第3話 「ハセシュンに会いに行くぜ!!!」
「どれだけ頼まれても俺は師匠になんかならねぇぞ。」
「そ、そこをなんとか!!!」
崩壊都市から離れて、新しい武器を手に入れおうと、俺は別の場所を目指していた…その俺に〔マツオカピアノ〕は引っ付いて離れない。厄介だよぉ…。
「まずまず師匠って必要なものぉ?」
「当たり前ですよ!俺はP5さんに負けた末、強制的に初心者狩りをやらされていたんです…。」
それにしてもP5相当な外道野郎だな。
まだVRの操作感に慣れていないプレイヤーをキルしてポイントを稼ぎ、その上役割まで強要するって……楽しそうなプレイしてるな。
あ、そうそう。現時点での《初心者狩り》とは区域ごとになる多彩な《バフ・デバフ》に対応が遅れてしまうプレイヤーを狙うこと… 。例えば、崩壊都市ではスキル使用が不可ってところか。
「別にそのまま初心者狩りしといていいんじゃね?俺はあまり好まないスタイルだがな。」
「俺もっすよ!このまま初心者狩り続けてたら楽しいゲームができない!そんなの嫌です。」
俺の目の前で懇願するマツオカピアノが少しだけかわいそうに思える。
「まずまず俺が師匠になって何がしたい?」
「P5さんの支配から逃れたい…なんなら倒したいです!」
向上心は○
ただ俺は利益がない限り動かない人間だ。こっちは外道な大人どもに染まってるからな。
「あー、そらなら豆電球さんが欲しそうな情報…ありますよ?」
「え?お前は俺のほしいような情報持って無いと思うが…。」
「ふふふ、聞いて驚いてください豆電球さん…。俺はP5の仲間たちの数と配置を知っています!」
「!?!?!?」
軍相手に数と配置情報は超貴重!!!これが本当だとするならば俺はこの戦い超有利に立てる。
「この情報あげるので!師匠になってくれますか!?」
さてさてどうするか…。P5に勝った場合得られるのは『めっちゃお宝な情報』。いやまぁそれが本当にお宝かどうかは置いといて…。ま、別に弟子を持つのにデミリットもないか!
「あぁ、いいよ。師匠になってやる。」
目に見えて図に乗っている豆電球。
「本当ですか!ありがとうございやす!」
マツオカピアノは深々とお辞儀をする。
「あ、それと…いや、これは言わなくていいか。」
「?」
「いえ、こっちの話です。てことで俺は何をすればいいでしょうか!」
マツオカピアノ。略してマツピは俺に向かって気をつけの姿勢をしながら聞いてくる。
「あー、俺は3日目まで忙しいからな…。お前もP5との戦いに参加するか?」
「はい!許可が降りるのであれば!参加させていただきたい所存!」
やっぱすごい礼儀正しくなったな。第一印象とは打って変わって。
「なら、頼み事をしようかな。俺は今初期武器のグローブを使っているんだが、それは性能がぶっちゃけイマイチだ。だから、P5達とも戦えるほどの武器を探しておいてくれ。あと、あいつの情勢を常に把握しておいてね。」
「わかりました!マツオカピアノ頑張ります!!!」
忠誠心の高い優秀な初心者枠が仲間に入ってくれた。
そんなこんなでまず最初の仲間に〔マツオカピアノ〕が入り、自分の中の目的が明確になった。
武器の調達をしようとしていたが、マツピが予定通りなら3日後に持ってきてくれるから、その必要も無くなった。
なら今からは予定通り更なる仲間を集めることに専念しなければならない。
P5がどれほど勢力を伸ばすかわからないが、俺には今から数十人を集めるリーダー性も無ければ、そんなめんどくさいことする気力もないな…。
「さてさて二人目の仲間はほぼほぼ決まっているんだが…。」
そう考えながらマップを見ていると、フレンドリストから一件の通知とフレンド申請が届く。
「お、待ってたぜー〔ハセシュン」。いよいよ《ジャストマッチアタック》初のご対面か!」
ハセシュンからのメールには『ここに来てくれ』と場所の座標が書かれていた。
俺は申請を許可してから、座標の場所をマップに設定する。このゲームには《ピン刺し》と言われる機能があり、マップで目標の場所や、よく行きたい場所にピンを刺すことで、視覚的にわかりやすくできる。
「えっとー?この距離ならスキル使用しまくって10分ってとこか!よーし、待ってろよ〔ハセシュン〕!!!」
俺は地面を蹴飛ばし、そのまま空を駆けていった。
爆速で全力ダッシュながら向かったら、予定より2分ほど早く着けた、上出来だな。
ここは崩壊都市から少ししたらある林地形。こういう所は攻撃などが木に邪魔されて通りにくそうだな。他プレイヤーとの戦闘のためにシュミレーションっと。
俺が慎重に生い茂った草を掻き分けながら歩いていくと、奥に一つの木造の塔があった。
「ちょっと誘き寄せるのには露骨じゃないか?」
俺はその塔を見上げたあと、扉から入ろうとする。その時、何処からか声がした。
「ちょっと待たれい。」
俺が馴染みのある声に振り向くと、そこにはプレイヤーが立っていた。
「歓迎するよ豆電球。」
「随分と派手な格好にしたんだな〔ハセシュン〕」
黄色短髪…右耳には二つのピアス。両手には白い手袋。細マッチョという言葉が似合う体型。顔は爽やか男子、腹立つな。
《リリース当日限定ゲーム内Tシャツ》の上に白衣みたいなを羽織っている。
「これはたまたま見つけた紙装甲の装備でね。ま、ファッションとして着てるかな。」
ペラペラと自慢話をするハセシュン。どうやら初期装備から一切変わっていない俺に相当マウントが取りたかったようだ。
「いやぁ《ジャストマッチアタック》で初のご対面。仲良くいきましょうや。」
「仲良く…ねぇ?」
俺は横目でハセシュンを睨む。
「ハハハ怖い怖い、塔の前で立ち話もなんだし中に入るか。」
俺はそうしてハセシュンの拠点の中に入って行った。
「ほぉ?随分と中は実用的だな。」
無駄に縦長な外見と比べ、中には沢山の食材と鉱石などが連なっている。
「このゲームはPvP MMOである以前に、サバイバルゲームでもある。無論、食糧などは充実してるから、未知の料理をするのが楽しいのなんの」
俺が完璧に把握してなかっただけで、このゲームには食糧ゲージなるものが存在したらしい。幸い、俺は全く気にしずともその辺の木の実などを食べて生き延びていたんだと。
「食糧ゲージが減少すると動きが鈍くなったり、持続ダメージを喰らうこともある。管理は大切だよ?」
「PvP要素ばかりに目が入っていたが、そっちも楽しめそうだな。」
俺がハセシュンの拠点に感心していると、ハセシュンが俺に座るように促す。
「では失礼。」
「さてさて、豆電球よ。今日集まってもらったのは他でもない。」
「お?なんか料理でも振る舞ってくれるのか?」
「違う違う!P5の件だよ!お前も聞かされただろ!?」
俺は机に置いてあるよくわからん木の実を一つ口に入れてから頷く。
「ハセシュンもやはり聞かされていたか。今回は相当楽しそうなことをしているな。」
「あぁ、合法的にP5をボコせる超当たりイベントだ!」
「ただ懸念点を言うとしたら、あいつは初日にしてすでに21キルを取っている…それは本当に可能なのか?」
ハセシュンは首を傾げた。
「なぜだ?集中的に人が集まる場所に行けば以外といるだろ。それこそ初日は基本みんな攻撃的ではない。ま、例外もいるが。」
「確かに集団的に集まっているところを狙えばキルは稼げるかもな…ただ、初期装備だけでは先手を打てても逃げられるし、まずまず大人数に対応できるほどの初期武器はないだろ。」
俺たちは目を見合わす。
「恐らく…てか確実にあいつは何らかの理由で激強武器を手に入れた!」
「俺たちにもそれに対抗できる武器が必須ってわけか!」
武器も確かにそうだが…俺たちよりすでに格上の強さを持ったプレイヤーも仲間に入れたい!
そのためにも…!
「お前を俺の仲間に入れたい。ハセシュン!」
ハセシュンは良いプレイヤーだ。プレイスキルも俺と拮抗…俊敏な動きと大胆な戦略が魅力!
今コイツの口から同意が欲しい!(こいつらなら裏切りかねん。)
俺が椅子から立ち手を差し伸べると、ハセシュンはその手を取ることなく喋り出す。
「物事には順序ってものがある。順序が違えば捉え方は全く異なったものとなる…!」
そしてハセシュンも立ち上がり、手を机に置く。
「その言い方じゃあ?お前が仕切ってるようだがなぁ?」
ハセシュンは続けて言った。
「俺の仲間になれ豆電球!無論、リーダーは俺だ。」
「いいや、リーダーは俺だ。」
別にこだわる必要もないが、何かプライドが許さなかった。
外に出た俺たちは少し距離を空けて武器を装備する。
「さてさて…容赦しないってやつだぞ?」
「こっちのセリフだな、豆電球。お前より下の位につくのは嫌だからな、全力だ。」
ハセシュンはインベントリから双剣を取り出して構える。
「合図は必要か?」
ハセシュンは両手に持って双剣を打ち付けながら喋る。
「準備完了もない。カウントダウンもない。襲い掛かれば試合開始だ。」
俺は素早く間合いを詰め、腹を一発殴る。
反射神経は謎にいいハセシュンは、その攻撃をガードし、そして俺を切りつける。
「ダメージ自体は低いが回転率が異常!油断できねぇな!!」
〔4×5ダメージ〕という表示が宙に浮く。
フー、双剣は近距離武器ではあるが、俺はグローブとかいう最近距離武器…。回転率・距離は負けているが、攻撃力・爆発力なら俺が勝る。
「ちなみにハセシュンはステータス振りどうしてんだ?」
「ん?俺は俊敏23と攻撃12…それと信仰5振り分けてる。他は初期値だな。」
合計で40振り分けているってことは…最初に10振り分けられるて、追加5レベルずつ4振り分けられるから今のレベルは20…!おそらく鉱石など集めてもレベルは上がるしそれだろうな。
「信仰っていうのは単純にスキルの精度・効果が上がるステータスだ。流石にお前も振ってるよな?」
「悪いな、俺は幸運全振りだ。」
「はー?頭悪!!!!」
「幸運全振りの恐怖を教えてやるよ!」
俺は拳同士をぶつけ、気合を出す。
「《ジャストマッチアタック》初のコンボ開発と行こうか…!」
全ての格ゲーに存在する基本的立ち回りの主軸となる要素、コンボ。
格ゲーのコンボとは、1回目の攻撃を当てた後、相手が動けない隙(のけぞりや浮き状態)を利用して、次の攻撃を連続でヒットさせる連続技!!!
コンボには始動技がいるが、このゲームは自らが動きたい動きに動ける!つまりどう言うことかって言うと……!
「通常技が無限!!!」
林の中を掻き分け、そのままハセシュンの懐を狙う。ハセシュンは双剣の特殊行動《斬撃》を出すが、俺はそれを避け、懐へと入った。
初動は試しに軽く姿勢を落として腹に1発!
ハセシュンの被弾を確認したと同時にそのヒットストップの間にアッパー!!!
「グハッ!!!」
「やっぱりな!このゲームもPvPゲームなこともありコンボが存在する!最大ダメージ狙ってやるよ!」
俺は空中に浮いたハセシュンに追撃の《我楽多》をしようとする。
「甘いぜ!」
「な!マジか途切れてた!?」
ハセシュンの防御が間に合い、場はリセット。
ダメージは与えたもののまだ安い。ただ、このまま不確定なコンボを探るしかない!
「ニューゲームで新しい要素や技術を見出すのは当たり前!絶対に最大コンボ見つけてやるよ!」
現状仕様としてわかっているのは、恐らく武器技の方が硬直は長い。この仕様いる?
初期武器グローブは武器判定ではない。装備?判定だったバズだ。
そう、俺は今武器を持っていない…!
ハセシュンは俺にまだ猛攻を仕掛けてくるが、同じ攻撃を繰り返していると、仕様としてヒットストップが消滅する。
ハセシュンはさっきからスキルの《連続斬り》を繰り返していた。
ふ、格ゲーの経験の差が出たな。俺はP5とやりまくってんだよ!
俺は攻撃を喰らいながらも、ヒットストップが発生しなくなった。しかし、HPも残り34。悠長にはしてられない。
俺がグローブで殴っても、その攻撃で出るヒットストップはごく僅か…。大きな攻撃への移行は不可能だ。…そう認識している。
「その誤認を突く!!」
俺は攻撃を喰らいながらもハセシュンの腹に攻撃を喰らわせる。それはグローブによる攻撃ではなく、木の棒であった。
〔1〕というダメージ表記が浮かぶ。ハセシュンも何をしたいのかわからず静止している。いや、ヒットストップで止まっている!
俺は最初猛攻を受けた後から、武器にはヒットストップが長く、そして徐々にヒットストップが短くなる仕様を理解していた。
しかし、それは連続的に使用した場合。1発当てた場合のヒットストップは通常通り!!!
木の棒という救いようのない雑魚武器を隙を作るための道具として使い、作戦通り通常より長い隙ができた!
「マッジか!!」
俺はハセシュンに背を向ける勢いで拳を腰ごと振り上げ、振り下ろした。
「グッッッ」
さっきよりも大きく飛んだハセシュンは強攻撃により姿勢を大きく崩しており、あまりにもガラ空きであった。
《スカイウォーカー》でハセシュンを追いかけてすかさず追撃、追撃。追撃ぃぃぃいいい!!!
「コンボの締めは…!」
「ちょ、豆電球待て!なんも行動できてな…!」
俺は空中で拳を後ろにし、そのまま叫びながらぶつけた。
「!!!《我楽多》!!!」
〔貴方のレベルが15に上昇しました。新しいスキルを入手しました。〕
「はぁー、負けだ負け。」
ハセシュンは拠点の前で寝転がり、手をひらひらとさせる。
「同じ技ばかり繰り返してたら単純に狩られやすいのは当たり前だし、ハメ対策に攻撃硬直が短くなる仕様もあった。弱い行動って訳だ。」
「これでリーダーは豆電球かよぉ…!」
「あんま変わらねえって…ま、それはそうと俺のことはリーダーと呼べよ?」
「うっざぁ…はぁ、狂犬(P5)退治にはもちろん参加するよ。たくさんプレイヤー倒したら経験値も美味しいだろうし。」
ハセシュンは立ち上がり、マップを開いた。
少しマップを眺めながらハセシュンは口を開く。
「ここからすぐ近くに村があったなー、崩壊都市とは真逆の方。」
「サバイバル要素あるのに村?要素壊れじゃないか?」
「安心しろ。村って言っても店とかは鍛冶屋とか以外ないし、ほぼプレイヤー同士の交流の馬って感じ」
俺はこのゲーム始めてからほぼ移動で時間を使ったりしていたが、もうすでに他のプレイヤーは順調に進めている。
俺たちは拠点からインベントリいっぱいに食糧を取り、村へ向けて歩き出した。
疲れたゼェ〜




