第46回 ナイターの悲劇
比良山系に雪が積もった。
そんな連絡が、タツヤから来た。
地元の滋賀に住んでいる兄貴から電話があったらしい。
「土曜日、久しぶりに琵琶湖バレーのナイター行こや」
そう言うタツヤの誘いに、相変わらず卒論で行き詰まっていた僕は一も二もなく飛びついた。
中学、高校の頃は、家の窓から西の山が白いのを見つけると、誰かの親に頼んで地元の仲間でナイターに通った琵琶湖バレー。
ゲレンデは朝まで稼働しているが、麓からスキー場までのゴンドラは夜の間は止まるから、強制的に一晩中滑り続ける事になる。
週末に家にいるときに山の斜面にぼんやりとナイターの光が輝いているのを見ると、たまらなくウズウズしたものだ。
大学生になって、自分たちで車を運転して岐阜や信州まで行くことが多くなり足が遠のいていたが、久しぶりの地元も悪くない。
何より京都から近い。
「舞子、土曜の夜、ナイターで朝までスキー行かへん?滋賀県」
「土曜日はお店忙しいから休むの無理だよー。それに私、足の下が滑るスポーツ、怖くて無理!ごめん!」
軽井沢の蕎麦屋にいたから、てっきりウインタースポーツはいけるものだと思っていたからこれは意外だ。
「ほな、僕だけタツヤとかと行ってきてもええかな?」
舞子は一瞬だけ寂しそうな顔をした。
けれどすぐに笑って、
「うん。楽しんできて」
と言ってくれた。
「朝には帰って来るから」
舞子にそう伝えて一人で出発した土曜日夜八時、いつものキタバチの駐車場に集まったメンバーは、僕、タツヤ、タカトモ、ミナコ、サクラ、サキチという、バイト先メンバープラスいつものメンバーだった。
「私中田さんの車ー!」
サキチは相変わらず僕にくっついてくる。
普通なら三台の車に分乗して出発するところだが、京都市内は大丈夫でも、峠道の途中村あたりから滋賀県にかけては雪が積もっている可能性がある。
滋賀県出身のタツヤも僕もチェーンはいつも積んでるし、雪道は慣れたものだが、タカトモのミニクーパーはそうはいかない。
仕方ないから、ミニはこのまま駐車場に置いていくことにして、僕の車にタカトモ・ミナコのカップルが乗っていくことになった。
「中田さんと二人きりだと思ってたのにー」
ブーたれるサキチに、
「あれ?この前諦めたみたいなこと言ってなかった?」
とミナコが言うと、
「だって今日、舞子ちゃんいないし…」
と口を尖らせた。
やれやれ。
予想通り途中村に差し掛かる辺りで峠道は真っ白になった。
路肩のチェーン装着スペースでチェーンを巻く。
雪の中で作業する僕とタツヤに、タカトモは手伝うどころか車から出てくることさえない。
まあいい。そういうやつだ。
面倒なのは、峠から堅田の町に降りる途中で雪が消えることだ。
そこで一度チェーンを外し、琵琶湖バレーの駐車場へ上る道でまた巻き直さなければならない。
僕の車は直結4WDモードのあるスプリンター・カリブだから最後の上り坂くらいはノーマルタイヤでもノーチェーンのままでいけるが、後輪駆動のタツヤのソアラはそうはいかない。
と言っても、僕が手伝って二人でやれば五分とかからずに終わるのだが。
ゴンドラに乗り、山頂のスキー場に向かう。
降り立つと、カクテルライトに照らされたゲレンデが広がり、否が応でもテンションが上がる。
「よっしゃー!行くぞ!」
そう言ってリフトに乗り込み、一本目を滑り始めると、もうみんな好き勝手、誰がどこに行ったのなんか分からなくなった。
「ガガッ!今どこ?」
「俺とミナコはいまペアリフト乗ってる。ガガッ」
「僕はファミリーゲレンデでサキチに教えてる。ガガッ」
『私をスキーに連れてって』に影響されて仲間内で揃えたトランシーバーの感度は良好だ。
カクテルライトに照らされた雪面は、昼とはまるで違う表情を見せる。
ひんやりした空気の膜が一段、胸のあたりにまとわりつき、息を吸うたびに肺の奥がきゅっと縮むような冷たさが心地いい。
上から吹きおろす風が、ゲレンデの斜面をすべるように走っていく。
ライトに照らされたその風の筋が、細かな雪煙をふわりと巻き上げながら、黄金色の光の帯の中をゆっくり漂っていく。
スキーのエッジが雪を切る音、カクン、ジャリッと、湿った雪の擦れる音だけがゲレンデに響く。
遠くでリフトのワイヤーが低く唸り、その音が、静かな夜の山にぽつりぽつりと吸い込まれていく。
振り返ると、琵琶湖の黒い湖面が、街の光をかすかに反射してほんのりと浮かんでいた。
夜の湖は、こんなにも静かで、こんなにも広かったのかと思う。
寒さは肌を刺すようなのに、胸の奥だけはじんわり熱くなる。
地元の山に帰ってきた、という小さな誇らしさ。
高校の頃、仲間と夜通し滑った記憶がひんやりとした風の中からふっと蘇る。
「……やっぱ、ええなあ。ナイターは」
誰に聞かせるでもなく、そんな言葉が自然とこぼれた。
あっという間に二時間ほどノンストップで滑り、日付が変わる頃になると早くもお腹が空いてきた。
レストハウスに入る。
昼間はごった返して席を確保するのも大変だが、ナイターならそこまでじゃない。
「僕とサキチは飯食うわ。席あるで。ガガッ」
空いているとはいえそれなりの列にトレイを持って並んでいると、すぐにタツヤやタカトモもやってきた。
タツヤの蛍光ピンクのウェアと、ミナコの上下真っ白のツナギが目立つ。
カレーのトレイを受け取って席に座る。
スキー場のカレーは、千円もするくせに相変わらず不味い。
ルーは業務用の缶詰をそのまま温めたような味だし、ご飯はベチャベチャだ。
「不味い…」
「こっちの唐揚げもベチャベチャやな…」
「まあ、スキー場のメシはこんなもんやろ」
僕は、帰ったら絶対にまともなカレーを食べようと心に決めながら、中途半端にぬるいカレーを食べ終えた。
取り敢えずお腹は膨れたが、それがまた腹立たしい。
スキー場だから仕方ないけど。
◇ ◇ ◇ ◇
「じゃあ、私はタカさん、サクラさんとこの辺で滑ってますから、中田さんは西村さん達と上行って下さいー。ありがとうございましたー」
やっとサキチの手が離れた僕は、タツヤ、ミナコと一緒にチャンピオンコースまで上がる為に、ペアリフトを乗り継いだ。
タカトモはまだ初心者に毛が生えた程度だが、ミナコはスポーツ万能の上に子供の頃からやっていたらしくかなりの腕前だ。
ペアリフトは、古い鉄の骨組みをきしませながら、夜の斜面をゆっくり上へ上へと運んでいく。
照明の光はリフトの下半分しか届かず、上に行くほど、山の闇が濃く落ちてくるのがわかった。
「おい、さっむ……」
タツヤが首をすくめる。
ミナコもウェアの襟をぎゅっと締める。
息を吐くと白くなって、
ペアリフトのワイヤーに当たる風の低い唸りが、夜の山の静けさをいっそう際立たせていた。
リフトのシートは冷え切っていて、尻の下から体温を奪われるような感覚。
けれど、この"上へ上へ運ばれていく時間"が、妙に好きだった。
ゲレンデの下の方では、誰かの滑る音がカシャ、ザラッと遠くに響き、ライトの筋に舞い上がる細かい粉雪が金色に光って揺れていた。
「ほな、次でチャンピオンの乗り継ぎやな」
タツヤが前を指さす。
見上げると、闇の中に、さらにもう一段、小さく光るリフト小屋が浮かんでいる。
あの灯りを越えれば、いよいよ上級者コース。
コブの状態も、ナイターは昼より固まっていて、気を抜くと足をすくわれる。
胸の奥がじわっと高揚する。
やっぱりこの感じは、夜のゲレンデにしか無い。
「よっしゃ、一本行くか」
タツヤが笑って、リフトを下りるなりそのまま急斜面に飛び出していった。
ミナコも軽快にギャップを越えていく。
僕も二人の後を追いかけた。
膝のバネをフルに使ってギャップを越える。
エッジに削られた雪が舞い飛び、ゴーグルに付く。
快調だった。
──はずだった。
それは、ひときわ複雑に連続した大きなギャップ帯を越えようとしたときだった。
足元の引っかかりがいきなり消えて、大きくコースがズレた。
「ゴキッ!!!」
直前に突いたストックが上のギャップに残り、それに引っ張られるように僕の右肩が無理な形になって鈍い音を立てた。
「うがぁ!!!」
ラグビーのときと同じ痛みが右肩を襲う。
転がる。
板が外れる。
激痛。
数回転がってやっと止まった僕の目には、真っ暗な空が写っていた。
しばらく動けずにいた僕は、やがて胸に留めたトランシーバーの送受信器を握った。
「やってもた。肩外れた。誰か救助呼んできて!ガガッ」
「え?マジかお前?」
タツヤの素っ頓狂な声が返ってきた。ガガッ。
「あーあ、やってもたんや!」
タカトモの半笑いの声も入ってきた。ガガッ。
「場所は?」
「チャンピオンコースの真ん中らへん」
「そしたら、多分ミナコがすぐに降りていくと思うから、なんとか自分で動いて、目印に板立てといてくれ。ミナコー、聞いた通りやから見つけたってー。俺は救護所に知らせに行くから。ガガッ」
「オッケー。ガガッ」
僕は左手で右腕を抱えるようにしてなんとか固定し、飛び散った板を拾い、Xの形に雪の上に立てた。
動くたびに右肩に激痛が走る。
「あ、いたいたー!」
板を立てたところで力尽きてゲレンデに横たわった僕のところに、ミナコが滑ってきた。
「大丈夫?」
「あんまり大丈夫じゃない…」
「そらそやわなー」
ミナコが笑う。
タカトモといい、このカップルはなんで僕が怪我して嬉しそうなんだ。
どれくらい待っただろう、ゲレンデの下の方からエンジンの音がしてスノーモービルが登ってきた。
これに乗せて降ろしてもらえるのか…そう考えてちょっと嬉しかった僕の考えは、しかし、裏切られた。
救護スタッフはモービルから大きなソリを降ろした。
「ここ、自分で乗れますか?」
「はい。やってみます」
痛みに耐えながらイモムシのように体をずらし、ソリに近づく。
「ソリ、支えとくんで乗り込んで下さい」
「ぐあ!」
縁を乗り越えるときに大きな痛みが走る。
なんとか体を乗っけたところで、タツヤも滑り降りてきた。
「あーあ、痛そう」
力なく笑う僕のソリの上に、救護スタッフが
「じゃ、寒くないようにシート被せますねー。このまま引っ張っていきますから」
と言って、黒いビニールシートをかけた。
(え?このまま?引っ張って?このギャップ斜面を?ガタガタ揺れながら?嘘やろ?)
僕が混乱しながら自問自答しているところに、真っ暗な視界のそとからミナコのとびっきり楽しそうな声が聞こえてきた。
「ギャハハハ!ハルヒトさん、死体みたいー!!!」
心底面白いといった笑い声だ。
なんなんだこいつは…
モービルが動き出し、予想通りガタガタと揺れる度に肩に激痛が走るが、我慢するしかなかった。
やがて救護所に到着した。
が、こんなところで入れてもらえるのだろうか?
前にラグビーで外したときもそうだったが、僕の肩の筋肉が強すぎて、普通に整形外科的なテクニックでは入らなくて、全身麻酔が必要なはずなんだが。
「医者はいませんから、ゴンドラが動く朝までここで待機して下さい。朝になったら、下の救急病院へ運びますので」
案の定のスタッフの言葉に眼の前が真っ暗になった。
このまま?
外れたまま朝まで?
嘘やろ?
と、同じ救護所にいた大男が声をかけてきた。
「脱臼ですか?何なら僕、入れましょうか?」
「え? お客さん、歯が痛いって鎮痛剤もらいに来はったんじゃ……」
そういうスタッフに大男はウエストポーチから一枚の名刺を取り出した。
「柔道整復師?さん…ですか?」
「はい。草津で整体院やってます。ちゃんと資格も持ってます」
おお。神降臨!
「ということですが、どうします?」
スタッフに訊かれて僕は
「お願いします!」
と即答した。
「ほいじゃ」
と大男は上着を脱いで僕のベッドの横に来て丸椅子に座り、僕の右脇の下に足の裏をつけて手首を持った。
「これやったことある?」
「はい。初めて外したときに、やっぱり柔道整復師さんに同じ形で」
「じゃ、分かってるね。痛いで!せーの!」
ゴリ!!
腕を強く引っ張られた瞬間ものすごい痛みが走り、でもそれは一瞬で、一気に痛みが消える。
「ふう、入った。痛い?」
「いえ、三回目なんで、入ったらもう大丈夫です」
「そやろね。でも、今日はもう滑ったらあかんで。ここで大人しくしとき」
「はい。ありがとうございます!」
小さな拍手が起こり、そちらを見ると、タツヤ、サクラ、タカトモ、ミナコ、サキチ、みんなが集まってくれていた。
「中田さん、よかったですー」
サキチが飛びついてきた。
「いたたた!さすがにそんなんしたら痛い!」
「あ、ごめんなさい!」
「ほな、みんなは滑ってきて。僕はラジオでも聴きながらレストランで待ってるし」
僕がそう言うと、みんなまたゲレンデに出ていった。
深夜も二時を過ぎると、レストランで休憩を取る人が増えてくる。
何も置かずにテーブルを独占しているのも気が引けて、僕はひっきりなしにコーヒーを飲み、そのおかげで何度もトイレに行き、灰皿にはラッキーストライクの吸い殻が山積みになった。
スピーカーからはユーミンのオールナイトニッポンが流れていた。
「また舞子に心配かけるなあ…」
僕は独り言を言って、次のタバコに火を点けた。
時々サキチやタカトモたちが様子を見に来る。
朝四時を回った頃、またもやお腹が空いてきたので、今度はきつねうどんを頼んだ。
六百円もする。
──やはり不味い。
お出汁は化学調味料の味しかしないし、麺はブヨブヨで腰なんか全く無く、そのくせブチブチと切れる。
桜井パーキングエリアの自販機のうどんの方が、値段分だけマシだ。
「なんやハルヒト、また不味い不味い言いながらなんか食ってるんか?」
そう言いながら五人全員がやってきた。
さすがに疲れてきたし、あと一時間ほどでリフトも動くからコーヒーでも飲んで待とうということになったらしい。
「そんでハルヒト、クリスマスの栂池、お前行けるん?その怪我で」
タツヤが訊く。
「栂池?なにそれ?初耳やねんけど」
「栂池にみんなでスキー行こうって話。なんとリッチなリゾートホテル泊!」
「そんな話知らんし、クリスマスの栂池のリゾートホテルなんてよく取れたな?ていうか、メンバー決まってるん?なんか知らん内に僕入ってるみたいやけど」
「いや、さっきここに歩いてくる途中で行こうって話になったねん」
じゃあなんで僕が知ってる前提みたいになってるんだ?
そんなのわかるわけないじゃないか。
僕はうどんの残り汁を飲みながら、ひとり毒づいた。
──やはり不味い。喉がイガイガする。
帰ったらまともなうどんも食べよう。
「取れるわけないやん?クリスマスの栂池やで?それに、そんなええとこ泊まる金ないし」
「それがな、こちらにおわすサキチ大明神のおかげでいけるんやなー」
タツヤの話によると、サキチのお父さんが経営する会社のグループ会社の一つ、例のレストランも経営しているという子会社所有のリゾートホテルが栂池にあって、なんと従業員割引の格安 ─ 民宿並の値段 ─ で泊まれるというのだ。
もちろん、人数の融通も効くと。
「なあサキチ、前々からお嬢やって思ってたけど、どこまでやねん?」
「えへへ」
いたずらっぽくサキチが笑う。
そういう話なら行かない手はない。
「ほな、僕は参加で。舞子は、帰ったら訊いてみるわ」
「オッケー。ほな、とりあえず今週中には返事ちょうだい」
「お父さんに言っときますねー」
そんな話をしている内に、まもなくゴンドラが動くというアナウンスが入った。
板とストックを持って乗り場に向かう。
よし。肩は大丈夫だ。
ただ…ふと不安が頭をよぎった。
ストック突いてバランスを崩しただけで肩が外れるとは思わなかった。
何度も脱臼しているとクセになるとは言うが。
この状態では、痛みはなくてもいつまた外れるかと言う不安で上の方のギャップ斜面 ─ 一番面白いところ ─ を楽しめなくなるじゃないか。
というか、これはどんなスポーツでもそうだが、「怖い」という感情が先に出ると上達もしないし、却って怪我をしやすくなる。
「ハルヒト、運転いける?」
「全然いけるでー。入れてもろたら大丈夫。もう慣れっこや」
「ほな、クリスマスの栂池で!」
そう言って駐車場で二台に分かれる。
帰りはタカトモカップルはタツヤの車だ。
「あ、私は家まで送ってもらわなくても三条とかで下ろしてもらえたら京阪で帰りますよー」
サキチがそう言うので、帰りは161を南下してバイパスから山科経由で三条に向かった。
痛みは全然大丈夫だが、かなり眠い。徹夜明けなんだからそりゃそうだ。
運転しながら僕は(とりあえず琵琶湖アドベンチャーのオヤジに相談してみよう)と考えていた。
和邇浜に拠点を構える、ウィンドサーフィンのベース。
ウィンタースポーツも手掛けている。
僕もタツヤもそこでウィンドを買い、メンバーになっている。
あのオヤジなら、肩がハズレやすくなってしまった僕でもスキーを楽しめる何かを教えてくれる気がする。
とりあえず今はめちゃくちゃ眠いから、帰ったらまずは寝て、午後から舞子と一緒にまた滋賀県ドライブだ。
──ただその前に、スキー場でひどい目に遭ったカレーとうどんの始末はしておきたいところだが。
サキチを下ろし、アパートに帰ると、さすがにもうクタクタだった。
起きたら片付けることにして、ルーフキャリアに板とストックは乗せっぱなしで部屋に戻る。
もうこのまま布団に倒れ込みたい。
「あ、おかえりー」
僕が帰ってきた物音で舞子が起きてきた。
「ただいまー」
「楽しかった?」
「うん。また肩外れた」
「え!?なにそれ!?大丈夫なの!?」
舞子の顔から、眠気が一瞬で消えた。
泣きそうな顔で、僕の右肩のあたりを見る。
「また外れたの?ほんとに……」
その"ほんとに"が、叱っているのか泣きそうなのか分からない声だった。
「大丈夫大丈夫。すぐに入れてもらえたし…それより…寝る…ごめん」
「いいけど…本当に大丈夫?なにかすることない?」
「カレーうどん…」
「カレーうどん?なにそれ?ねえハルくん!?ハルくん!?」
舞子の声が遠のき、僕はそのまま深い眠りの底まで落ちていった。




