↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私のお金が欲しい伯爵様は離婚してくれません  作者: みみぢあん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
15/25

15話 共犯者 


 バーンウッド伯爵邸になんの前触れも無く、シャルロットの兄ストナル子爵ガストンが会いに来た。


 ガストンは応接間でソファセットには座らず、部屋中をそわそわと落ち着きなく歩き回りながら待っていた。僕とシャルロットは仲良く手を繋ぎ、クスクスと笑いながらソファセットの長椅子に二人並んで座った。


 僕らを待っていたガストンも、ローテーブルを挟んだ向かい側に腰を下ろす。


 三人分のお茶を用意して使用人が応接間から出て行くと、シャルロットがお茶を注ぐ。僕はティーカップを受け取りながら、ヒソヒソと声を落としてガストンにたずねた。


「それでガストン……昨夜は上手くいったのだろう?」

 計画通りに僕とシャルロットがアデルを侮辱して、離れの小屋(メイプルハウス)に押し込めると。アデルは実家のガーメロウ邸から迎えの馬車を呼び寄せ、夜のうちにコソコソとドブ鼠(ねずみ)のように逃げ出した。


 ガストンが雇った四人の男たちに逃げ出したアデルを追わせ。あらかじめ調べておいた人の気配が無い場所で襲わせ、アデルを殺すことになっていたのだが。


「終わったらすぐに報告に来る約束だったが。いくら待っても雇った男たちは、誰も待ち合わせの場所に来なかった」

 ガストンは緊張し顔を強張らせて、僕の問いに答える。


 兄の話を聞いたシャルロットはピクッ! と手を強張らせ、お茶を注ぐのを止めて会話に加わった。

「……どういう意味なの? お兄様」


「だから雇った男たちの報告が無いから、それが分からないんだよ!」

 ガストンは妹の問いにイライラと声を荒げた。 


「つまり……アデルをまだ、殺していないのか?」

(嘘だろう⁉ 僕たちの計画は完璧だったのに。失敗するなんて……そんなことあり得ない!)


 僕はシャルロットから受け取ったティーカップには口を付けず、そのままローテーブルにカチャッ! と音を立てて乱暴に置いた。僕の手は密かに震えている。


「アデルが生きているか、死んでいるかもわからない。……だからガーメロウ邸に彼女がいるか、ピエールに確かめに行ってほしいんだ」

 ガストンは動揺を隠せず。胸の前で両手の指を組み合わせて、もぞもぞと忙しなく動かしながら言った。


「もしも失敗していたら……アデルを伯爵邸(ここ)に、連れ戻さないといけないと言うことだな?」


「そうだ」

 僕の問いにガストンが頷いた。


「クソッ! そうなったら……今度は毒を手に入れて、毒殺でもするか⁉」

(完璧な計画だったから、まさか失敗するとは思わなかった)


 僕の手の震えがブルブルと酷くなる。シャルロットとガストンに僕が怖気づいている姿を見せたくなくて、慌てて震える手を膝の上に置いてローテーブルの陰に隠した。


「嫌よ! あの女をこの屋敷に入れるなんて。ここは私とピエールの家なのよ? 絶対に私は嫌っ! 反対よ!」


「落ちつけよシャルロット。大声を出すな」

 興奮したシャルロットは声を抑えるのを忘れて、かん高い声で叫び出し。僕はシャルロットの細い腕をギュッ! と掴み制止した。


「……やっぱり、こんなことするべきでは無かったんだ。人を殺すなんて……間違いだった!」

 頭を抱えたガストンは、ガックリと肩を落とし弱音を吐いた。


 計画が成功したらアデルから奪った遺産を元に、ストナル子爵家とバーンウッド伯爵家で、新しい事業を始める約束をして。僕がガストンに計画を持ちかけて共犯となった。


「今さらそんなこと言っても遅いぞ、ガストン! お前がアデルを殺すなら、どこかで襲わせるのが良いと言ったのを忘れたのか?」


「……っ」

 ガストンは黙り込んだ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。