎と久我原が顔を見合わせる。
完全にライバル認定だった。
⸻
続いてMETEOR。
第三節で実際に神谷と戦ったチームだからこそ会議にも熱が入る。
御剣颯。
不知火蓮。
結城晴人。
風間蒼空。
全員がモニターを囲んでいた。
画面には結城と神谷の試合。
結城が自分の敗戦映像を見ながら頭を抱える。
「何回見ても意味分からん」
不知火が笑う。
「また始まった」
結城は真顔だった。
「だって普通ここ攻めるじゃん」
映像を止める。
神谷は攻めない。
「ここも前出るじゃん」
神谷は出ない。
「ここも触りに来るじゃん」
神谷は待つ。
風間が苦笑した。
「確かに」
御剣も頷く。
開幕節の神谷なら前へ出ていた。
だが今は違う。
見ている。
待っている。
考えている。
そして最適な行動を選ぶ。
不知火が腕を組む。
「黒崎さんの影響かね」
結城も頷いた。
「絶対そう」
あのレジェンドと毎日練習している。
変わらない方がおかしい。
風間がため息を吐いた。
「ただでさえ強かったのに」
「な」
結城も苦笑する。
「しかも武神まで増えた」
御剣は映像を見ながら笑った。
「でもいいじゃん」
全員が見る。
御剣の目は真剣だった。
「強い奴と戦う方が面白い」
METEORらしい答えだった。
不知火も笑う。
風間も笑う。
結城も肩をすくめた。
結局。
強い相手を倒したい。
そのためにプロをやっている。
⸻
会議は深夜まで続いた。
だがどのチームも最終的な結論は同じだった。
武神タケルは厄介。
Kaiも厄介。
Rexも厄介。
だが本当に警戒すべきなのはキャラクターではない。
神谷蓮というプレイヤーそのもの。
第三節を終えた今。
Division Fの各チームはようやく理解し始めていた。
RAVEN’S NESTの超新星は、開幕節の頃よりも確実に強くなっていることを。




