第四話 「えーー!!!何だこいつー!!!!!」
「豆電球、お前はまだこのゲームを本質から楽しめていない。」
プレイ時間ほぼ変わらないくせに知ったかをするハセシュンは木に実っている果物を取る。
「例えば今取った果物の名前は《ジャンジャール》って言ってな、普通に食べたら食糧ゲージは回復しないわ。HPは回復しないわの欠陥食料にも見えるんだが…。」
ハセシュンはインベントリからフライパンを出して、そのまま《持ち運び焚き火》で火を起こし、その上に幾つかの果物を乗せる。
「組み合わせによって効果は異なっていく。」
みるみるうちにフライパンが虹色に光だし、そして料理が完成した。
「おぉ!うっまそー!それはそうとこの皿はどこから現れた?」
「効果は《敏捷アップ》《攻撃アップ》《食糧ゲージ上昇》だな。」
コストが高い分得られる恩恵はデカいわけか。確かに、いろんな組み合わせを考えるのも楽しそうだし、料理作るだけでレベルも上がるし最高だな。
村に着いた俺たちは中心部の噴水のあるところに行った。既にたくさんのプルイヤーがアイテムの交換やゲームシステムの評価をしている。
「うわ、今顔だけが馬のやついたぞ!あいつ羽が生えてる!すっげーー!!!」
「あれは鳥人だね。羽が生えてて空を飛べる代わりに食糧ゲージの減りが激しく体力にステータスを振っても、上がり幅が非常に小さい。」
「幸運人間とかないのか?」
「あるわけないでしょ。」
俺たちが周りを見渡していると、前から三人組が歩いてきた。
「あなた〔ハセシュン〕さんか!配信見てますよ!」
「あ、視聴者のお方。ありがとねー。」
「え?お前配信者なの?」
「え?うん。VR内通貨が貯まるならやり得だよね。豆電球もやったら?」
まさかのハセシュンがこの《ジャストマッチアタック》で料理系配信者をしていたとは…。
配信してたらコメントで情報も得れるし、VR通貨は現実の買い物にもポイントとして使えるし、確かにやり得…ただ、生配信に重要な情報が映ってしまったら、視聴者に共有されることになる。
「俺はまだいいかなぁ〜。検討ってとこ。」
「さてさて〜!お宝お宝〜。」
P5は崩壊都市に何も知らずにきたプレイヤーを狩り続けていた。
P5はまずまずゲームスキルが飛び抜けているわけではない。ハセシュンは格ゲーをしていないだけで天才型だからすぐに私を越すだろう。豆電球は言わずもがな…行ってしまうのは癪だが、この三人の中で一番強い。
私はそれを自覚しておきながらも、この戦いには十分な勝機があると感じていた。
時は初プレイ開始から2時間の頃…。
「操作感にはだいぶ慣れてきた!今度はネットで有益情報を探すか…」
私はVRゴーグルをすぐに外し、現実世界でスマホとPCを同時並行させる。
「なるほどね…崩壊都市は鉱石の採集率がいいと。お、沼地で武器発見の投稿があるなぁ。ワールド各地にぽろっと落ちてるのかな?」
私がネットサーフィンをしていると、一つの投稿が目に付く。
「サバイバルボックスか…。」
《ジャストマッチアタック》は公式情報によれば、《サバイバルボックス》なる、ボーナスアイテムが存在する。空中からごく稀に降ってくるものであり、そのボックスの中には食料と超強力な
武器が入っているそうだ。
「私みたいなサバイバルもPvPも雑魚なプレイヤーのための救済処置か。これ後々環境が崩れそうだから調整入るかもな。」
私はすぐさまPCを閉じて、また《ジャストマッチアタック》を起動する。
「さてさて…サバイバルボックス見つけて楽しちゃおっかなぁ〜!」
「豆電球〜、いつ着くんだよぉ〜。」
「村では俺の欲しい情報が無かったからな。長居したいが時間がない。すぐに移動だよ。」
「珍しい果物の種があったかもなのに…。」
落ち込んでいるハセシュンを他所に、俺はモンスターの目撃情報を探す。今の所、村にいる人達は「何のことだ?」「別ゲーの話?」と一蹴。
ネットでもそれらしき投稿はゼロ。情報収集に投稿したいが、それを詮索されると面倒だ。
(やっぱり出会ったのは俺だけなのか?それともまだ投稿していないだけ?いや、まぁ…無くはないが薄いよな、その線は。)
ハセシュンにこの事を伝えたい気持ちもあるが、まだ証拠もないのに言ってみたところで、日頃の信用の無さ的に信じてはもらえない。傲慢の亜鬼が落としたのを見せてもいいが、絶対的証拠とはならないだろうな。
「できればハセシュンにもみてもらいたいんだがな…ま、そんなご都合良く出てくるわけ」
「ん?何が?」
「いや、何でもない…。」
俺がそう言い切る前に、俺たちの周りは霧に包まれる。
「ん?豆電球なんだこの霧」
俺は見覚えのある霧に気づく。
「え?マジ?くる?くるのか!?!?」
「だからなんだよ」
この霧の感じ…最初に傲慢の亜鬼に出会った時と同じ!てことは…!!!
その瞬間、霧が一瞬にして晴れる。そして、目の前にいる異端な存在にハセシュンは驚愕するだろう。
「え…何だこいつー!!!!!」
リアクション芸人のような反応を取るのも無理はない…目の前にいたのはそう。
「出たな…2体目のモンスター!!!」
目の前にいたのは全身がガラクタのようなもので作られたメカであった…。
〔オールドファポンと遭遇しました。〕




