第52話 対策会議①
第三節終了翌日。
各チームでは早くも第四節へ向けた対策会議が始まっていた。
話題の中心は当然。
神谷蓮。
そして武神タケルだった。
まずはBLACK WOLF。
会議室。
狼塚剣牙、火野豪、神崎陸斗、雨宮誠司がモニターを囲んでいる。
画面には神谷対結城の試合映像。
火野が頭を掻く。
「めんどくさすぎるじゃろこれ」
神崎も苦笑する。
「Rexだけでも嫌だったのに」
雨宮が真顔で言う。
「Kaiもある」
火野が机を叩いた。
「じゃけぇ武神まで増やすなや!」
会議室に笑いが起きる。
だが誰も笑えなかった。
狼塚は映像を見たまま呟く。
「武神そのものは問題じゃない」
全員の視線が集まる。
「問題は使っとる奴じゃ」
静かだった。
だが重い。
狼塚は続ける。
「神谷が強くなっとる」
神崎も頷く。
開幕節の時とは別人だった。
攻め急がない。
焦らない。
待てる。
見ている。
「黒崎さんの影響じゃろうな」
火野が言う。
狼塚も否定しない。
「多分な」
そして小さく笑った。
「面白くなってきた」
その目は既に第四節を見ていた。
⸻
続いてGENESIS。
会議室。
早乙女京介、水瀬優、久遠翔、朝霧湊が映像を見ていた。
最初に口を開いたのは久遠だった。
「武神強いっすね」
水瀬が首を横に振る。
「違う」
「え?」
「神谷が強い」
即答だった。
会議室が静かになる。
水瀬は映像を止める。
飛び道具。
対空。
差し返し。
どれも武神なら出来る。
だが。
「判断がおかしい」
久遠も納得した。
「分かる」
早乙女が腕を組む。
「前より隙が減ったな」
その一言が全てだった。
開幕節。
狼塚に敗れた神谷。
だが今は違う。
負けた経験を吸収している。
成長している。
朝霧が苦笑した。
「嫌なタイプですね」
早乙女も笑う。
「かなりな」
そしてモニターを見ながら呟く。
「当たるの楽しみだ」
エースの目だった。
⸻
続いてAEGIS。
白河優斗。
月城玲。
神代蓮司。
七瀬蒼。
全員が映像を見終わる。
数秒沈黙。
最初に話したのは月城だった。
「最悪」
神代が吹き出す。
「そんなに?」
「そんなに」
即答だった。
月城は真顔で続ける。
「対策資料が三倍になった」
会議室に笑いが起きる。
だが本音だった。
Rex。
Kai。
武神。
全部違う。
全部対策が必要。
白河も苦笑する。
「確かに面倒だな」
月城はさらに続けた。
「しかも本人が対応型」
神代がため息を吐く。
「終わってる」
七瀬も笑う。
「対策しても試合中に修正してきそう」
誰も否定できなかった。
そして白河がモニターを閉じる。
「まあいい」
全員が見る。
白河は静かに言った。
「強い奴を倒してこそのリーグだろ」
その言葉にチーム全員が頷いた。
第四節。
各チームの視線は確実に神谷蓮へ向き始めていた。




