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異世界[知らない場所]で、私[金髪碧眼美少女]とあなた[桃髪ツインテ美少女]がやりたいこと・やりたくないこと~バディでのりきる!ゆるゆるサバイバル生活~  作者: てついち
私とあなたと知らない場所

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魔物を呼びたくないから血のにおいを何とかしたい①

「はぇ~、便利だねぇ」


 鳥もどきを指でつつきながらエルザは舌を巻いた。周囲に散らばった狼の亡骸を覆う以上の範囲まで防御魔法が拡がったからだ。


「何かこれくらいはできるみたいで……うん」


 防御魔法を拡げると言われたら、外の物を押し出してしまいそうなものだが、そういった心配は無用とばかりにそれは実行された。すごい。


 何でそんなことをするのかといえば、喫緊(きっきん)の問題が血のにおいだから、と返す他ない。だって死体を積み上げてたら無限に肉食系の魔物が増えそうなんだもの。狼どころか熊とか、いるかわからないけどドラゴンなんて出て来ようものなら冗談も冗談にならないわけで。


「そういえばさっき消音がどうとか言ってたけど、それってもしかして消臭効果とかも付けたりできちゃうわけ?」


「は……うん、できそうだから今ちょっと試してみようかなって」


「はぁ~、大したもんだねぇ」


「あはは……」


 褒める一辺倒のエルザにヘルガは苦笑いをした。相互コミュニケーションはまだあまりうまく取れてない感じがである。まぁさっき会ったばっかりだし、そりゃいきなりマブダチにゃぁなれませんわな。


 近くにあった岩に腰掛け、暇を持て余してぼや~っとしているエルザであるが、どうにも気になることがあった。


 女子供(おんなこども)がこんなに間近で生物の血のにおいなど早々嗅ぐこともない。だのにどうもこの身体は血のにおいを嗅ぎ慣れているようだ。


 記憶をたどってみれば血というものには酸素を運ぶための鉄分が入っているわけで、それがぶちまけられれば鉄と脂質の作用で揮発性物質がうんたらかんたらアミノ酸が分解されてあんたらこんたらで強烈なにおいを発する……とかなんとかかんとかでうんちゃらかんちゃらなのである。


「おい、アンタは血のにおい大丈夫なのか~?」


「ぴぴっ」


「わからんけど具合悪そうにしてなきゃ大丈夫か……もしかして肉食系かぁ?」


「ぴ?」


 大概の人間は己の血はおろか、動物の血すらも近くで嗅いでたら鉄臭さや生臭さで気持ち悪くなるものだろう。生物的に健康で普遍的な状態であるなら少なくとも良い気分になるようなものではない。もしや二人には身体的なストレス耐性でもついているのだろうか。


「一体何者なんだ、私も……あの娘(こ)も……」


「ぴ」


 防御魔法に手をかざし、また文字通りに眼を光らせているヘルガを見つつ、エルザは考えることを放棄した。わかっていることはひとつ、彼女は何かすごくて可愛いってことだけだ。真実はいつもひとつで可愛いは正義なのだよ明智クン。


「あ、何かできましたっ……ぽい」


「フフッ、なんじゃそら」


「うぅ、魔法に手を加えるより敬語やめる方が難しい……」


 和やかなそんなやり取りをしている間に見る間に濃い血のにおいは消え、ドーム型の防御魔法内は無臭になった。飛び散った血もカバーできるように拡げてあるので、これ以上においで魔物を引き寄せることもないだろう。


「わはー、すごいすごい! 私にはほんと何をどうしてるのかさっぱりわからないけど」


「それを言ったらエルザ……の武器も私から見たらわけわからないし、すごいんで……だからね?」


「あはは、感覚任せだから何とも説明できないのがねぇ」


「まぁ、そういうところもお互い様ってことで」


「そうだね。よし、じゃぁやるとしますか!」


「や、やりますかっ!」


 モンスターを倒して何をするかなんて明白である。素材の剥ぎ取りだとか解体とかそんな感じのやつでござるよ。常識でござるなワトソン殿。


「で、どうすれば良いの……?」


「さ、魚だったら最初に頭を落としたり……とか?」


「頭かぁ……とりあえず小さいから狼の方からやってみるか……」


「が、頑張って……!」


 手近にあった狼の亡骸を前に、エルザは一回息を飲んでから先程の黒い霧を出す。それは見る間に大き目の片刃ナイフを形作る。というよりも小さめの柳刃包丁と表現した方が正しそうだ。


「ちぇ、ちぇすとおおおおおおおっ!!」


 不慣れな掛け声とともに振り上げられた刃が狼の首元に落ち、胴と頭はスッパリと泣き別れとなった。そこからは生温かい血がどばどば出て、何かとてもグロい感じになった。多分三倍くらいはグロくなったと思う。無論当社比である。


「ぎゃーーーーーーーーーーーーッ!!」


 エルザの顔は大物ホラー漫画家の描く顔面アップの大ゴマみたいになった。


 銃で頭をブチ抜いているとはいえ、直接刃物で切り裂いて血が噴き出すとやっぱりちょっと来るものがあったし。


 何より切れ味が鋭過(するどす)ぎて思ったより勢い良くちょんぱしてしまったし。


 手に冷たくなりつつある毛皮と肉と血がちょっと触れてしまったし。


 そして瞬間的に蒸し返す濃い血のにおいは、無臭に慣れてしまったエルザの気分を見事に削りきっちゃったし。あれだ、さっきまではでっかい羊の血のにおいにちょっと慣れてただけだ、多分。


「あばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば……」


【 エルザ は めのまえ が まっくら に なった ! 】

※08/28 1話同様、ヘルガの一人称を「私」に統一しました。

※09/07 13話投稿に合わせ、本文は変えずに一部表現を修正しました。

※09/08 2話を①~②に分割、若干の加筆をしました。

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