第二話 「P5と合流しようぜ!!!」
「まずは状況を整理しねぇとな。」
《傲慢の亜鬼》を討伐してから俺はドロップ品をインベントリに入れ、また崩壊都市目指して歩きだす。
……PvP戦略ゲーム《ジャストマッチアタック》は恐らく表向きなタイトル。と言うのも、完全にPvPのゲームにモンスターが現れる筈ないし、そのモンスターはバグでもない。しっかりと専用のBGMも流れてた。
「あ、BGMうるさいし下げとこ。」
それはそうと、幾つか気になるところがある。
まず、このゲームのストーリーの概念。このゲームはリリース前から公式サイトが存在しており、世界観などが描かれていた。そこにいくつもの“伏線”と思われる文章があったのはチェック済み。そこから俺が考察できる要素はないが、ネットを見れば考察班などいくらでもいた。
ま、それは置いといてだ。
疑問点は、このゲームは何故プレイヤーを騙す必要があったのか?だな。
「素直にモンスターと戦うMMO式かPvEゲームって言っちゃっていいしな。」
わざわざモンスターを隠したのには理由がある筈だ。そして、最大の疑問。これが証明されれば、俺はこのゲームで当分の間優位に立てる。
それは「他のプレイヤーはまだモンスターに出会っていないのでは?」だ。
「モンスターに出会ったら大抵SNSに投稿してそうなモノだが…。やっぱりまだないよな。」
このゲームにモンスターがいると言うことが、周知の事実なのかどうかは後ですぐ確認できる。それこそ、《P5》と合流すればな。
そしてもし、モンスターの存在があり得ない…!実装されていると言う事実が周知ではない場合。俺はその事実を知っている為、俺だけの情報を得たことによる。
なにが言いたいかって言えば、つまり「情報の独占」だ。
モンスターを倒した時、普通の木を破壊や、採掘をするのでは入手ができないドロップ品が落ちた。
このドロップ品は集めることによって強力な武器にすることができる。
もし、この敵モンスターからのドロップ品も武器にする素材判定であれば、俺は俺だけのモンスター武器が作れる。
「しっかしなぁー。」
俺が成り行きで歩いていたら突然現れた『傲慢の亜鬼』。他にもモンスターがいると仮定しよう。
ただ、奴らの出現方法がわからない。俺は、今こうして2時間かけて崩壊都市目の前まで歩いてきているが、その間にモンスターに出会うことはなかった。
もし、出現方法が確率とするなら。
どのタイミングでモンスター出現チャンスは来るのか。
確率はどれほどなのか。
ただ確率が出現率なら、他の人もいつか出会ってしまう。それでは、俺だけの情報とは言えない。
てか、例えどれほど奇妙な出現方法であっても、今同接1000万人を超えているこのゲームで、いつかモンスターと遭遇する人は現れる。
それが確率であるなら尚更早い。
確率が1億分の1に設定されているとすれば、それを引き当てた俺は奇跡だ。
そればっかしは時間を待つしかないが…。
「ゲーム内で存在しないはずのモンスター。そのモンスターの重要性。そして、出現方法。」
モンスターに需要が見出せれば、確実に優位な情報となると同時に、まだリリース当初、時間が経てば他のプレイヤーにもモンスターが湧き出すのではと言うこと。
ただ、まだネットでその情報が拡散されていないなら?それなら俺は大歓迎だ。まだ広がっていない情報なら十分交渉材料となる。
「モンスターの出現方法は色々試す必要があるな…」
そうしているうちに、崩壊都市に近づいていた。
「おっひょー!デッケェ都市だなぁ!ほぼ崩壊してるけど。」
そこはビルが連なっており、崩壊・半壊・傾き……大戦争の跡地のような悲惨さ。このゲームには既に用意されている都市・街が四つある。
一つ目は西に位置する《崩壊都市》。
二つ目は東に位置する《魂の都》
三つ目は北に位置する《大樹の懐》
四つ目は南に位置する《融合開発都市》
他にも島とかバラけたのはあるらしいが…他の街とかは自分たちで作って開拓するのがゲームの趣旨だ。
「足元に注意っと…。そうだ〔P5〕に合流しなければ!」
俺がP5を探し始めると同時に、目の前に三人のプレイヤーが現れる。
(めっちゃ前塞ぐやん)
「崩壊都市の中心部に用事があるんですけど〜、通してくれない?」
「そうか…通して欲しけりゃ、持ってる物置いていきな!!!」
あぁ、そりゃそうか。さっきのハプニングがあったから忘れていたけど、これはPvPゲーム。みんな今は自信を強化するために戦闘をしず、物資などの交換などをしているが、そりゃあ潰しにくるやつもいるか。
「俺は“初心者狩り”をしている《マツオカピアノ》!お前らみたいな初心者を蹂躙することに快感を覚える!!!」
「初心者って…リリース当日だし同じ初心者だろ」
俺が斧を振り回して襲ってきた《マツオカピアノ》の攻撃を躱そうとスキル《スカイウォーカー》を発動させる。
「これで逃げるの余裕じゃない?」
俺が空を駆けようとすると、目の前に『スキル使用不可』
という文字が浮かぶ。
「え!?なにこれ!!!」
突然の事に足を踏み外し、姿勢を崩した俺は大きく転倒する。
「ハハ!そう、それが初心者なんだ!ここは『スキル使用不可』のデバフが付く区域!!!崩壊都市にきたばかりのやつはそれを知らない!それが隙となる!!!」
「知識面で初心者ってわけね…!」
なるほど。崩壊都市特有の初見殺しデバフを利用して、慣れないプレイヤーを狩ってきたのか。
「他のやつなら上手く行ったのか知らないけど…俺には通用しないぜ!」
転倒している俺に斧を振りかぶった《マツオカピアノ》。略して《マツピ》の攻撃を、俺は受けてしまう。
『ダメージ40』
しかし、俺は焦ることなく体制を整えて、武器を装着する。
グローブにはスキルではなく、特性として《破壊行動》というのがあり、プレイヤーを攻撃した際、それがクリティカルであった場合、5%の確率で《行動制限》のデバフをかける。
5%の確率を二回連続で引き当てる…!
それは0.25%になる。
ただ!それを引き当てる!!!
相手の行動を読み、後ろに下がってから…一気に!!!
俺が拳で相手の斧を弾く。スキルが使えないため、相手の逆転はあり得ない。
「オラァァァァア!!!」
俺が腹に一発入れたと同時に『クリティカル』の文字が浮かぶ。そして、『破壊行動成功』の文字も同時に浮かぶ。
「これでもう反撃はできないぜ!」
「な……!なお……せ!クソッ、直せぇ!!!」
「リスポーンしたらデバフは消える…!やり直してきな!!!」
渾身の一撃…!!!腹パンっっっ!!!!
あの後セットでいた二人のプレイヤーは逃げ出し、俺はそのまま中心部へと向かうことができた。
(さて…P5にモンスターのことを言うかどうか。)
あいつは策士であり、外道だ。例え国民と自分自身。どちらを選ぶか聞かれても、速攻で後者を選ぶ。
自分さえ生きておけばどうにかなる。
「失ったものばかり数えるな!利益だけ数えろ!」の精神なんだと思う。
ま、とにかくすげーやつってことだ。他のゲームではサポートが多いが、今回はなんの武器なんだろうか。
「お、いたいた…おーい〔P5〕〜〜……!?!?!?」
俺が手を振り近づくと俺は目を見開く。
「……お前…その周りの奴らどうした…!」
〔P5〕の周囲には何人ものプレイヤーが跪いており、左右には護衛と思われる者もいる。
「いやぁ、案外すぐ仲間って集まるね。そりゃあ10万人もプレイヤーいたらそうか。僕が一人一人一生逆らえないぐらいにボコしたら仲間になったよ!」
「それってほぼ服従…。」
「うるさい!あっ、そうだ〔豆電球〕くん。一つゲームをしよう。」
P5は他のプレイヤーの警戒を解き、俺の目の前まで近づいてくる。
「僕とその仲間プレイヤーと戦闘だ。そして、君が勝ったら僕からいい情報をやる。」
「あっ……次会った時は敵かなってそう言う意味ね…!」
P5は俺のおでこをデコピンして、また群衆の中へと戻る。
「強化期間は3日間…その間には他のプレイヤーも活発に戦闘してるだろうね、リリース8時間でこれだし。」
笑ってるP5の独り言に俺は遮る。
「お前が勝ったらどうなるんだ?」
「ん?あぁ…君ここに来るの予定より遅かったね。片道3時間あれは余裕なはず。途中で何人にもプレイヤーに襲われても君なら余裕の筈だ。何か強いプレイヤーとでも戦闘したか?それとも…何かストーリーで気になることがあったのか…!」
……やっぱこいつは敵に回すと超危険!!!
「いいぜ、ぶっ倒してやるよ。覚悟しろよ?〔P5〕」
「楽しみにしてるよ?豆電球君…!」
そうして俺は崩壊都市を離れた。
「にしても、仲間プレイヤーの数はザッと20人。P5合わせて21人。到底一人で埋められる人数差ではないな。」
ここで求められるのは強力な武器・強力なスキル。そして、強力な仲間だ。
「このペースなら三日後には70.80ぐらいの群衆になってるだろうな。俺は少数精鋭と行こう。」
まずは崩壊都市では『スキル使用不可』とか言うめんどくさすぎるデバフがかかるから、一刻もこの場所から離れたい。
「確かここから20分程度で雪山地帯があるよな。それもだけど…。」
俺は目の前の《マツオカピアノ》に目を向ける。
「またやるか?俺は受けて立つぜ!」
「……」
俺がグローブをゆっくり装着しだすと、それを止めるように俺の腕を掴む。
「あんた…名前なんて言うんすか………?」
「え?名前…《豆電球》だけど。」
「《豆電球》さん…いや、先輩!!!俺の師匠になってください!」
「え、無理無理無理無理。ぜっっったい無理!!!」
俺は土下座をする《マツピ》を全力で拒否した。
〔P5〕との決闘まで残り2日と15時間20分。
ふぅ、疲れたのぜ(魔理沙)
お疲れなのぜ(語尾が同じ霊夢!?)




